13.バカ
またまた遅くなってしまい申し訳ありません.
今回で13話目に突入です.(といっても、大きな進展はありませんがw)
少しずつ、笑の気持ちにも変化があるようです.
「ばか、ばか、ばーっっか//!!」
何なんだ、アイツ.
変な言葉残して、自分だけニコニコして帰っていったぞ.
頭に血が上る.
顔が熱くなる.
思考能力が低下している.
言葉とともに吐き出した息が、より一層白さを増していく.
あんなの、言われ慣れてるのに.
別に何ともないはずなのに.
なのに.
「ばかくそー…//.」
あの笑顔が、何度も脳裏を過る.
“笑ちゃん、”私を呼ぶあの声が、何度も脳内再生される.
声をかけ続けられるにつれて、どんどん心地よく感じてしまうあの声.
私に、酷い言葉をぶつけられても懲りずに好きだって言ってくれる人.
徐々に、アイツに絆されてる私がいる.
アイツと話すだけで、アイツのことを考えるだけで、心がほの温かくなるような気がする.
そして、今日の出来事.
抱き締めてくれた時、初めて知ったアイツの温かさ.
思いの外大きかった身体. 優しく撫でてくれた男の人らしい手.
あの人は、きっと私を受け入れてくれる.
そんな彼に、私は何をしてあげられるのだろう.
料理??
プレゼント??
知恵??
こね??
何をしたらいいのか分からない.
与えられるだけというのは、性に合わない.
それに、きっとアイツはお礼が欲しいわけじゃない.
犬島が私に与えてくれるもの.
それは、親が子に.子が親に.人が友に.恋人に.仲間に与えるもの.
お礼なんていらない.
ただただ、好きだから与えてしまう.
それは、無償の愛ってものなんだろう.
「どうして、犬島は….」
この疑問は、もうずっと前から頭に浮かんでは消えていくもので.
聞いたところで仕方ない.
どうせ、私には分からないものだと諦めた.
でも.
でも.今は知りたいという気持ちが少しずつ強くなってきている.
知りたい.
たった少しでもいい.私も、そういう気持ちを知ってそれを彼に返したい.
どうしたんだろうか.
いつもならこんなこと思わないのに.
私の心の奥の暗い気持ちを、初めて聞いてくれた人だからかもしれない.
もしかして、私――.
少しずつ心を開いてきているのか??
不意にケータイが震えたので、ケータイをポケットから取り出す.
暗い中で白く光るディスプレイが眩しい.
メール画面を開く.
カコカコカコ
この無機質なボタン音が好きだ.
何でだか分からないけど、落ち着く.
電子の波で届く手紙の送り主は、犬っころ.
『20○○/12/19 22:51:12
送り主:犬っころ
To:猫乃笑
Sub:もうすぐ着くかな?
TEXT:さっきはマフラーありがとう.
凄く暖かくて、助かってるなう!(笑)
もうすぐお家に着くかな?
こんな夜遅くに女の子一人なんてやっぱり心配だ(‘・ω・`)
今更だけど、ご飯すっごく美味しかった.
ありがとう.
また食べたいな~なんてね.
今度は、一緒に何処かに遊びに行こうよ.
もうすぐクリスマスだし、その時にでも.
まだ家に着いてないんだったら気を付けて帰ってね.
返事はまた後ででいいから.
それじゃあ、また.
――……犬島』
クリスマス.
もうそんな時期なのか.
どうしよう.
とりあえず、ケータイを再びポケットにしまう.
暇だったら、遊びに行くのもいいかもしれないな.
ご飯も喜んでくれたみたいだし.
「良かった良かった.」
自然とこぼれ出た言葉を、自分の耳で聞き、脳で言葉が反芻した.
そして、何故か直観的に思った.
明日、お弁当を作っていってやろう.
と.




