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Confession phobia  作者: nEin
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12/28

12.好き


お腹がいっぱいで有頂天になっている時.

気分が上がりますよね.


美味しご飯を沢山食べて上機嫌の犬島くん.

彼は、上機嫌になると爆弾を投下していく癖があるようです.


「はー、美味しかった!!今日は御馳走様でした!」


寒空の下、笑ちゃんと笑ちゃんのお母さん以外は猫乃家を振り返った.

お母さんは、ニコニコしながら“また来てね”と言って手を振ってくれた.


「猫乃先輩、御馳走様でした.」

「美味かったぞ.」

「どういたしまして.」


魚津さんと小鳥くんも、笑ちゃんと3人で、和やかに挨拶を交わしていた.

挨拶が終わると、もうお開きの空気.

俺、こういう雰囲気苦手なんだよね.何だか寂しくって.

日曜の夕方の気分に、少しだけ似てる.


「じゃあ、これで.」


もう一度、笑ちゃんのお母さんにお礼を言って歩き出す.

魚津さんや小鳥遊くんとは別の道だから、帰りは1人だ.

ちら、と笑ちゃんを見る.

視線が完全にぶつかったが、笑ちゃんは気まずそうに目を逸らした.


今日はいろいろ急展開だったし、どうしたらいいのか分からないんだろう.

これ以上いろいろして、複雑な気分にさせたくない.

焦らなくても、笑ちゃんはきっと俺のこと受け入れてくれるから.

だから大丈夫.

そう自分に言い聞かせて、笑ちゃんに声をかけないまま道を進んだ.


次第に、魚津さんの大きな笑い声も聞こえなくなっていった.

ああ、あんな大きな声が聞こえないってことは、本当に皆帰っちゃったんだな.


「はぁ――.」


息が白い.


「がお――.」


小さい頃は、こうやって白い息を光線に見立てて怪獣ごっこをやったんだっけ.

懐かしいなぁ.

小さい頃は、確か好きな子なんていなかったんだよな.

特別な“好き”がよく分からなくて.

そのまま中学生になって、成長して.

そりゃあ、女の子と付き合った経験だって人並みにはあるし、告白をしてくれた子もいた.

それなりに経験は積んできたつもりではいるんだ.


「あ――.」


こうして考えると、自分から好きになったのは笑ちゃんが初めてなんだよなー.

どうして、こんな風に好きになれたんだろう.

好きになって、人生で初めて告白して、人生で初めてフラれて、体験したことないくらい切なくて悲しくて.でも、諦められないくらい好きで.

今日の笑ちゃんの話を聞いて、ますます幸せにしたいと思った.


「こら、犬っころ.」

「∑うっへぇい!!?」


背中に衝撃が走った.と同時に耳に心地いい声が聞こえてきた.

俺の胸の辺りまでしかない小さな身体で体当たりしてきたのは、案の定俺の良く知るお姉さん.

勝ち気で、負けず嫌いで男勝りで、でも寂しがり屋でパッと見やんちゃそうな、

本当は優しくて可愛い人.


「変な驚き方.」

「うん、全然気づかなかったから.」


寒い中、ここまで走ってきたのか鼻と頬っぺたが赤くなってた.


「…赤くなってる.」

「ん、」


頬っぺたを、両手でそっと包んであげる.

小さな顔.やっぱり冷たい、赤くなった頬っぺた.


「どうしたの??俺、何か忘れ物でもしてた?」

「これ、寒いから.」


そういって、笑ちゃんはふわふわした白い布を俺の首に巻きつけた


「マフラー??」

「うん.私のじゃ短いかもしれないけど.我慢して帰れ.」

「いいの?笑ちゃん寒くない??」

「もう一個あるから平気だ.」

「ありがと.じゃあ、ありがたく借りるね.」


それで、ここまで走ってきてくれたのか.

こういう所、優しいんだよなぁ.


「それだけ、だから.」

「うん、ありがとう.」

「それじゃ、気を付けて.」

「家まで送るよ.」

「大丈夫.一人でも帰れるし.」

「そっか、分かった.」


「それじゃ、」

「また明日ね.」


別れの言葉を交わして、笑ちゃんは来た道をゆっくりと歩き出した.

小さな背中が、どんどん遠くなっていく.


「笑ちゃん!!!」


不意に、声がかけたくなって.俺は少し大きな声を出した.

小さな背中が、驚いたように振り返る.

何が言いたいのかも決まっていない.

でも、ひとつだけ確かなことがある.何度伝えても、足りないことを.また君に.


「だ――――い好きっ!!」

「∑//!?」


思わず口から出た言葉は、言い慣れた好きという言葉.

遠いからよく分からないけど、彼女の肩が小さく跳ねたような気がする.


「……ば―――――か!!!」


少し間を置いて聞こえてきた声は、恥ずかしそうに困惑していた.

とりあえず、この想いが伝わっていることは確からしい.

憎まれ口を叩きながら、それでも俺の言葉を聞き、受け止め返事をくれる笑ちゃん.

そんな君が、俺は好きで好きで仕方ないんだ.


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