16.ずれてる?
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今は22話の戦闘が終わったところまで修正してあります。
背後に振り向くマリーは、棚の引き出しから免許証のような白色の小さなカードを取り出す。向き直り、右手のカードをこちらにカウンター上を滑らせるようにして差し出す。前方からこちらに吹く風がマリーの長髪をいたずらに揺らす。
「こちらの冒険者カードに、お名前を記入してください」
長髪を右手で整えながら姿勢を戻すマリーは、両手を下腹部の前に揃えて微笑みを浮かべて話した。冷静な俺は、カードを見つめる。上部左側に黒色で記入欄と表記され、下部全面がそれのようだ。
(名前か…。まあ、ルーティでいいか)
平静な俺は、予め予定している過去のオンラインゲームで頻繁に使用していた名前を記入しようと思考した。
(書く物は…、これか?)
慎重な俺は、カウンター上を見回して疑問に思考した。一本刺しのペン立てに立つ羽軸がベージュ色の羽全体が白色に見える羽根ペンを発見する。羽根ペンを右手に取る。
(お洒落だな。使ったことないけど、書けるよな?)
不安な俺は、ペン先を確認しながら疑問に思考した。ペン先はカットされて切れ目のある普通の羽根ペンのようだ。
(間違ってたら何か言うだろう)
冷静な俺は、視線をカードに移しながら思考した。カードを左手で押さえつつ姿勢を少し前屈みにする。視線を上目遣にし、マリーの表情を窺う。変化は見られない。視線を戻し、ペン先をカードの記入欄に運ぶ。ペン先が輝き始める。
(なんだこれ?)
困惑な俺は、思わず動きを止めて七色に変化する輝きを見つめながら疑問に思考していた。七色の輝きがペン先から羽根の上部へと伝わり、羽根ペン全体の色が虹のような色彩に変化する。
(おおっ! 面白いな!)
感動な俺は、思わず目を丸く開いて姿勢を戻すと同時に羽根ペンを視線の高さに引き上げて強く思考していた。
(この羽根ペン、文房具屋で売ってるか?)
興味津々な俺は、左手を顎に当てて羽根ペンを余すところなく観察しながら疑問に思考した。視線が羽根ペンの向こう側の目を丸く開いているマリーと合う。
「クス」
(今の俺、何かおかしかったか?)
唐突に顔を左側に向けるマリーは、同時に口元を右手で隠して小さく声を漏らした。困惑な俺は、思わず視線を左上に移しながら疑問に思考していた。そして、
(あっ! ここは異世界だった!)
うっかりした。
(ふふ~ん。そうだよ。ここは異世界なんだから、こういうのは文房具屋じゃなくて魔法道具屋で売ってるんだ。しまったしまった。気を付けないとな)
あっぱれな俺は、微笑みを浮かべて改めて羽根ペンを余すところなく観察しながら思考した。再びカードを左手で押さえつつ姿勢を前屈みにする。カードの記入欄にルーティと記入する。姿勢を戻し、記入された黒色の個性的な文字を見つめる。
(う~ん、相変わらず字が汚いな…)
残念な俺は、思わず目をしかめて思考していた。
(今更、気にしても仕方ないか)
楽観な俺は、視線をペン立てに移しながら思考した。羽根ペンをペン立てに戻す。
(このあと、どうするんだろう? やっぱり、説明があるのか?)
不安な俺は、視線をマリーに移して疑問に思考した。身なりを整えている様子を見つめて右手を返却のためにカードへ運ぶ。
『チリチリチリチリ』
「ん?」
カードから何かが連続して弾けるかのような不思議な音が届いた。困惑な俺は、思わず視線をカードに移しながら疑問に声を漏らしていた。カード上の全ての文字が導火線のように燃焼すると同時に七色の鮮明な光を線香花火のように放ちつつ消滅していく。
(おおおっ! これも面白いな! 凄く奇麗だ!)
感激な俺は、思わず目を見開いて頬を緩めながら顔をカードに近付けつつ強く思考していた。カード上の最後の文字が儚く燃焼すると同時に可憐な花を咲かせる。
『ボン!』
「うわっ!」
「ブッ」
突然、カードの表面が爆発して音を立てた。驚愕な俺は、思わず上半身をブリッジのように仰け反らせながら声を上げていた。上半身を左側に勢い良く捩じるマリーは、俯くと同時に口元を両手で押さえて面白い音を立てた。
(なっ、何が起きた!?)
混乱な俺は、思わず視界に映し出される雰囲気を醸し出している天井を見つめて疑問に強く思考していた。虹のような煙が視界の下側から迫り来る。
「ゴホゴホ」
(やばい煙か!?)
マリーから咳き込む声が届いた。恐怖な俺は、直ちに呼吸を停止して顎を引きながら視線を虹のような煙の中のマリーに移して疑問に強く思考した。体を左側に向けているマリーは、姿勢を崩して非常に苦しそうだ。
(まずい! このままだとマリーが!)
半狂乱な俺は、虹のような煙の中で腹部を押さえているマリーを歯痒く見つめて助けたいと強く思考した。姿勢を弱々しく戻すマリーは、顔を天井に絶望かのように向ける。
(たかが煙、女神から使命を受けたこの俺が、やられるわけがない! マリー!)
勇敢な俺は、上半身を虹のような煙の中に起こしながら右手をマリーに力強く伸ばしつつ思考した。直ちに虹のような煙を突き抜けてマリーの姿が鮮明に映し出される。
「すう~」
(えっ?)
「はあ~」
背筋を伸ばすマリーは、両手を左右に広げながら胸を張りつつ息を吸い込む音を発した。困惑な俺は、思わず動きを停止して疑問に思考していた。心地良さそうなマリーは、脱力しながら深く息を吐き出しつつ声を漏らした。
「うっ、うん。ごめんなさい。お腹の筋が捩れちゃったわ」
(涙目だけど、全然平気みたいだ。煙もないし…)
咳払いするマリーは、目元を右手で拭いながら顔をこちらに向けて照れ隠しのように話した。呆然な俺は、思わず伸ばした右手を弱々しく戻すと同時にマリーの周囲を確認して思考していた。こちらに向き直るマリーの様子を窺いつつ呼吸を再開する。
「風は、あなたの方に向いてるのね~。うふっ。煙が全部そっちに行っちゃったわ」
「そっ、そうか…」
「ええ」
(筋が捩れて苦しんでたのか。煙は関係ない…)
温かな眼差しのマリーは、話し始めてこちらを見回したあとに少し愉快な様子で話し終えた。混乱な俺は、思わず視線を身の回りの虹のような煙に移して返事を戻していた。マリーから明るい声が届き、困惑な俺は思わず視線を泳がせつつ思考していた。
「どうしたの?」
「あっ、いや…」
(あれ? さっきから俺、なんか色々ずれてるか?)
マリーは疑問に尋ねた。複雑な俺は、思わず言葉を詰まらせて返事を戻していた。続けて走馬灯のように甦る記憶の中で疑問に思考していた。
「大丈夫?」
(いやいや。そこまで俺は、色々ずれてないだろう)
『ヒュルーン』
顔をこちらに近付けるマリーは、再び疑問に尋ねた。不安な俺は、それを否定して前向きな表情をマリーに見せて思考した。前方からこちらに吹く風が目を丸く開くマリーの長髪をいたずらに揺らして優しい音を立てた。巻き込まれる虹のような煙が周囲に拡散しながら鮮やかな煌めきを見せつつ消滅する。
「ふふ。安心したわ」
微笑むマリーは、察するかのように話した。長髪を右手で整えながら姿勢を戻して両手を下腹部の前に揃える。
「それでは、犯罪歴は無いようですので登録はこれで無事に完了致しました。冒険者カードはそのままお持ち帰りください。次回からはそのカードをお忘れにならないよう、ご注意ください」
「ん? もう終わり?」
「はい」
「…」
カードを見つめるマリーは、視線をこちらに移して楽し気に話した。困惑な俺は、思わず目を丸く開いて疑問に尋ねていた。楽し気なマリーは、首を小さく傾けながら返事を戻した。混乱な俺は、思わず言葉を失っていた。
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