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可愛い弟を溺愛しながら生きていく  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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102/104

102.突きつけられた痛い事実 ***リコ

 父が亡くなった、その知らせを持ってきた伯父も傷だらけだった。囲まれて襲撃され、立派に戦って死んだと教わる。疑う余地なんてなかった。涙した母も俺も集落の皆の助けがあって、なんとか生き延びる。そうなれば、恩返しをしたいと考えるようになった。


 盗賊に殺された父親の仇が討てて、なおかつお金が手に入る。高収入の大きな傭兵団なら、仕送りもできるはずだ。そう考えてあちこち入団試験を受けたが、なぜか全部落ちた。それなりに腕は立つのに……不満を募らせていた俺を拾ったのが、アロンソだった。


 アバスカル傭兵団のボスを務めるアロンソは、人のいい男だ。荒くれ者の傭兵達も一目置く強者で、穏やかな人柄も評価されていた。副長のレグロも訓練では容赦なく冷たい男だが、普段は陽気なお調子者にしか見えない。徐々に馴染んできた頃、仕事が入った。


 当初は置いていくと言われたが、どうしてもと頼み込んだ。無茶をしない、後ろで商人の護衛に徹する約束で同行が許される。商隊だから仕方ないが、女がいたので不安になった。あいつら、災いを招くんじゃないか? 悪い予感が当たったように、盗賊が現れた。


 戦い、数で押され気味になったところに、ひょろい男が参戦した。すぐに斬り捨てられて終わると思ったが、驚くほど速い。一人を斬った直後、もう別の盗賊に剣先を向けていた。速いが軽くない攻撃を浴びせる姿には感服する。顔の傷も風格があった。


 女連れでも十分すぎる強さを見せた男の奮闘で、盗賊が引き上げの合図を出す。ここで後ろから追撃すれば勝てる! 俺の判断は間違いないはずなのに……ひょろい男が「無駄だ、やめろ」と水を差した。しかもアロンソがその判断を支持する。


 不満を抱えたまま、宿での食事が始まった。少しの酒が入り、我慢できずに食って掛かる。鼻で笑うような態度と、こちらを見下す傲慢さ。貴族と聞いて納得する。だから人の痛みがわからないんだろう。


 斬りかかろうとして剣を奪われ、短剣も防がれた。そのうえ、とんでもない発言が飛んでくる。


「リコだったか? お前は理解していない。あの盗賊はこの街にもいる普通の父親や兄だ」


 は? 何を言っている? 意味が分からない。いや……薄々感じてはいた。村には外部から金銭を得る特産品もなければ、行商も立ち寄らない。それなのに、村では手に入らない品物があった。調味料であったり、服であったり。それはどこから入ってきた?


 明らかに身分不相応な絹が村にあったこと、見たことのない果物をもらったこと。様々な不自然さに目を瞑った。その末路がこれか? 暴かれた事実が突き刺さる俺に、アロンソはさらりと解雇を告げた。レグロより冷たく、剣より鋭く。


 故郷が盗賊の村だとしたら、俺はどこへ帰ればいいだろうな。

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― 新着の感想 ―
試験に落ちまくった…性格に難あり!だからなのか、盗賊の村!出身だからなのか…。にしても、女性軽視まで!ホントに駄目駄目ですね! どこかの村で、住み込みで雑用でもしてれば、それなりに幸せになれるのでは?…
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