220.まさに自業自得の最期
支配階級が憎まれ、民に殺される。どこの国でも起こり得る出来事だった。権力に胡坐を掻き、偉そうに振る舞う。搾取するだけで還元しなければ、民の我慢は怒りへと変換されるだろう。それが憎しみまで達すれば、襲い掛かることも考えられた。
「愚かだな」
呟いた声に滲んだ感情を察したのか、母上は溜め息を吐いた。
「私達も気を付けなくてはね」
「もちろんだ」
カランデリア様も無言で同意する。
イラリオが殺されたことについて、特に思うことはない。元婚約者といえど、ほとんど交流がなかった。顔を合わせれば罵るだけの男に、どうやって気持ちを傾けろというのか。
さらに詳しい話が付け加えられる。カランデリア様の握っていた情報だ。我がウルティアへ向かうカランデリア様が、王に「絶縁」を叩きつけた。契約解除通知らしいが、カランデリア様は絶縁状だと言い切る。その後、王はモンタネールに戦いを仕掛けようとした。
あの愚かな王ならやりかねない。その先鋒として、イラリオを使おうとした。
「あの男にそんな実力はないはずだ」
疑問ですらなく断言できる。王宮で開催される八百長の剣技大会ですら、参加できない実力の持ち主だぞ? 全く以て、呆れるほどに弱い。街中の衛兵のほうが強いぐらいだ。父親である王には適当な言い訳をしてきたイラリオの実力が、忖度なく報告された。
使えないことに怒り狂った王が、彼を城門から放逐したらしい。
「それで民に襲われたのか」
なるほどと理解したが、ふと気になった。イラリオを回収しようとした貴族は、王家の血が欲しかったのだろう。使えない王子でも種馬にはなる、と。なぜ回収前に襲われたんだ?
「わかるでしょう? あの性格だもの。貴族が馬車に乗せる前に、民へ暴言を吐いたわ。相当ひどい言葉だったらしくて……挙句に近づいた子どもを蹴ったそうよ」
その暴力が決定打になった。暴動状態になっても、城門を守る兵は動かない。閉ざした門の内側に籠り、貴族は身の危険を感じて脱出した。残されたのは、愚かな男一人。なんとも締まらないが、自業自得だろう。
「カランデリア様、もう一つだけ教えてください」
「いいわよ?」
「蹴られた子どもは無事ですか?」
「ふふっ、もちろんよ。母親が保護したし、父親はきちんと報復したわ」
子どもは国の宝だからな。無事だと聞いてほっとした。向かいの母上は呆れ顔だが、何も言わなかった。何度でも言うが、私はあの男に気持ちがないからな。死のうが生きようが関係ない。
残っていた焼き菓子の最後の一枚を手に取り、バリバリと音を立てて噛み砕いた。やっぱり美味しい。モンタネール王国とは今後も仲良くして、この菓子を購入させてもらおう。
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ふぅ_( _*´ ꒳ `*)_この作者はすぐに設定を忘れるんだから。イラリオの最期、ちらっと匂わせたの忘れていました(o_ _)o))




