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134 悪役令嬢と顛末

悪漢達との戦いがあったからか、夢を見ることなく、ぐっすりと眠ることができた。

「おはようございます。座ったままで結構なので、お着替えのお手伝いをさせていただきますね」

私が身体を起こすと、アンナはすでに部屋にいて、顔を洗うための洗面桶を用意してくれていた。

座ったままで…と言ったのは、足を怪我している私に気を使ってくれたのだろう。

枝やら石を踏んでいたせいで、切傷や擦り傷だらけだから、立ち上がると痛いのは確かだ。


「ご朝食はこちらで取られますか?」

うーん、お父様と話しておきたいこともあるし…

「皆と一緒に取るわ」

「かしこまりました。もう時期、ダリルがこちらに――」

「お姉様!!ご無事ですか?」

「アリシア!!ノックをしろ、着替え中だったらどうするんだ」

バタバタと激しい足音が聞こえたあと、バンッと勢い良く扉が開いた。

「アリシア、セシル。おはよう」

「おはよう、姉さん。朝から騒々しくてごめんね。怪我の具合はどう?」

昨日は帰宅してから、顔を合わせていなかったけど、お父様が説明してくれたのかな?

アリシアは私に抱きつきに行こうとした所を、セシルに首根っこを掴まれて、押さえられている。

「平気よ。二人共、心配をかけてごめんなさい」

「姉さんは悪くないんだから、謝らないで」

「そうですよ」

「……ありがとう」

私が悪くないとは、一概には言い切れないんだよね。

危険だと分かっていて、自ら首を突っ込んだようなものだし。

「あの…お姉様、朝食は一緒に食べられますか?」

「ええ、一緒に食べましょう」

問題は、この足でどうやって一階に降りるかだ。昨日はお父様が部屋に運んでくれて、後の移動はレーネが運んでくれた。

靴の中に綿とかを入れれば、何とか行けるかな?

「姉さん、僕の首に手を回して」

いつの間にか、セシルが目の前に来ていた。

「自分で歩けるから大丈…わっ…」

話している途中だったけど、セシルに持ち上げられてしまった。

「ほら、しっかり掴まってないと危ないよ」

「お兄様ずるいです。私もお姉様のこと抱っこしたいです」

アリシアは頬を膨らませて、ぷりぷりと怒っている。

流石にアリシアが、私を抱っこするのは無理だと思う。


結局、セシルにお姫様抱っこで運んでもらうことになった。

私の部屋を出ると、ダリルが立っていた。

「セシル様、パトリシア様は俺がお運びします」

「ダリルは姉さんの護衛だろ。両手が塞がっていたら、姉さんを守れないだろ」

「……」

ダリルは黙ってしまった。

わざわざ、迎えに来てくれたのに、申し訳ないな。


食堂へ着くと、母上は座っていたが、お父様の姿は見えなかった。

「パトリシア、もう大丈夫なの?」

「はい、平気です。ところで、お父様はどちらに?」

「朝早くに、王宮へ向かったわ」

お父様は王宮へ?そっか、昨日の件で……

話はお父様が帰ってきてからにしよう。


朝食が済むと、また、セシルに部屋に運んでもらった。

……昼食と夕食は部屋に運んでもらおう。


私が怪我をしてしまったことで、アリシアのダンスの練習はセシルにお願いしているし、薬草の様子もアンナ達が代わりに見てくれると言っている。

「ダリル、私は何処にも出かけたりしないから、訓練場へ行っても大丈夫よ」

退屈だけど、昨日の今日でダリルも疲れているだろうし……

「いえ、本来はこうしてお側にいるべきだったので…」

確かに、私の護衛騎士として雇っているのに、お父様とランドルフ隊長が、実力を買って色んな任務に連れて行っていたから、私の側にいることは少なかった。

「それに、少し気になることが…」

気になること……

「では、お茶を用意してもらいましょうか。座って」

「え!?俺は立ったままで大丈夫です」

「いいから座って」


レーネがお茶を用意してくれた。

レーネに下がってもらおうとしたが、ダリルが大丈夫だと言ったので、レーネも一緒に聞いてもらうことになった。

「ジョンさん……御者のおじさんは無事でした」

「良かった…」

ジョンさんって言うのか、本当に無事で良かった。

「それで、ジョンさんが無事だと分かったので、応援を呼びに行ってもらって、俺はパトリシア様の元へ向かったんですが……」

そっか、それでダリルとクラウド副隊長達が来るまでに少し時間が開いたのか。

「どういうことですか?ダリル殿はお嬢様が連れて行かれる所を、何もせずに見ていたのですか?」

「レーネ、違うのよ。私がお願いしたの、ダリルは悪くないの」

心配するよね、護衛をつけているのに怪我をして帰ってきたら。

「それで、気になることって?」

「はい。俺は馬に乗って、後を追っていたのですが分かれ道で馬を降りて、どちらに向かったのか木に登って調べていたら……」

眠らされていたから、どのような道を通っていたかは分からないけど、時間差で後を追うのは大変だっただろう。

「一本外れた道に借馬車が停まっていて。ローブのような物を纏った男がその馬車に近づいて、何かを話している様子を目撃して。馬車には誰が乗っているかは分かりませんでしたが、パトリシア様が狙われた事と関係がありそうな様子でした」

「それは、クラウド副隊長や王国騎士団に報告は…」

その馬車に乗っていたのが、依頼主ってことだよね。

「もちろん、報告しました。ただ、昨夜の雨で痕跡は消えている可能性が……」

それって、雨が降ることを知っていてあえて昨日を選んだって事じゃ……

「捕まった男は六人、ローブの男を見つけた地点から、小屋までの距離を考えると、ローブの男はまだ捕まっていません」

昨日の男達はあくまで捨て駒で、ローブの男が……

「お嬢様はまだ、狙われているということですか?」

「はい、屋敷にいる分には狙われることはないと思いますが……」

証拠が残らないようにしているわけだし、フローレス邸に襲撃には来ないだろう。




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