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最凶の人生~思考盗聴器と共に生き、本当に一度死んだ男~  作者: 時田総司(いぶさん)
7章 天国から地獄へと墜落した大学編

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6 カメラに映る人は皆、承認欲求モンスター

 ゴールデンウィーク、時田は新幹線で実家に帰ることにした。景色を眺めたり、寝たり起きたりしていたら、実家の最寄り駅に着いた。

 キャリーバックを転がしながら、駅内を歩く。


『どしたんかなー?』


 音声送信は鳴り止まない。

 が――、

 駅構内に時田を気に留める人は一人も居ない。


「! ……」

(これが、普通……そうか!)


高校時代、地元県内で他校の女子生徒にまで漏洩していた時田の個人情報。しかし、関東近辺で大学生活を行っている今、この県で時田を気にする人など居ない。


(見られてない……。この県では俺や思考盗聴器の情報なんて風化していくかも知れない……就職は、地元にしよう……)


 駅の北口を出ると、父が車で迎えに来てくれた。


「おかえり、元気にしとったか?」

「……まあまあ」


 地元は、田植えの季節になっていた。

地元に帰った翌日、時田は軽トラで田んぼがある山へと連れていかれた。朝、なんとなく気だるく、眠気眼をこすりながら軽トラの助手席に乗っていた時田だったが、次の瞬間、目が覚めるような光景を目の当たりにした。

 湿った土の匂い。一面に広がる緑の風景。田畑が、美しく風に揺れていた。すーっと心のもやもやが消えていく感覚がした。そして、


『へへ、調子乗っとるな、コイツ』


音声送信で、高校時代にお世話になった先輩達の声が聞こえてきた。


『野球やってみろよ、いい事があるけぇな』


(はい、ありがとうございます)


 時田は心底、地元に帰って良かったと思った。山から家に帰って、少し考察した。今日の先輩の声、何かを見て言ってる様だったな。あと、音声送信は基本、未来からの声だった……ような? 岸田君と、大学の寮に引っ越す前に、会話して分かった。今の行動を変えると、未来も変わり、音声送信の内容も変わる……? 色々試してみるか……?


(でも……)


 ごろんと、実家の畳に転げる。


(今は何もしたくないや。何も考えたくない……んー)



 まったりと、昼寝を決め込んで寛いでいた。

 心は軽くなった。でも――


『声』は消えてくれなかった。


 ――、


 のんびりできたゴールデンウィークも過ぎ、大学生活が再び始まった。

 6月頃、時田は一大決心をする。高校まで続けてきた部活動を、大学でも始めようというのである。

 通っている大学は、姉妹校があり、こちらの本校から、その姉妹校に移動して、部活動を行う形となっていた。部員の先輩の親が、車を出してくれたのでそれに乗せてもらって姉妹校に移動した。

その部活動だが、環境が劣悪だった。


「Oはどこ行った? 探してこい!」

「はい……」


 部活中、先輩の姿がない。何処で油を売っているのやらと部員全員で探していると1人が口を開く。


「あそこじゃね?」


――、


「ゴクゴク……あー涼しぃ」


「O! テメぇ何クーラーの効いた部屋でコーラ飲んでんだぁ?」

「ぎゃっはっは」


(えぇ……? 笑いごとか……?)


 こんな感じで、遅刻してくる者、そもそも部活に来ない者、高校時代とは打って変わって、底辺のような部活動だった。

 極めつけは――


「ZZZ……」

(監督、練習中に……)



「パァン!!」



「ふがっ!? な……ナイスバッティン!」


(打球音で起きた……)


 日々の練習に、参加する度に思った。



(高校時代、本当に部活動の環境に恵まれてたんだなぁ)



 しかし、せっかく始めた部活だ。高校時代にできなかった事をしよう。高校時代は、サポート役に回って、個人的には活躍の場がなかった時田だ。このレベルの部活なら、レギュラーになれるかも知れない。大学では、自分の為だけに部活をやってみよう。意気揚々と部活を始めた時田だったが、この部の実態を知り、意気消沈するという話はまた次の機会に。


 テレビを見たり、ネット配信を見ていると、その出演者の音声送信が聞こえてくるコトが多くなってきた。


(気まずいだけなんだが……)


 この番組見て、だとかこの後もチャンネル変えないで、だとか、アピールされた。


(視聴している有名人の声が聞こえて、普通の人は喜ぶのだろうか……? 自由にさせてくれ)


 時田は、有名人という言葉には弱くなかった。


 さて、講義で出されたレポートを作成していたらとある有名人から、音声送信が届いた。その人物とは島田紳〇である。その声の内容はこんな感じだった。


『お前、ようこんな環境で単位とれるのう』


(!? し……島田〇助……? まさか、な……)


『俺らなんかが同じ目に遭ってみぃ。いいとこニートやぞ』


(ニ……、ニートでいいんだ……!)


 時田の心はパァっと晴れやかになった。


 こんな状況で、果たして就職なんてできるのか――?


 ずっと不安だったコトだ。大学生活、初めのうちは講義をまともに聴くことすらできなかったのに、果たして――

 そんな中、何故かは知らないが、島田紳〇の声が聞こえてきた。それで、ニートになっても仕方ない、という内容の言葉が聞けた。 

 時田は肩の荷が下りた気がして、気が楽になった。レポートも終わり、暇な時間ができた。ふと、『思考盗聴器』と、ネットで調べてみた。すると、衝撃の内容のページに辿り着いた。

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