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最凶の人生~思考盗聴器と共に生き、本当に一度死んだ男~  作者: 時田総司(いぶさん)
7章 天国から地獄へと墜落した大学編

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10 〇ーっこにっ〇動画

 近頃、時田が思うコトがある。



 今実際に会っている、話している人の音声送信が聞こえてきて、疑問だ。



(目の前の人が、未来とかから話し掛けてくるのか……? もしそうだったら、先輩と話している時が気まずい)


「おはよう」

「おはようございます!」

「――、――」

「はい、そうですね(と、いうコトにしておこう)」



『何だ? そんなことを考えてたんだ?』



 先輩からの音声送信が頭に響いた。


「!(す、すいません……)」


 相手が何も言っていないのに、時田は心の中で謝った。


(やりづらいな)



『思っても言うな』は分かる。


『思っても思うな』は無理がある。


 ちょっとでも邪な考えを持つだけで、周りに知れ渡る。元々、聖人でも何でもない時田が、常に模範となる感情で生きているとは言えず、つい、反感を受けるコトを思ってしまう時がある。何より、


(自分の時間が、一秒もない……)


 音声送信は、朝起きてから夜寝るまでひっきりなしに聞こえてくる。


『また、朝が来てしまった』


 中学の時と同じようなコトを思う日もある。誰かに見られているだけではなく、常に誰かに話し掛けられているのだ。その上、


『今集中したいから、黙ってくれ』


 これが、通用しない。しかも、音声送信をしている人同士で、時田を媒体として会話を始める時もある。


『――だよな』

『ああ、――だ』

『それで……』


(自分が道具扱いされてる……? 俺は携帯電話か何かかよ……)


 ひとまず、問題だらけの生活だ。


(早く思考盗聴器や音声送信を使用できない様にして、人間らしい人生を送って行きたいものだ)



「オイーっす、ヤガイに時田。通信科、もう飯やったんやな」



「おーう」

「北村……」


 平日、昼休憩のことだった。北村とは、ヤガイと同じ高校出身で、電子科の同級生のことだ。よく3人で食堂で話す。


「アレ、言うとったやろ? 6画面でゲームするやつ。ヤガイ、アレ見ぃ」

「ぜってぇ見ぃひん」

「はは、見てみよ。そういや、緑のキノコが襲ってくる奴、新しいの――」


 時田は、悪い縁も良い縁も持ち易い気質なのか、ナルや店長みたいなのに目を付けられることもあれば、こんな感じにたわいない話をする友人をすぐ作れていた。


「今期アニメな、何かないんか、ヤガイ?」

「バイトで見てへん」


 ここで時田が切り込む。


「アニメというと、2人とも……」


『ん?』


「『お兄ちゃんのことなんかきらい』みたいなやつあるじゃん」


「あぁーあるなぁ」

「あれどうなん? 何なん、あれ?」


「あれ、実際妹の方な……」



『ゴクリ……』



 食堂全体が、時田の次の言葉を待つように静まり返った。



「めっちゃ好き」



『ぎゃっはっはっは!! マジかぁ!?』


「ははっ、はぁー……(案外、上手くやっていけてる。独りで関東に出て、たった1人で戦っていくとか、気負い過ぎていたのかもな……)」


 時田が過去を振り返った時、一番楽をしていたのが、この18歳から20歳の頃の2年間だった。平穏は、赦されていないようで、案外――

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