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可愛い弟を溺愛しながら生きていく  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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118/124

118.可愛い服で上機嫌だったのに

 日が暮れる前なので、買い物に出かけた。ワンピース分の支払いは、商隊主が負担する。予算の心配なく、可愛い服を探した。裕福な平民や下位貴族の普段着用として、質のいいワンピースが店頭に並ぶ。その中で目についた店に入った。


 入り口から混雑しており、数人の男性が外で待っている。どうやら中で買い物をする女性の付き添いや護衛のようだ。私は腕を組んだベスを連れて、悠々と店に入った。ほぼ女性ばかりの店内だが、恋人同士で腕を組んだ姿も見受けられる。


「どのような服をお探しですか?」


 カップルは見栄を張って、高い服を買うことが多い。その意味で、私達に声をかけたのは正解だろう。金髪に緑の瞳の私、灰銀の髪に青い瞳のベス。顔立ちもあまり似ていない。父親似の私と、母親に似たベスを兄妹と判断するのは難しかった。


「レースやフリルをたっぷりと使った可愛い服はあるか? 色は柔らかな黄色やピンクがいい」


「お待ちください」


 すぐに服を探しに行った店員が戻るまで、店内をぐるりと見まわした。髪飾りやアクセサリーがいくつか展示されている。店としては高級店に分類されるのだろう。服を山積みにして選べ! が一般的な平民の店と違い、きちんと飾られていた。展示する服の数は少なく、奥から持ってくる方式のようだ。


「こちらなどいかがでしょう」


 尋ねるような口調だが、持ってきた服に自信があるらしい。店員の思惑通り、ベスは一目で気に入った。組んだ腕をぎゅっと引き寄せ、可愛いと呟く。


「これがいい?」


「ええ、これがいいわ。でも、ほかにも素敵な服があるかも」


 お兄様と呼ばないベスに合わせて、恋人のように振る舞った。私達の様子を見て、店員が次の服を持ってくる。あっという間に周囲に服を着たトルソーが並んだ。囲まれて、まるで舞踏会のようだ。


「これ、それから……」


「こっちはルカにも似合う色よ」


 ベスに言われて、柔らかなオレンジの絹に目を止める。珍しい色だが、とても美しい。ルカは白い毛皮に緑の瞳だから、反対色のオレンジは映えるだろう。想像して口元が緩んだ。


「では、この生地で仕上げてほしい服がある」


 ルカの寸法を身振り手振りで伝えて、追加注文とした。選んだ服はオレンジのワンピース一着とピンクのアンサンブルが一式、それからミントの上着だ。ルカの服も注文したので、少し予算オーバーだった。問題ない範囲なので支払い、領収書と追加注文の受取書をもらう。


 宿へ届けてくれるよう頼み、店を出た。サイズ調整が必要なので、購入してすぐ着用は出来ない。二人で歩き出したところで、後ろから声がかかった。


「君たち……ちょっといいかな」


 こういう呼びかけは、たいてい厄介ごとなんだが? 眉根を寄せて振り返った。

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― 新着の感想 ―
厄介ごと!主人公の宿命…。やたらトラブルに巻き込まれる! 折角の綺麗なドレスで上がったテンションが下がりそうですね(汗)
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