49.新スキル
俺が目を開けると、木目の板が見える。宿の天井だ。
「朝か~」
窓の隙間からの朝日を浴びて目覚めた俺は、伸びをしながら声を出した。
昨日のダンジョンからの帰路は、行きと同様な様子で他の冒険者達や馬車や村人達と行き違いながら街に辿り着く。そのあとそのまま宿に帰ったため、今日は朝の混み合う時間を避けてギルドに向かい換金を行う予定だ。
モモを起こした俺は、2人で朝食や諸々を済ませたあと部屋に戻る。俺とモモはベッドの上に向かい合って座る。早速、俺は昨日に入手した水晶をストレージから取り出し、ベッドの上に広げる。鑑定するためだ。数多くの色違いの水晶に対して、俺は順次に鑑定スキルを使用し始める。モモは、水晶を手しながらあれこれと角度を変えながら眺め始める。
「見えたー! お兄ちゃん! 見えたよ!」
「やったな! だが、俺はもっと見えるようになったぞ!」
【鑑定】
ーーーーーーー
レッドストーン(火属性)
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【鑑定】
ーーーーーーー
ブラックストーン(闇属性)
ーーーーーーー
しばらくして、モモが両手を広げながら歓喜の声を上げた。鑑定スキルを習得したようだ。称えた俺は負けじとこの間の成長を自慢するように声を上げ、続けてスキルを使用した。
成長した鑑定スキルは、名前と、その隣に属性が表示された。水晶の名称はどこかで目にしたような気がするが…、そんなことはよくある話だ。
「どうやら、これには属性があるみたいだぞ」
「属性?」
「ああ。モモはゲームをやったことがないから分かり難いかもしれないが、属性は結構重要だったりするんだぞ」
「そうなんだ~」
俺は話しながら水晶を指で一つ摘まみ、透かすようにして眺め始める。モモが首を傾げながら尋ね、俺は説明を付け加えた。相槌を打つかのような返事を戻したモモは、俺と同様にして水晶を眺め初める。
「それと、属性は色で分かるみたいだな」
「どういうこと?」
「この、赤いのがあるだろ。これは火属性なんだ。それで、こっちの黒いのは闇属性」
「へ~。それなら分かり易いね!」
「たぶん合ってると思うが、ギルドに行った時にマリーに確認しよう」
「うん!」
モモの少し悩む様子を微笑ましく見ている俺は説明を続けた。モモが首を傾げて尋ね、俺は視線をベッドの上の水晶に戻してそれらを指で示しながら説明した。相槌を打ったモモは理解したと言わんばかりの明るい表情で返事を戻し、そのあと色の異なる水晶を掌の上に集め始める。俺がそう伝えると、モモは嬉しそうに返事を戻した。
【ステータス】
(最初だから、すぐに上がったな。それと、他の人から鑑定されない理由が、なんとなく分かったな。こんな画面が出るなら、やたらと使えないからな。それにしても…、ずっと水晶を見てたから、目が疲れた)
俺は鑑定スキルの成長を確認するため、ステータス画面を開いた。鑑定スキルは、レベルが3に上昇している。気づいた内容を纏めた俺は老眼に怯えながら壁にもたれ掛かり、
(あっ。今の俺は、若いんだった…)
うっかりした。
「ねえ、お兄ちゃん。なんか、新しい技が増えてるよ。お兄ちゃんも増えてない?」
「ん?」
【ステータス】
俺がしばし休憩を挟んでいると、自分のステータス画面を確認しているモモが尋ねた。相槌を打った俺は、再びステータス画面を開いた。
「おっ? 俺も増えてるな。チャージドスラッシュと、シールドバッシュだ」
スキル欄を確認し始めた俺はそれらに気付き、習得した技名を伝えた。片手剣スキルのレベルも10に上昇している。
「チャージドスラッシュは、力を溜めた攻撃でいいのか? 堅い虫が居たから、その時に覚えたんだろうが…。シールドバッシュは、盾を叩きつける? ん~…。よく分からないな…」
「ねえねえ。私は、ダブルスラッシュを覚えたよ?」
壁から体を起こした俺は、思わず顎に手を当てながら首を捻りつつ呟いていた。モモはこちらに声を掛けながら這い寄り、俺にもたれ掛かるようにして座りつつステータス画面を見せつけて尋ねるように話した。
(じゃ、邪魔だな…)
「ダブルスラッシュは、たぶん二連続の攻撃だろうな。虫を倒しまくってたから、その時に覚えたんじゃないか?」
「あっ、こっちも見て。いつの間にか上がってる」
モモの頭で自分のステータス画面が見えなくなった俺は、邪険に思うも尋ねた。返事を戻さなかったモモは、ステータス画面を指差しながら話した。俺が確認すると、光魔法のレベルが11と、その隣に、ライト、ヒール、プロテクトの魔法が表示されている。
「空いた時間に練習してたからな。その成果が出てきたんだろう。今度、そのプロテクトは使ってみよう。たぶん、使える魔法だからな」
「そうなの?」
「プロテクトは防御力を上げる魔法だから、どんな時でも役に立つんだ。それに、効果とその時間を把握しておきたいからな」
「ふ~ん。分かった!」
(もしかすると、頼られていると思っているのか?)
俺が話すと、振り向いたモモはキョトンとした表情で首を傾げながら尋ねた。俺が説明すると、返事を戻したモモは得意気な表情を見せる。思考した俺は、モモの可愛らしさに思わず微笑む。俺達は、再びステータス画面を確認する。
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名前:ルーティ
LV:8
ギルドランク:F
HP:76
SP:72
MP:65
力 (STR):48
攻撃力(ATK):51
生命力(VIT):51
防御力(DEF):50
知力 (INT):40
抵抗力(RES):41
器用さ(DEX):43
素早さ(AGI):46
運 (LUK):39
スキル
スキルマスター
片手剣 LV10:チャージドスラッシュ
盾 LV10:シールドバッシュ
水魔法 LV13:ウォーターボール、アイスニードル
空間魔法 LV13:ストレージ
鑑定 LV 3:
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名前:モモ
LV:8
ギルドランク:F
HP:75
SP:73
MP:70
力 (STR):43
攻撃力(ATK):46
生命力(VIT):39
防御力(DEF):39
知力 (INT):41
抵抗力(RES):40
器用さ(DEX):43
素早さ(AGI):53
運 (LUK):50
スキル
ニュータイプ
片手剣 LV12:ダブルスラッシュ
二刀流 LV12:ダブルスラッシュ
光魔法 LV13:ライト、ヒール、プロテクト
風魔法 LV13:サイクロン
空間魔法 LV 7:ストレージ
鑑定 LV 1:
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「レベルは8か。思ったより、上がらなかったな」
「あんまり長く居なかったし、今度はもっと長く居ようよ!」
「そうだな。そうできるように、何か考えるか!」
俺は、若干テンションを下げつつ感想を述べた。モモが楽し気に話し、元気をもらった俺も楽し気に返事を戻した。
このあと、俺達は互いにアイディアを出し合う。話し合いと小用を済ませて、ギルドに向かうことにした。
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