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スキルマスター  作者: とわ
第一章 ムーン・ブル編

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48.ウォーターフィッシュ


「硬かったな~」


「うんうん」


 剣を鞘に戻した俺は、手を振りながら痛みを紛らわせるように話した。ダガーを鞘に戻したモモも、両手を同様にしながら返事を戻しつつ二度頷く。背後のリリーは、俺達の下に歩み寄る。


「ウォータークラブはお腹の方が柔らかいので、そこを攻撃するといいかもしれませんよ」


「そうか! あの体ならひっくり返せばしばらくは起き上がれないだろうし、その方がいいかもな!」


 両手で杖を握るリリーが話し、俺は思い出したかのように声を上げて話した。カニは甲羅よりもお腹の方が柔らかのは、この世界でも同じの様だ。


「次もカニを倒す?」


「いや、カニは倒せるのが分かったから他の奴をやってみよう。リリーもそれでいいか?」


「はい。大丈夫です」


 モモが首を傾けて尋ねた。返事を戻した俺は異論なさそうなモモを見たあと尋ね、リリーが返事を戻した。






「次は、あれにするか?」 


 周囲を見渡した俺は、サンゴの群生地から飛び出した大きな魚を見つけて尋ねた。


「何あれ!? おっきな口~!」


「あれは、ウォーターフィッシュですね。いいと思います」


 奴を見たモモは驚いて話したあと、両手で口を裂くようにする。それを見たリリーは微笑み、落ち着いて返事を戻した。


 ウォーターフィッシュは、えんじ色の鱗の魚のモンスターだ。大きさはマグロの様だが、頭は大きくて口元はオオカミの様に大きな歯が鋭くギザギザに生え揃う。


(魚みたいに動くな。魚だけど…)


「さっきみたいにやるぞ」


「うん」


「わかりました」


 ゆったり泳ぐ状態から素早くサンゴの後ろに姿を隠した奴を見た俺は、そう思考した。再びゆったり泳ぐサンゴの背後の奴を見た俺は声を掛け、モモとリリーが返事を戻した。


 俺は奴に慎重に近付いて行く。モモは奴の死角になるであろう位置に向けて移動し始め、リリーは杖を構えてその場で待機する。サンゴ礁の背後を行き来している奴は、俺に気付いてこちらに顔を向ける。そのあと、体をブルブルと震わせ始める。


(お兄ちゃん、避けて!)


「はっ!?」


『ヴォン』


 突如、俺の頭の中にモモの叫び声が届いた。大きく口を開いた奴の前に水が集まり始め、それに気付いた俺は咄嗟にその場から横に飛び退く。俺が居た場所を、水球が風を押しのけながら音を立てつつ通り過ぎる。


「危なかった。まともに食らってたら、吹き飛ばされてたな。三層のモンスターは水魔法を使うと言ってたが、あのブルブルが打つ前のモーションか?」


 前転から着地した俺は、今さらマリーの言葉を思い出しながら呟きつつ奴を見る。奴は魔法を使用した反動のためか、ゆったり泳ぎながらサンゴの陰に隠れようとしている。


(今なら、余裕で攻撃が当たる!)


 好機と判断した俺は立ち上がる。睨みを効かせながら奴に素早く駆け寄り、そのまま大きく剣を振りかぶる。


「食らえ!」


『バリバリバリ!』


 掛け声と共に振り下ろされた剣が、音を立てながら奴の複数の鱗の割りつつ身まで切り裂く。


「鱗が邪魔かと思ったが、カニよりはましだな。だが、空中に浮いてるせいで攻撃は当て辛いか…」


 先程とは異なり十分な手応えを得た俺は余裕を覚えたが、同時に若干の戦い難さも覚えて呟いた。


(この距離を保つか!)


 俺はそう心に決めた。今は魔法の対処手段がないためだ。奴が大きく口を開く。


「まさか!?」


 悪寒が走った俺は思わず声を上げていた。奴は魚が泳ぐように体を波打たせながらこちらに急接近しつつ鋭い歯で噛みつこうとする。


「この程度!」


 声を上げた俺は、咄嗟に盾を構えてそれを防ぐ。この隙に、モモが奴の背後に周る。


「やーーー!」


『シャリシャリシャリリン!』


 助走を付けて奴目掛けてジャンプしたモモは、声を上げながら空中で技ありを見せる。二本のダガーを鱗の隙間から滑らせて振り抜く。奴の鱗は音を立てながら大量に地面に剥がれ落ち、身が大きく露わになる。


「「はああああ!」」


 続けて、着地して振りむくモモと俺は息を合わせて声を上げた。俺が奴の頭部に目掛けて剣を、モモは顕わな身の部分に目掛けて二本のダガーを大きく振りかぶる。


『グシャ! ズバズバ! ビタン!』


 ほぼ同時に複数の音が響いた。痛みでで苦しむ奴の頭部を俺が砕いてモモが身を大きく引き裂き、2人でそのまま地面に叩き落としたためだ。奴はそのまま霧になり消滅する。


「「イエーイ!」」


『パチン』


 小気味良く連携を決めた俺とモモは、声を上げながらハイタッチを決めた。リリーがこちらに小走りで向かい寄る。


「お疲れ様です」


「ああ。楽勝だったよ」


「ねえ、見て見て! 水色だよ」


 リリーが声を掛け、俺は余裕を見せて返事を戻した。モモはドロップ品の水晶を拾い上げ、掌の上に乗せてこちらに差し出しながら話した。


「それは、ブルーストーンですね」


「二層のより一回り大きいが、これは高く売れるのか?」


「はい。気持ち程度ですが、少し高額で買い取ってもらえます」


 はしゃぐモモを微笑ましく見ているリリーが話し、俺は尋ねた。リリーは微笑む表情を俺に向けながら返事を戻した。


 このあと、夕暮れが訪れたため、俺達はキャンプ地を探すことにした。




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