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推しの姉が逆ハーレムを築く世界に転生しました〜推しを見守るだけのはずが、初恋が動き出しました〜  作者: ゆい
祝福の中で

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8/10

いつもと違う朝

第八話です。


少しだけ、昨日とは違う朝の話。

 朝、カーテン越しに薄く差し込む日差しの眩しさに、私は目をゆっくりと開いた。まだ眠気の残る頭のまま身体を起こすと、不意に視線を感じた。


 視線の方を向くと、紫の瞳と目が合った。


 肩が少しびくっと揺れる。


 いつもなら、目が合った瞬間に逸らされるのに、今日は違った。アリアは変わらず、こちらを見つめている。


 しばらく見つめ合っていると、不意にアリアが口を開いた。


「……おはよう、リリア」


 静かにいつもより柔らかい声で挨拶された。アリアから先に挨拶をされるのは初めてで、少しびっくりしてしまう。


「……おはよう」


 たどたどしく返すと、アリアが少し嬉しそうに微笑む。それだけのことなのに、私は胸の奥が落ち着かなくなって、変に口元が緩みそうになる。


 そんな時、昨夜のことを思い出した。


 震えた背中。鋭く尖った声。酷く冷えた布団。


 最後に見た涙で溢れながらも笑う姿。


「……アリア」


「なあに」


「あのあと、こわいゆめ、みてない?」


 そう聞くとアリアは何かを思い出したかのように目を伏せるから、私はそわそわして落ち着かなくなってしまう。


「……ええ。もう、大丈夫よ。」


 その声は初めて聞くくらい穏やかだった。


 私は、ほっと胸をなでおろした。


「そっか」


 窓の外では、小鳥の鳴き声が聞こえるくらいに、暖かくて穏やかな朝が広がっていた。


 しばらくして、部屋の扉が静かにノックされる。


「おはようございます、お嬢様方」


 扉が開かれ、廊下での小さな騒めきに私ははっとした。朝の支度のために、侍女が何人も部屋の中へ入ってくる。侍女達はいつものように微笑みながら挨拶をし、カーテンを開ける。


 朝の柔らかい日差しが、部屋いっぱいに広がった。


 あまりの眩しさに私は思わず目を細める。


「まあ、今日はお二人とももう起きていらっしゃるのですね」


 侍女が少し驚いたように笑う。


「珍しいですわ」


 その言葉に驚いてついアリアの方を見てしまう。アリアの動きはいつもより少し遅かった。


 昨夜のことが頭をよぎって、胸の奥が妙にざわつく。


 アリアの動きが気になって、私はずっと目で追ってしまう。


「リリア」


「……?」


「髪、少し乱れているわ」


 そう言って、アリアが私のそばへ来る。私が目をぱちぱちさせている間に、優しく撫でるように、細い指がそっと髪へ触れる。


 指が髪を梳くたび、くすぐったかった。何だか離れがたくて、私はじっとしていた。


 アリアからふわりと、花みたいな香油の香りがした。


「……痛い?」


 アリアが小さく、喉が詰まったかのように尋ねる。


「……ううん」


 首を振ると、アリアは少しだけほっとしたように目を伏せた。その横顔を眺めながら、今日のアリアはやっぱり少し違うなと思う。


「……まぁ!」


 不意に小さな声が聞こえた。振り返ると、侍女が目を丸くしてこちらを見ていた。


「どうしたの?」


 アリアが尋ねると、侍女ははっとして慌てて首を振る。もう1人の侍女が彼女の頭を軽く叩く。


「いえ……失礼いたしました」


 そう言って頭を下げた。


 その表情は、どこか嬉しそうで、ずっと見たかったものを見つけたみたいに微笑んでいた。


 私は訳が分からなくてきょとんとしてアリアを見た。けれど、アリアは何も言わず、静かに目を伏せていた。

読んでくださってありがとうございます。


昨夜の出来事をきっかけに、少しずつ変わり始める二人の距離を書きたくて、この話を書きました。


小さな変化ですが、感じ取っていただけたら嬉しいです。

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