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セシルとカイル2

剣の稽古を終えて自室へ向かっていると、姉さん付きの侍女アンナがお茶を運んでいるのを見かけた。何故かティーカップは二つ用意されている。

「誰か来てるの?」

アンナに問いかける。

「カイル様がいらっしゃって」

カイル様が!?ということは、姉さんの部屋にいるはずだ。

「僕、ちょっと挨拶に行ってくるよ」

急がないと、カイル様の事だ絶対に姉さんに何かするはずだ。


姉さんの部屋に着き、ノックと同時に扉を開ける。

「やあ、セシルいくら家族とはいえ返事もなしに扉を開けるのはどうかと思うよ」

やっぱり、当然のようにソファに座っている。

「カイル様いらしてたのですね。久しぶりに剣の稽古をつけてくださ…姉さん!?」

何故、姉さんがカイル様の膝枕で寝て…

「本当は私が膝枕してもらおうとしたんだけど、成人している人にすることではないって言われたんだよ」

これは姉さんがエリオット様を膝枕していたときに、僕が言った言葉だ。

「だから、訂正しておいたよ。膝枕は恋人や夫婦でするものだって」

余計なことを…早く姉さんをカイル様から離さないと

「セシル、話があるんだけど」

先程まで、僕を煽ってきたくせに急に冷静な表情に変わる。僕はカイル様の向かいに座る。

「何でしょうか」

「ロジャー子爵の件、君のおかげで片付いたよ。感謝してる」

ロジャー子爵、姉さんに気持ちの悪い手紙を送ってきた男だ。年の差は置いておいても、容姿や体型の事や、結婚後希望する子供の人数まで書いている辺りが気持ちが悪い。

「当然の事をしたまでです」

僕の目の届かない所で、姉さんに何かあるといけないから

「まさか君に頼み事をされるなんて思わなかったよ。いつでも頼ってくれていいよ義弟君」

この人は本当に人を苛つかせる天才だ。本当はカイル様に頼みたくなかった。僕が一年早く生まれていたら…なんて何回も考えた。そうすれば、姉さんを近くで守れたのに…

「お礼に、良い縁談を見つけてあげるよ」

「結構です!!」

カイル様はニコニコしている。絶対に分かってて言っているな、本当に良い性格している。

「んー」

僕が大きい声を出してしまったせいで、姉さんを起こしてしまった。

「…あれ、セシル?」

姉さんがゆっくりと身体を起こす。

「うるさくしてごめん」

「もう少し寝てていいよ」

カイル様が姉さんの頭を撫でる。

「いえ、もう大丈夫です」

姉さんがそう言うと、カイル様はあからさまにガッカリしている。姉さんが起きると、近くで寝ていた子猫のダリルも伸びをしながら姉さんの膝に移った。

「セシルはカイル様の事が大好きなのね」

姉さんは嬉しそうに笑う。姉さんが嬉しそうなのは良いけど、カイル様の事を好きだと思われるのは不快だ。

「姉さん、僕もダリル撫でたいんだけど」

僕がそう言うと、姉さんはダリルを抱き上げながら立ち上がる。

「良いわよ」

姉さんが僕の隣に座ってくれた。

「パトリシア、客である私は良いからセシルに構ってあげて」

カイル様は余裕の笑みでそう言った。寛大な婚約者を演じたいなら、客であるなんて嫉妬丸出しな事を言わないと思うんだけど

「カイル様、姉さんに構ってもらえないからって僕に八つ当たりしないでくださいね」

「私がいつ、君に八つ当たりをしたか教えて欲しいな」

この人、自覚ないんだ。普段は何を考えているのか分からないのに、姉さんが絡むと表情も考えもダダ漏れだというのに

「やはり、縁談の…」

「姉さんの前でその話はやめてください」

姉さんに聞かれていたら

「良い人紹介してもらえると良いわね」

と無邪気に笑うだろう。そんなのは絶対に嫌だ。

どうしよう、もしかしたら聞こえていたかもしれない。

「姉さん…」

「セシル、カイル様見て。この子ニャーって言うと一緒に鳴いてくれるの」

姉さんがニャーと言うと、子猫のダリルも一緒にニャーと鳴いた。意思疎通ができていると思われているのか、鳴き声以外では反応しない。それにしても…

「可愛いね(姉さんが)」

「ね、可愛いでしょ?セシルもやってみる?」

カイル様の前でそんな事をしたら馬鹿にされるか、みんなの前で話されて恥をかかされるに決まっている。

「僕はいいよ」

「そう?カイル様もやってみますか?」

「ふふ、私もいいよ。本当に可愛いね、パトリシアは」

「ダリルの話をしているのですが…」

姉さんはそうつぶやき、怪訝そうな顔をしている。姉さんにはカイル様の口説き文句が伝わらなかったようだ。


僕の方が、カイル様よりも姉さんの事を知っている。姉さんと仲が良いエリオット様にだって負けていないはず、姉さんは誰にも譲らない、絶対に


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