92 悪役令嬢の考察
二度目の社交シーズンも終わり、三度目の社交シーズンも目前だが、私は今、ダリルと一緒にダリルの故郷の村へ向かっている。
ダリルが帰省するときに何度かついて行って、様子を見ているが、変な病気も流行ってなさそうだし、みんな元気に過ごしていた。
「すみません。馬車に乗せてもらって」
「いいのよ、私もみんなに会いたいから」
私がついて行けないときは、馬に乗って帰っているようだ。でも、私がいることで、休暇なのに護衛をさせてしまうのは申し訳ない。
「この前帰ったときに、リックがパトリシア様を連れてこいって…」
村も目前というところで馬車が突然停まり、御者の「え…」という驚きの声が聞こえた。
「俺、少し見てきます」
そう言って、ダリルが馬車から降りた。
「どうしたの?」
少し経っても戻ってくる様子がないため、私も馬車から降りる。
村の前でダリルは固まっている。私はダリルに駆け寄ると、衝撃を受けた。
「…嘘でしょ」
畑や家屋は荒らされて、怪我人も何人かいる。一体誰がこんなことを…いや、今はまず
「ダリル、行きましょう」
私は呆然としているダリルの腕を引く、怪我人の手当てをして話を聞かないと
「大丈夫ですか?」
「パ…パトリシア様」
彼は確か、村長さんの息子さんだ。見た感じ、打ち身と擦り傷はあるが、刺されたような傷はなさそうだ。
「ダリル、綺麗な水を汲んできて」
「分かりました」
本当はダリルに怪我人を運んでもらってから、手当てをするべきだが、土で汚れているようだし、流すためにもこのままここで手当てをするしかない。
「パトリシア様、申し訳ありませんが、今はもてなせる状況ではなくて…」
「もてなしてもらうつもりはないわ。とにかく手当てを」
普段持ち歩いている。包帯や薬だけでは足りないが、応急処置ぐらいはできた。
騎士団では負傷者が出た時のために、手当ての仕方を教えてもらう。ダリルも一緒だったおかげで、すぐに手当てを終わらせらせた。
足が折れていた人もいたが、死人はいないようで少しホッとした。
「一体、何があったんですか?」
村長さんと息子さんに話を聞く。
「早朝、突然襲撃にあって…」
「襲撃!?何故ここが狙われたんですか?」
もしかして、私が未来を変えたせい?
「それは、分からないが…」
「リック、リックは何処にいるんですか?」
ダリルが立ち上がり、辺りを見渡す。負傷者は男性だけだった、リックがいてもおかしくない。
「リックは…リックと子供達は賊に拐われた」
拐われた!?襲撃したのは誘拐が目的ってこと?でも、子供達だけでなくリックまで?ということは
「…犯人の狙いはリック」
「パトリシア様、それはどういうことですか?」
「ただの誘拐なら、子供や女性を狙うはず…それなのに、リックを連れて行くなんてそうとしか考えられない」
私が犯人だったとしても、選ばない。それにリックは私の二つ上で十九歳。簡単に連れて行かれるような体格ではない。でも、リックを狙った理由が分からない。
「何でリック達が」
ダリルは崩れるように座った。
「リックは…あの子はここの領主、エイベル子爵の私生児なんだ」
貴族の私生児…リックは貴族を嫌っていたのはもしかしたら、出生が関係しているのかも
ダリルは頭を抱えて、震えている。
私はダリル手を握る。
「大丈夫、私が必ず助けるから」
これは私の責任でもある。だから私が何とかしないと




