表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/105

61 悪役令嬢の失態

完全にやらかした…カイルからグラスを受け取ったあとの記憶がまったくない。

目を覚ますと、いつもと変わらない天井…ドレスからネグリジェに着替えている。夢だったのかな?とも思ったが、私の毛布の上には見覚えのあるジャケットが乗っている。私の記憶が正しければ、カイルが羽織っていたものだ。

二日酔いというわけではないし、一杯しか飲んでないはずだから、疲れていて酔いが回るのが早かっただけだとは思う。でも、酔った私は何かしでかしている可能性が…生きてはいるから、殺されるようなことはしていないのかな。いや、これから殺される可能性も…


「パトリシア様具合が悪いんですか?」

考え事をしていて、マリーの気配にまったく気づかなかった。頭を抱えてうんうんと唸っている私を見て、二日酔いで苦しんでいるように見えたようで水を用意してくれた。

「ありがとう、マリー」

そういえば、私ってどうやって帰ってきたんだろう…マリーなら知ってるかな。

「ねぇマリー、私って昨日どうやって…」

「パトリシア様は昨日、旦那様に抱っこされて帰ってこられたんですよ」

「お父様が!?」

どのタイミングでお父様は来てくれたんだろう。私が泥酔して呼ばざるおえなかったのかな?せっかくお父様に感謝を伝えられたのに、やらかしてしまうなんて…情けない。

「お部屋まで運ばれた後はレーネが大活躍だったんですよ」

どうやらレーネが着替えをさせて、ベッドまで運んでくれたようだ。化粧を落としたり、髪を解いて梳かしてくれたのはマリーとアンナみたい。

「見かけによらず、力持ちですよね」

力持ちか…私も剣の稽古のおかげでそれなりに筋力はついた。まさか、酔って暴れたとか…うぅ、考えただけでも頭が痛い。

「それにしても、パトリシア様はカイル様の事が大好きなんですね」

「え?」

マリーは何を言っているんだ。私がカイルを好き?

「パトリシア様、帰って来られてからずっとジャケットを掴んでいらしたんですよ」

私がカイルのジャケットを…え?私が追い剥ぎしたってこと?暴れたうえに追い剥ぎまで!?

「…どうしよう」

不敬もいいところ、今は無事かもしれないけど、これから刑が下されるかもしれない。

「大丈夫ですよ汚れたりしていませんし」

私は汚していないかを不安に思っているのだと思ったのか、マリーはジャケットを持ち上げて軽く叩いた。


「お姉様、おはようございます」

私はマリーに身支度を整えてもらい、部屋を出るとアリシアが駆け寄ってきた。

「おはよう、アリシア」

この笑顔も見納めかもしれない、今のうちにたくさん見ておかないと…いつもならアリシアの笑顔で元気になるけど、今日はそんな気分にならない

「お…お姉様、あんまり見られると…恥ずかしいです」 

アリシアが顔を隠しながら、もじもじしている。可愛い…アリシアならお酒を飲んでも、可愛く酔うだろうな。

「二人とも何してるの?」

セシルが訝しげにこちらを見ている。この子がフローレス家の後継者になるんだものね。私のせいで爵位を剥奪されたりしたら…

「セシル…ごめんなさい」

「な、え?ど、どうしたの姉さん」

私は思わず、セシルに抱き着く。セシルは驚きつつも、受け止めてくれた。

「お姉様、どうされたんですか」

私は申し訳なくて、涙が出てきた。セシルが私の背中を撫でてくれている。アリシアも私の頭を撫でている。

「昨日、何かあったの?ゆっくりで良いから話してみて」

「お姉様に酷いことをする人は、私が許しません」

二人の優しさに、心が苦しくなる。それに二人には私の汚名を背負わせてしまうことになる。

「…もしかしたら、私ここを出ない行けないの」

「え?…それって、カイル様と王宮で暮らすってこと?」

先程まで、優しく背中を擦ってくれていたセシルがすごい剣幕で私の肩を掴む。

「違うの、私…カイル様にとんでもない失礼をやらかしちゃったの。だから…二人には迷惑をかけてしまうけど…」

「何をしたの?」

「…それが記憶にないの」

不安やら申し訳なさでまた涙が出る。二人ともオロオロとしている。

「それなら失礼なことをしているとは限らないんじゃない?」

「でも、私…多分カイル様のジャケットを追い剥ぎしていたみたいで、婚約解消だけで済めばいいんだけれど」

二人はキョトンとした顔をした後、顔を見合わせている。

「あぁ、それなら大丈…」

「それは大変ですね」

セシルが何かを言いかけた所をアリシアが手で制止する。

「でも起きてしまったことは仕方ありません。お姉様がカイル様に「婚約を解消するので許してください」と言ってみるのはいかがですか?」

婚約を解消したいのはあちらの方だから、私から切り出してプライドが傷ついたりしないかな?

「大丈夫ですよ、私はお姉様の味方です」

アリシアが私の手を優しくつつみ込んでくれた。

「僕もついててあげるから、もう泣かないで」

セシルが私の顔を手で拭いてくれた。

本当に良い子に育ったなぁ、二人の成長をこの先も見守っていけるといいけど…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ