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可愛い弟を溺愛しながら生きていく  作者: 綾雅(りょうが)魔王様コミック発売中!


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205/212

205.厄介な男のほうが好ましい

「縁談? ベスにですか?」


「いや、アリスにだ」


「これとは別に?」


 驚き過ぎて、ガスパルを指差す。行儀が悪いと自分で指を下げたが、彼は気にした様子がなかった。というより、伯父上を凝視している。


「失礼。いま、ベアトリス殿に縁談と聞こえたのだが」


「そう言ったからな、違って聞こえたら問題だろう」


 伯父上は武芸も達者だが、口も立派だ。ガスパルは思わぬ反撃に、口を噤んでしまった。だが気持ちが勝ったのか、また口を開く。かなり頑張っているな。


「俺が婚約者なのに縁談を?」


「向こうはそんなの知らん。年頃の娘、それも有力な一族の総領家の子だ。縁談が来ない方がおかしい」


 腕を組んで胸を反らす伯父上は偉そうで、外見のみすぼらしさが霞む。いや、無理だな。


「どうでもいいが、伯父上。臭い」


「ん? そうか? まだ五日目だぞ」


 五日も体を拭いていないのか? いくら旅の空でも人前に出ていい状態じゃない。睨みつける私に「やれやれ、アリスも女か」と吐き捨てて去っていった。本当に臭い。だいたい、私は生まれてからずっと女だ!!


「個性的な人だな」


「伯父上は普通だぞ。風呂が嫌いなだけだ」


 擁護するわけではないが、個性的と表現するのは違う。一族にはもっと個性的な連中がいる。上には上がいて、伯父上は中の中くらいか。そんな雑談をするが、ガスパルは流されなかった。


「婚約者がいるのに縁談……当然、断るんだろうな」


「……相手と条件による」


 一族にとってメリットの方が大きければ、婚約者の入れ替えもあり得る。悪戯心で脅したら、効き過ぎたらしい。目が据わった。それはもう、命を懸ける覚悟が決まったくらいの……恐ろしい顔でにたりと笑う。これは……ヤバイ。


「ああ、気にするな。相手と条件が良ければ、変更もあり得るだろう。だが、相手が生きていてこそ……だぞ?」


 遠回しでもなく直球で、相手を処分して終わりと凄む。背筋がぞくっとした。こういう男のほうが好ましい。狂うくらいの覚悟もなく、我が一族に加われるはずがない。


「イサベルを急かし、明日出発する」


「わかった」


 ウルティアにとっては予定通りだ。イサベル様には悪いが、今のガスパルは魅力的だった。ぞくぞくする。止める気はない。縁談を持ち込んだ相手は気の毒だが、この際、ガスパルを判断する試金石になってもらおう。


 機嫌よく鼻歌まじりに王城へ戻る。隣で変な顔をしているが、どうした? 尋ねてもガスパルは無言を貫いた。追いかけられたアマンドは、グラシアナに数発殴られて顔が腫れている。殴り返さないのは偉いぞ。そう伝えて、私の分も一発見舞った。カンデラに手当てしてもらえ。

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― 新着の感想 ―
不潔過ぎる!wなのに、特徴としては普通!? それはともかく、ガスパルさん…闇オチ!?そして、アリスさんの好み!??夫婦仲が深まりそうで…まだ婚約者だった!まあ、この分なら夫婦になりそう? 馬を暴走させ…
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