85.無詠唱
「覚え方自体は簡単で、剣術スキルを覚えたい時は剣を振ればいいの。火魔法を覚えたい時はファイヤーボールを使えばいいの。そうするとピンときたり、ゾワッとするような感覚がきて覚えられるの。いかがかしら?」
「確かに、覚え方自体は簡単そうだが…」
「やってみないと分からないよね?」
「うん。私もそう思う」
別の資料をなぞるマリーは疑問に尋ね、思案な俺は口元に手を当てて返事を戻した。思案な様子のモモはノンに疑問に尋ね、同意な様子のノンはモモとマリーに返事を戻した。
「今はそうでしょうね。でも、スキルを一つ覚えたら納得してもらえると思うわ」
「そういうものなんだろうな。分かった。これはあとで試してみよう」
「うん。そうしよう」
「そうしましょう」
確信な様子のマリーは笑みを見せて話し、経験則な俺はモモとノンを窺いながら話した。笑みを見せるモモとノンは、明るく返事を戻した。
「じゃあ次は、スキルの技について話すわ。技は、スキルから派生したものになるの。剣術スキルで言えばダブルスラッシュ、火魔法で言えばファイアボールよ。
ここで重要になるのがイメージで、技は基本にはイメージを頭の中で鮮明に起こさないと上手く発動しないの。イメージがぼやけていると不発になったり、時には暴走したりもするわ。暴走はレベルの低い間は大したことないから今のうちに経験しておくのもいいわ。何言ってんだこいつみたいな顔をしてるけど、初心者の間はギルドでちゃんと治してあげるから安心して。
それと、技の覚え方は、とにかくやってみること。技は数がもの凄く多くてまだ発見されていないのもあるの。だから、とにかくやってみるしかないの。やったあとは、スキルの覚え方と同じで感覚がきて覚えられるの。一般的な技の参考資料はカウンターの奥の図書室に置いてあるから、一度目を通しておくといいわ。とりあえず、ここまではいいかしら?」
「これも、やってみないと分からないな」
「うん…」
「今は、なんとも言えないわね」
お姉さんな様子のマリーは慣れたように話し、観念な俺と同様な様子のモモとノンは脱力して話した。
「やり始めれば直ぐに慣れるから、頑張ってね。じゃあ次は、技の使い方よ。一度覚えた技は、基本的には技名を口にすれば発動するわ。直ぐに慣れて無詠唱もできるようになるんだけど、発動が不安定になったり、周りの人を巻き込んだりもして注意点が多いからお勧めはしないわ」
『バン!』
「そんな簡単に無詠唱ができるのか?!」
「できるわよ。でも言ったでしょう。注意点が多いからお勧めはしないわ」
「ん? どういう意味だ?」
引き続きなマリーは再び慣れたように話し、興奮な俺は思わず両手をテーブルに突くと同時に立ち上がり、疑問に強く尋ねていた。冷静な様子のマリーは静かに話し、困惑な俺は疑問に尋ねた。
「そうね…。ルーティは、モンスターを無詠唱で倒す冒険者を見て憧れたのかもしれないけど、そのやり方だと強いモンスターは倒せないの。高レベルになればなるほど連携が大事になって、時には複数のパーティで倒したりもするの。そんな中でスキルを無詠唱で使うと連携が取れなくなるのはイメージできるかしら?」
「まあ、できる」
「強いモンスターを倒せる冒険者になりたいなら連携は絶対に必要だから、無詠唱は止めておいた方がいいわ」
(連携が必要って、この世界の戦闘は結構難しそうだな。だが)
慎重なマリーは疑問に尋ね、平静な俺は返事を戻した。引き続きなマリーは諭すように話し、冷静な俺は話しが噛み合っていないと思考した。
「そっちは分ったよ。だが、対人戦はどうなるんだ?」
「えっ? ああ、ごめんなさい。そっちを気にしてたのね」
「いや、俺も興奮して誤解をさせて悪かった。ごめん。それで、対人戦だとどうなるんだ?」
「対人戦は、無いとは言い切れないけどあまり気にしなくていいわ。今の時代、人間同士で争ってる場合じゃないでしょう?」
慎重な俺は疑問に尋ね、冷静なマリーは頭を下げて話した。冷静な俺は軽く頭を下げて疑問に尋ね、和解な様子のマリーは返事を戻して疑問に尋ねた。
「3年前の事とか復興の話か?」
「ええ、そうよ」
「なるほど」
(対人戦を気にしなくていいなら、今までの価値観を少し壊した方がいいな)
推測な俺は疑問に尋ね返し、お姉さんな様子のマリーは返事を戻した。納得な俺は着席して話し、軌道修正が必要と思考した。
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