表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
可愛い弟を溺愛しながら生きていく  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/92

80.極楽鳥と猿の退場劇

「はっ!」


 護衛より早く動いたのは、ベスと私だった。ベスの蹴りが侯爵の腹にめり込む。ダガー状の暗器を、侯爵の手首に突き立てた。動いたタイミングで落ちたルカは、くるんと回って着地する。猫のような身のこなしで、大きく伸びて座った。


「悪い、ルカ。おいで」


 呼ぶと素直に近づき、抱っこを強請る。抱き上げてよしよしと頭を撫でた。


 痛みに呻く男は、もう元侯爵だった。遅ればせながら騒動に気づいた貴族女性が数人、悲鳴を上げる。その声に周囲の視線が集まった。人目に晒されながら、反逆者の烙印を押された男が拘束される。


「お父様!」


 父の劣勢におろおろしていた極楽鳥令嬢が、悲鳴のような声を上げた。彼女も今夜限り、貴族令嬢としての肩書きがなくなる。屋敷に戻っても、すぐに差し押さえが始まるだろう。


 貴族であることを誇るのは構わないが、その肩書きで他人を殴れば己の拳が痛む。その程度の知識も与えられなかったと思えば、多少、同情の余地はある。修道院へ行くなら構わないが、身を落とすようならウルティアの領地内で拾おうか。


 幸い、裁縫や刺繍の技術はあるだろう。貴族令嬢の嗜みが、手に職という形で役立つはずだ。


「ソル侯爵、並びにご令嬢はこちらへ」


 まだ正式に爵位のはく奪が確定していないため、騎士は最低限の礼儀を守った。連れていかれ退場する一派を見送る。ざわつく会場内の貴族は、やや引いた様子でセシリオを見ていた。


「はぁ……ウルティアを舐めていたのは俺のほうだな」


 ここまでやるとは思わなかった。そんな口調で椅子に座り直したセシリオは、大きく息を吸ってゆっくり吐き出した。高ぶった感情を抑えるためだろう。


 ルカを抱いたまま、用意された椅子に腰かける私は足を高く組んだ。


「このくらい、本来はフリアンの役目だ。それが出来ないから、ビビアン嬢に危害を加えられたのではないか?」


 呆れ半分の声が漏れる。国王派の公爵令息がきちっと対応すれば、その親族に手出しはしないはず。甘く見られたから、ビビアン嬢へ矛先が向いた。それをいなすだけの立場を、なぜ彼女に与えなかった?


 遠回しに「王家の煮え切らない態度が悪い」と突きつけた。父上は胸ポケットに触れた手を、ゆっくりと離した。あそこに針の暗器を仕込んでいたな。母上は扇を広げて顔を隠し、くすくすと笑う。どうやら楽しんでいただけたようだ。


 カランデリア様は先ほどの赤ワインを飲み干したらしく、今度は白ワインを掲げて微笑んだ。妖艶で美しいが、背筋が凍るほど恐ろしい。あの方も何か考えがあって逗留(とうりゅう)しているのだろうが……ウルティアが巻き込まれるのは確実だな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
公爵も魔銃をポケットにしまいました。 ……出番なかったですわ。流石はウルティア一族ですわね。小人王国のシャドウナイフ一族とシャドウナイト一族と闘ったら良い勝負が出来ますわね。 公爵令嬢が扇を広げて微笑…
強!!凄いです!! 馬鹿猿はこれで終わり!極楽鳥を拾うつもりもあるとは!懐が広いですね!深いだっけ?(汗)なんにせよ、ベスさん達がただ者ではないのが周りに広がりますね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ