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最凶の人生~思考盗聴器と共に生き、本当に一度死んだ男~  作者: 時田総司(いぶさん)
7章 天国から地獄へと墜落した大学編

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2 初めて勉強する内容、集中力が要りますね

 オリエンテーションは終わり、初めての大学の講義が始まる。初めての講義は微分積分学だった。


『面白いんかなー?』


『誰この人?』

『さあ?』


(黙れよぉ!)


 音声送信が邪魔をする。それは時田にとって、うるさくて仕方がない。

 その講義では、学生達の実力を確かめる為に、抜き打ちテストを行った。


『できるんかなー?』

(黙れ)


(まるで集中できない。これが4年間続くのか……? 考えただけでゾッとする……)


 時田は問題用紙を目に入れ、シャープペンシルを動かす。


(2x……)




『騙された!』




(!?)



『面白くなーい!!』



(!!?)


 音声送信の女は、何か大声で意味不明な言葉を発していく。


『ホント誰? この子』


(ちょっと待て、こっちが聞きたいわ。何とかして黙らせてくれ。テストに集中できない)


『お父様! お母様!』


(!? 何が言いたいんだ……?)


『お父様それ! お母様そこ!』


(???)


(ダメだ……全くついていけない……)


 テスト中、時田は集中力を欠いたまま、時間だけが過ぎていく。



「よーし、そこまで」



「!」


 抜き打ちテストは終わってしまった。


(実力の半分も出せなかった……)


「このテストの結果で……」


 何か講師が言っていたが、耳に入ってこない。


『騙された! 騙された!』


 耳に入ってくるのは、耳を塞いでも聞こえてくる、音声送信の女の声だけだ。


(これで単位を取れ、と……。俺が何かしたのか? どうしてこんな人生を送らなければならなくなったんだ……)


 時田は悲観的になっていき、頭痛がしてきた。


 その後も、講義が続いたが――、


『騙された!』


『お父様! お母様!』


 音声送信が鳴りやまず、集中力を欠いた。


 全ての講義が終わる頃には、時田の精神はボロボロになっていた。


(た……倒れるなら寮の部屋に着いてからだ……人に迷惑をかけてはいけない……)


 時田はふらつきながら、寮への帰路を辿る。


「ガチャ」


 部屋の鍵を開ける。そして――、


「ボフッ」


 布団の上に倒れ込んだ。


(いつまでこんな生活を送らなければならないのだろう……?)


 大いなる不安が、彼を襲っていた。



 ――、


 講義が進む度、イライラが募る。



『騙された!』

『お父様! お母様!』

『お父様それ! お母様そこ!』

『お父それ! お母そこ!』



(うるさい……)


 音声送信がうるさすぎて、まったく集中できない。


 そんな中、C言語についての講義が始まった。時田にとって高校時代少し触れた、微分積分学ならともかく、全く触ってもないC言語の講義だ。


(何とか食らいついて……)


 いけるわけもなく、まるで話にならないほど、時田の頭に入ってこなかった。そして前の様に、


 ふらつきながら寮への帰路を辿る。


 気付けば、毎日のように――


「ガチャ」

「ボフッ」


 布団に倒れ込む日々が続いていた。


『騙された! 全然面白くなーい!!』


(いやな、俺はお笑い芸人でも漫才師でも何でもないのだから、僕に笑いを強要しないでくれよ……)


 薄れゆく意識の中、時田は律義にも音声送信の女に、言葉を返してやるのだった。これを律儀と言うのはどうかと思うのだが……。



 ――、


 その後も音声送信は続いていたが、ある日あの『騙された女』の声はピシャリと聞こえなくなる。


『おい、大丈夫か? 生きているか?』


(な……なんとか)


 毎度の如く、布団の上で倒れこんでいる僕に、一人の女が話し掛けてきた。


『あのうるさいのは別の部屋にぶち込んどいた。それと……』


(?)


『俺のコト、覚えているか?』


(お……俺っ娘……!)


 時田は初めての人種に、目が飛び出しそうだったが、助け船を出してくれた女性に失礼のないよう、

平静を装った。


(わ……分からない)


『そうか……まあいい。これで勉強とかやれるな? 単位とるの、頑張れよ』


 声の主は去って行った様だった。


(後でお礼を言わないと……)


 それからは、音声送信が全て無くなったとは言えないが、だいぶましな状態になり、時田は講義に多少なりとも集中できるようになった。



 実習が主な講義を受けていると、時田はよく感じるのだった。『世の中は案外、物理的なモノで溢れている』と――。

 例えば、電子回路の実習では、ワイヤーが長かったり、よれていたりすると、計測される波形がブレていたりする。


(以前調べた、思考盗聴器の対策、アルミホイルを巻くというのも、案外有効な対策かも知れない……)



 ある日のC言語の講義の中――、


「この画面の――、ソースを――、インターネット上に――」


「!!!?」


 僕は講師の言葉を聞き、咄嗟に携帯電話を手にする。講義中だったが、思考盗聴器についての情報を検索した。検索した結果辿り着いたのは……。



 思考盗聴――連結ブログ。



(なんだ……これ……?)

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