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大嫌いなカイル様

私はカイル様が嫌い、きっとカイル様も私の事が嫌いのはず…

いつからでしたでしょう、カイル様が私にお姉様の事を聞きに来るようになったのは…

お姉様はカイル様の事が苦手なように見えます。だから、お姉様の情報をお教えするわけにはいかない…けれど、カイル様だけが知っているお姉様のお話は気になってしまう。幼いときのお姉様は、前に肖像画で見たことがありましたがとても可愛らしかったです。きっと実物はもっとお可愛らしかったのでしょう。

もしも、お姉様がカイル様の事をお慕いしていてるのであれば、私は応援します…恐らく…もしかしたら、でもお姉様はカイル様の熱心なアプローチには全くお気づきになられていない、カイル様がお姉様に罰を与えたりするはずがないのに、お姉様は不安になられて、涙を流していらっしゃった。

お姉様はカイル様からジャケットを剥ぎ取ってしまったと、心配されていましたが、お父様のお話では、眠ってしまったお姉様にカイル様が羽織っていたジャケットをかけて差し上げただけだと。

お兄様は正直にその事を伝えようとされたので、私は絶好の機会だと思い、お兄様の言葉を制止しました。


結局、私の作戦は上手くはいきませんでしたが、お姉様は『結婚しない』とおっしゃいました。私のため…それが優しい嘘だと理解はしています。それに、カイル様と結婚をしなくても、他の誰かと結婚することには変わりないということも。


カイル様が帰られたあと、私達は木陰に座わりました。

「婚約、解消になるのかな?」

お兄様は当然のように、お姉様のお隣に座っています。全然役に立ってくださらなかったのに

「さぁ、分からないわ」


お姉様は十五歳、婚約を解消されたとしたら、すぐに新しい婚約者があてがわれてしまう。よく分からない人が婚約者になるぐらいなら、それならいっそ…

「お兄様がお姉様と結婚するのはどうですか?」


私は前に、お父様に聞いてみました。お父様は、『僕は二人が好きな人と結婚する事が一番だと思っているよ。でも、二人が結婚して家に残ってくれるのは嬉しいな』とおっしゃっていました。


「なっ…アリシア何言ってるんだ」

お兄様は顔を真っ赤にして、狼狽えている。私は少しモヤモヤします。だって、お兄様はお姉様と結婚する事ができても、私はお姉様と結婚することはできないのに…

「…それも良いわね」

「「え?」」

私もお兄様も、お姉様の予想外の反応に声が重なってしまいました。

「そうですよね、そうしたら私はお二人の養子になるんです」

我ながら、名案だなと思います。これで、お姉様とずっと一緒に暮らせますし…は!そうでした

「私が養子になるので、お二人の間に子供いらないですよね。ずっと三人で暮らしましょうね」

「年の近い子供なんておかしいだろ、それにアリシアもどこかに嫁ぎに行くことになるだろうし」

お兄様はなんだかんだ、三人で暮らす話には乗り気のようにも思えます。

ふと、隣のお姉様を見ると、お姉様はお疲れのようで、少しぼんやりとしていらっしゃる。

「随分と面白そうな話をしているね」

先程帰られたはずの、カイル様が何故か戻って来られました。

「帰られたのではなかったのですか?」

お兄様は少し不機嫌そうなお顔をされている。

「君達のお父様と話をして来ただけだよ」

カイル様はお姉様の前でしゃがむとお姉様の手に触れて

「フローレス邸から離れるのが嫌なのであれば、私がフローレス家に婿入りしようかな」

と微笑む。

「カイル様は王太子ですよね?」

お姉様の言葉に、お兄様と私は頷く。

「王位はシャルルに譲るよ、それに父上もまだまだ現役だからね」

カイル様は片膝を地面につけて跪く

「パトリシア、私はいつまででも待つよ。君が私のことを好きになってくれるまで…君と結婚できるなら王位なんていらないよ」

カイル様はお姉様の手を取ると

「それと、パトリシアは勘違いしているみたいだけど、私が愛しているのは君だけだよ」

と言ってお姉様の手の甲に口づけを…

「な、何してるんですか」

私はカイル様からお姉様を引き剥がす、お兄様もお姉様の手の甲をハンカチで拭いている。お姉様はというと、キョトンとしたお顔をされたと思ったら少しずつ顔が赤くなられていらっしゃる。

「父上に頼んでカイル様を出禁にしてもらおう」

お兄様は木に手をついて立ち上がると、ポトッと何かが落ちてきました。

「きゃぁぁ、け、毛虫…と、取って」

お姉様の肩に毛虫がいることに気づいて、私は捕まえようとしましたが、お姉様は正面にいたカイル様に飛びつかれてしまいました。カイル様はお姉様を受け止めると、毛虫を払い落とす。

私はカイル様が一瞬、私に向かって優越感たっぷりの微笑みを見せていたことを見逃さなかった。

「パトリシア、もう大丈夫だよ」

カイル様は、毛虫を払い落とした手と逆の手でお姉様の頭を撫でると立ち上がり

「今日はそろそろ失礼するよ」

と去っていきました。


カイル様は私にあの表情を向けることは初めてではありません。前にお姉様がカイル様にお菓子を食べさせて差し上げたときも…思い出すだけでもムカムカします。


だから、私はカイル様が嫌い、大嫌いです。



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