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可愛い弟を溺愛しながら生きていく  作者: 綾雅(りょうが)9月は3冊!


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229/254

229.他国の未来よりお見合い優先

 当代のサンバドル王に聖獣がいないのは、下半身事情と関係あるんだろうか。部屋に引き上げて、そう呟いた。素直な疑問だ。ベッドに腰かけたベスが髪を乾かしながら首を傾げる。


「ありそうな話だけど、それでいくと先代王にもいないと思うわよ?」


 先代は聖獣がいた。それを引き継いで、当代は誤魔化した。ところが聖獣が寿命なので、新しい聖獣が……そこで気になった。聖獣の寿命って、何年だ? もしかしたら、私よりルカのほうが長生きの可能性もあるのか。


「お姉様って、どうでもいいことを気にするのね」


「そうか?」


「そうよ。だって、事故で明日死ぬかもしれないでしょう? そうしたら寿命は明日までになるじゃない」


 考えても無駄か。まあ、可愛いルカが長生きしてくれたら嬉しいし、当然ベスも長生きしてもらいたい。それでいいかと笑ったら、ベスが両手を広げた。


「お姉様、抱っこして」


「珍しいな」


 にこにこと笑顔で待っている可愛い弟を、そのままにする姉ではないぞ? 近づいて膝裏に手を入れ、抱き上げる。筋肉があるからしっかりしていて、見た目より重い。だが顔に出すほど無粋じゃないぞ。


「重いでしょ」


「うーん、そうでもないかな」


 きゃう! 足元でルカがぶんぶん尻尾を振る。まさか、飛び乗る気か? ベスをベッドに降ろしたのを待っていたように、空いた腕にルカが飛びついた。ずるりと落ちそうになり、慌てて抱きかかえる。


「危ないぞ、ルカ」


 きゃうぅ……。唸ったのは文句か? 


「ベス、サンバドル王国への対応はどうする?」


「ある程度考えているわ。でもね、今の私は明日のお見合いのほうが大事なの」


 そうだった。明日はベスとグラシアナの見合いだ。ひそひそと二人で話し合い、ベスは自室へ引き上げた。残されたのは興奮して眠りそうにないルカと……くしゃくしゃのベッドだけ。


 シーツを引っ張って整え、ごろりと寝転んだ。グラシアナはまだまだ少女で、子どもだと思っていた。それが見合い……相手がベス……。


「似合いだな」


 グラシアナはベスの女装に偏見がない。分家の出身だから、一族のしきたりも詳しかった。外部から嫁を貰うより、よほど現実的だ。それに可愛い。ここが重要だ。可愛いだけで半分くらい許されるからな。


 いろいろ考えながら、まだ眠りそうにないルカを手招きする。大喜びでベッドに飛び乗ったルカを抱え、ツノを避けて首筋に顔を埋めた。何度も背中を撫でて……気づいたら朝だった。ずっと逃げられなかったのか、ルカは腕の中から睨んでくる。


 すまない、寝たら出てっても良かったんだぞ?

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― 新着の感想 ―
ルカちゃん、寝てるアリスさんの腕の中から逃れられなかったw 聖獣が欲しい国は、その内締め上げないとですかね?実は以前の聖獣は、毛を白く染めた偽物だったりしてw
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