117悪役令嬢とルミネージュ王国騎士団
今日はグレンダが騎士団の訓練場へ案内をしてくれる。
昨日のうちに許可を取りに行ってくれたようだ。
「皆さんも騎士団の訓練に興味をお持ちだったのですね」
「ルミネージュ王国の騎士団にはかねてから興味がありましたので、それにうちの騎士達の勉強にもなりますからね」
「私はお姉様の興味のあることに、興味があるので」
私はダリルと行くつもりだったが、皆もついてくるようだ。
「こちらです。丁度打ち合いが始まったところです」
イリースの王国騎士団の訓練場を見たことはないが、とても広くて立派な訓練場だ。
打ち合いは始まったところだと言っていたが、訓練場はすでに熱気に包まれていた。
カッコいい…小柄の女性が大柄の男性に打ち込んでいる。性別だけでなく、体格差もあるのに力は対等に見える。
やっぱり、鍛え方が違うのかな?私も筋トレを増やしてみようかな。いや、イリースでは女騎士はいないのだから、筋肉をつけ過ぎて何か言われるのも…私が言われるのは構わないけど、フローレス家の品位に関わってくるのは嫌だな。
でも、すでに同年代の女性を持ち上げられる程には力をついているから、それなりに腕力はある方だよね。
「どうやって鍛えているのかしら」
「腕立てと腹筋、素振りを百回を三セット。あとは走り込みと…食事にも気を使っております」
私の呟きに気づいてくれたようで、グレンダが筋トレの内容を教えてくれた。
百回ずつならまだしも、三セットも?男性だけでなく女性も同じメニューを!?
「そうすれば、自分のように」
グレンダが私の手を掴んで、グレンダの腕に持ってきた。
「すごい…カチカチ」
女性の腕とは思えない。体格が良いようには見えないのにすごいな、腹筋とかも割れているのかな?
「ふふん、そうでしょう。ですが、自分もまだまだなんです」
これでまだまだって、謙遜なのかはたまた、それ以上の人がいるのか。
「お姉様、お姉様。あちらにいらっしゃるのは」
アリシアに袖を引かれ、視線の先を見てみると身に覚えのある髪色の女性?少女?が剣を振るっていた。
もしかして…
「フローラ王女!?」
「そうですよ。因みにルミネージュ王国騎士団長よりも強い方ですよ」
あのフローラ王女が!?しかも、十二歳の少女が!?
「フローラ王女の強さは王太子に選ばれた理由の一つなんですよ」
そっか、ルミネージュは実力主義と言っていたな。
「フローラ王女は民を思う気持ちがお強いのですからね「私は王女として生まれた身、民を守るのは当然のことですわ」と言って自ら戦地へ赴いて窮地を救ったことがあるそうですよ」
我儘なお姫様だと思っていたけど、思い違いだったようだ。
護られるべき存在である王族が自ら戦地へ向かうなんて…
「素敵…フローラ王女とはもう少しお話をしてみたいわ」
「ふふ、フローラ王女もきっと望まれておりますよ。あ!因みにフローラ王女は昨日の件で、クラーク王子をボコボコにしていましたよ。あれには自分もスッキリしました」
フローラ王女……私も見たかったな。クラーク王子がボコボコにされるところ。
「パトリシア、随分と楽しそうだね」
いつの間にか、カイルが私の隣に来ていた。
「はい、ルミネージュ王国はとても素敵なところですね」
婚約を解消されたら、ルミネージュで騎士になるのも悪くないかも。
「昨日の件で君を連れてきた事を後悔していたんだ。だから、楽しそうな顔が見られて嬉しいよ。まあ、その表情をさせたのはグレンダ殿やフローラ王女だと思うと少し複雑だけど」
カイルは心苦しそうに言った。
カイルも気にしてくれていたんだ。別にカイルが悪いわけではないのだから、気を負う必要はないのにな。
「ルミネージュ王国は気に入った?」
「はい、移住したいぐらい」
「い、移住!?」
「お姉様、その際は私もお供致します」
「当然、僕もついて行くよ」
「俺もパトリシアの護衛騎士として、お供させていただきます」
アリシアとセシル、ダリルがやって来た。騎士の護衛騎士って何か変な感じだけど、ルミネージュの騎士のお給金は三人を養える程の額を貰えるのだろうか。
「パトリシア様、お耳をお貸しください」
グレンダに手招きをされて、グレンダの元へ向かう。
「今晩はもしかすると、バルコニーからオーロラが見られるかもしれませんよ」
オーロラか…前世でも見たことなんてない。それにしても、何故に耳打ち?




