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可愛い弟を溺愛しながら生きていく  作者: 綾雅(りょうが)魔王様コミック発売中!


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206/215

206.縁談の理由は想像がつく

 翌朝、日が昇るのを待って移動が開始された。予想以上にイサベル様の文句が多い。しかし、ガスパルの顔を見て馬車の中に引っ込んだ。機嫌が悪いのを通り越し、にこやかな笑顔になったガスパルは怖い。うっかり突いたら、完膚なきまでに叩きのめされそうだった。


 こういう危険な雰囲気は、正直……好みだ。腹黒い奴は面倒くさいだけだが、突き抜けた信念を持つ奴は好ましい。この辺は周囲に説明しても「え? 両方面倒じゃん」と返されてきた。モニカに乗る私の隣にブリサを並べ、ベスが話しかける。


「こういう男が好きなの? 厄介なお姉様だこと」


「そういえば、もうシルベストレに戻らないのか?」


 過去に男性でいるときはシルベストレ、女装中はベスと呼ぶルールを作った。なんとなくだが、まだ女装気分でいるような気がする。見た目は鎧を着た立派な戦士だが、雰囲気かな。話し方だけではない。本人の纏う空気が違う。


「ん? ずっとベスでいいかなと思ってね」


 にこりと笑う。リボンを結んでいなくても可愛い! もちろん結んだらもっと可愛いが、素のままでも可愛い弟だ。


「いいと思うぞ」


 シルベストレのときは「姉上」と呼ばれる。ウルティアの次期当主として、他家に舐められないよう気を張っていた。それが解けて柔らかくなったのは、一族の立ち位置の変化が影響したのだろう。たとえ女装で相手をしようと、他国は何も言えない。


 舐めた口を利けば潰されるし、モンタネールの女王カランデリア様もベスのことは気に入っている。複数の国に跨る交通の要所となるウルティアに、盾突ける貴族がいないのだ。国を傾ける気なら戦えるが、そこまでする国もない。


 強者であること、それは外から介入させない意思を貫ける立場も含まれる。なんとも気分のいいことだな。馬に揺られながら、ルカのことを考える。あの子はサンバドル王国の聖獣だが、私の飼い犬になった。となれば、聖獣の主人だから……王より私のほうが偉いのではないか?


 捩れた短いツノ、白い毛皮、もふもふな我が儘ボディに可愛い鳴き声。抱き上げると私の首や頬を舐めまわすのも、愛らしい。最近ふっくらしてきたが、あれは絶対に太ったな。野生時代よりいい肉を食べているからか。以前は灰色の仲間に意地悪されていたようだし。


「お姉様、ルカのこと……考えておいた方がいいわよ」


 ちょうどルカに意識を飛ばしていたタイミングでの忠告に、わかっていると頷いた。縁談はサンバドル王国から持ち込まれただろう。理由はルカだ。聖獣を手に入れようと、その主人である私に粉を掛けた。まあ、後悔する未来しかないと思うが……。


 ちらりとガスパルの横顔を確認し、縁談を持ち込んだ相手に訪れるであろう惨劇を想像した。

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― 新着の感想 ―
未来の惨劇!w行動が遅すぎるからw ルカちゃんもアリスさんも、あの国には渡せませんね!万が一にも大丈夫だけど!w
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