恋する乙女のプレゼント
私には想い人がいます。
その方と初めてお会いしたのは、私が十二歳の頃、お父様の付き添いで王宮へ行ったときのこと。
カイル様とのお話を終えて、庭園でお父様を待っていると、生垣から突然ヘビが現れ、驚いて転んでしまった私。
そんなときでした…
「お怪我はありませんか?」
私の事をそっと抱き上げて、優しい声色の青年。
王国騎士団の制服をお召しになられた、グレーの髪に緑色の瞳の騎士様。
一目惚れでしたわ。
それから、お父様の付き添い兼カイル様のお話相手で王宮へ行くたびに、お会いすることができるのではと、そわそわとしていましたわ。
ある日、カイル様のお計らいで、騎士様とお話をさせていただけることになりました。
「お久しぶりですね、コーデリア嬢。僕はヘクター=デインと申します」
覚えていてくださったことが、嬉しくてその日の夜は眠れなかったのを覚えていますわ。
ヘクター様は、来月に副団長というお立場になられると伺った私は、お祝いの品をお贈りするべく、セシルと街にお買い物に来ました。
「セシル、男性はどのような物を好まれますの?」
せっかくの贈り物ですもの、喜んでいただきたい…気に入っていただきたいですわ。
「そうだね…相手の男性は騎士だったよね?なら、刺繍入りのハンカチとかが良いんじゃない?それか、ブローチとか?」
「ブローチ…それですわ」
お色はどうしましょう。思い切って、私の瞳と同じ色?ですが、それは私にはまだ早いような…
「ゆっくり選びなよ。僕も見たいものあるし」
セシルはそう言って、別のショーケースの所へ移動して行きました。
「…姉さんに似合いそう」
セシルはパトリシア様のことを想っている。
公爵令息なのに、婚約者がいないのはセシル自身が断り続けいるからだと、カイル様から教えていただいた。パトリシア様を想っているから、断り続けいるのでしょう。
それに、エリオット様も…
エリーゼのお話では、幼少時のエリオット様を侮辱されたご令嬢達と婚姻を結んで欲しくないからだと言ってはいましたが、エリオット様のパトリシア様をお慕いしていることは一目見れば分かります。
私は、カイル様とパトリシア様が結ばれる事を望んでいますが、それが叶ったとき…私達は今までと変わらずに、フローレス邸にお招きしていただいて皆様とお茶をすることはなくなってしまうのでは…と不安になってしまう自分もいます。
それはセシルもエリオット様も、ミシェル様も同じお気持ちでしょう。
それでも、諦めることができないから、アプローチを続けているのでしょう。
私も、ヘクター様をお慕いする方には負けたくありませんわ!!
決めましたわ、ブローチのお色は私の瞳とヘクター様の色が合わさった石に。
「セシル、お互い頑張りましょう」
「へぇ、エレノアは、カイル様側だと思っていたけど?」
セシルは怪訝なお顔をしている。
「それは…そうですけど、恋をする者同士頑張りましょうという意味で…」
「…そうだね、僕にもアリシアという味方…いや、あいつは敵か?いや、それは置いといて。カイル様に負けるつもりはないよ」
最終的にお選びになられるのは、パトリシア様自身。
どのような結果を迎えたとしても…




