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73 悪役令嬢と弟妹

「お姉様、こちらも食べてみてください」

「姉さん、こっちも美味しいよ」

お城に泊まった翌日、私は起きてから今に至るまでアリシアとセシルとずっと一緒に過ごしている。

というのも、夜会の日にアリシアに言われた。「絶対帰ってきてくださいね」という約束を破ってしまったため

「お姉様、お帰りなさい」

「姉さんお帰り、心配したんだよ」

屋敷に帰ってくるなり、二人が駆け寄ってきた。

「心配かけてごめんなさい。遅くなって泊まることになったの」

夜会で何があったかは言わずに、簡単に答える。

「お城にですか!?」

アリシアが目を見開く。

「ええ、早く帰ってこれなくてごめんなさい」

「姉さん、カイル様に何もされてない?」

「カイル様に?何も…」

何を心配しているんだろう。何もさせてはないけど、私がカイルに何かをしたことになるのかな?

「良かった、疲れたでしょ。お茶を淹れてもらおう」

セシルがホッとした顔をしている。

「お姉様、今日はごゆっくり過ごしてください。でも、明日はずっと私と一緒にいてください」

アリシアが私の手を握り、上目遣いで言ってきた。こんな顔をされたら断れない。まあ、断る気もないけど


というわけで、今はお茶しているんだけど、何故か横並びで座っている。

「お姉様美味しいですか?」

アリシアが私に、マドレーヌを食べさせてくれた。

「美味しいわ、ありがとう」

「姉さん、あーん」

セシルも私に、クッキーを食べさせてくれた。

美味しいけど、弟妹に食べさせられる姉ってどうなんだ。

「私はいいから、二人も食べて」

「お姉様が食べさせてください」

私はクッキーを取ってアリシアに食べさせる。前にも食べさせてあげたことはあるけど、ニコニコと嬉しそうにしている顔を見ると、食べさせてあげるのが楽しい気持ちも分かる。 

「セシルも食べさせてあげようか?」

断られるだろうけど…

「…うん、お願い」

…可愛い、最近は思春期のせいか少しツンツンしていたから素直に甘えてくれるなんて

「何食べる?」

「…何でもいいよ」

フルーツタルトをフォークで切って食べさせる。

「ふふっ、美味しい?」

「うん…もう一口」

「お兄様ずるいです。お姉様、私にも」

アリシアが私の袖をキュッと掴む。


お菓子を食べ終わると、アリシアが私の肩に頭を乗せて甘えてきた。

「お姉様、今日は一緒に寝てください」

可愛い…アリシアはまだまだ甘えん坊さんだな。

「良いわよ、私の部屋で寝る?」

「はい、楽しみです」

アリシアが満面の笑みを浮かべている。アリシアの頭を撫でていると、セシルと目が合った。

「セシルも一緒に寝る?」

「は?ね、寝るわけないでしょ」

セシルが顔を真っ赤にして怒ってしまった。少し前は三人で寝ていたのに…寂しいな。

「……昼寝ぐらいなら良いよ」

顔に出ていたのか、セシルに気を使わせてしまった。

「ありがとう」

アリシアはすでにあくびをしている、私も眠くなってきた。


カチャカチャという音で目を開けると、アンナがカップやお皿を片付けていた。

「起こしてしまって申し訳ありません」

「ううん、そろそろ起きないとだったから」

と言っても、私は今身動きが取れないんだけど。私の右肩にはアリシアの頭が乗っている。そして私の頭にセシルの頭が乗っている。

「本当に仲がよろしいですね」

アンナは微笑ましいという表情でこちらを見ている。

「お二人とも、お嬢様がいつ帰ってくるかと、何度もエントランスに出向いていたんですよ」

そっか、だから屋敷に入る前から待っていたんだな。

「私ももう少し眠ろうかな」

「掛ける物をお持ちしますね」

アンナがティーセットをワゴンに乗せて、部屋を出ていった。


エリオットにはあんなことを言ったけど、やっぱり生きたい…生きてこの子達が幸せになるところを見届けないと。私の可愛い弟と妹だから…



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