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女王の呪い唄  作者: 西季幽司
第二部「志尊の告解」
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殺人計画④

 迂闊だった。

 近所の中華料理屋で夕食を済ませ、部屋に戻ってくつろいでいる内に、寝落ちしてしまっていた。

 睡眠導入剤を飲むのを忘れていた。

 夜中に階下から、どんどんと音がするのに気がついて目が覚めた。

 まただ。夜中に経兄が廊下を歩き回っている。俺が殺した経兄が。功兄を追い詰め、今度は俺の精神を破壊しようとしている。

 幸い、俺は功兄と違って勤め人ではないし、繊細な神経の持ち主でもない。

 今から睡眠導入剤を飲んで、明日は昼まで寝ていれば良いだけだ。もともと明日は屋敷でのんびり過ごすつもりだった。

 耳を澄ませて聞いていると、とっとっとと軽い足音が続いた後、暫く沈黙が続き、ドンドンドンと床を踏み鳴らすような音がする。このパターンの繰り返しだった。

 まるで俺を挑発しようとしているかのようだ。

 いいだろう。経兄の幽霊と対決だ。

 俺は部屋を出た。

 長い直線階段を降りようとして、足を止めた。

 いや、まずい。この階段は危ない。俺をどこかへ連れて行くつもりだ――そんな予感がした。俺は直線階段を避けて、奥の階段へと向かった。

 一階の廊下に出る。

 静かなものだ。何の物音も聞こえない。

 台所に行く。冷蔵庫からペットボトルを取り出す。喉を潤した。


――みしり、みしり。


 来た!足音がゆっくりと台所に近づいてくる。


――みしり、みしり。


 足音が少しずつ大きくなる。

 俺は辺りを見回すと包丁を手に取った。お化け相手に包丁を振り回しても効果はないだろう。だが、そこまで頭が回っていなかった。

 台所の入り口で足音が止まった。

 今、廊下を覗くと、そこに経兄の幽霊が立っているような気がした。

 包丁を握り締めたまま、俺はゆっくりと台所の入り口へと歩み寄った。入り口付近で足を止めると、廊下の様子を窺った。何も聞こえない。お化けは去って行ったのか、それとも廊下でじっと立ち尽くしているのか。

 俺は意を決すると、廊下へ顔を出した。

 真っ暗だった。

 誰もいなかった。経兄が「うらめしや~」と立っていなかった。

「ふう~」俺は安堵のため息をついた。

 馬鹿らしい。もういい。睡眠導入剤を飲んで寝よう。

 そう思った。

 そして、振り返った瞬間・・・

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