↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
109/117

109.辺境惑星艦隊来る 2

 ロースさんを九論から貰った背広とつばあり帽子にマスクで変装させてキャメロットの艦橋目指し歩きだす。

(どこからどう見ても不審者そのものだけどガルメニ人の姿のまま出歩くよりはましよね)

「やたらと人が多いわね何人くらい乗ってるのかしら」

 思わず独り言を言ってしまった。

 スターキッドの駐機場を出てメイン通路に入ってからあちこちで人が屯して雑談している。

「愛鈴いつもこんなに人が多いの?」

 ロースさんの後ろから昴くんが大きめの声を掛けてくる。

 アイリーンは昴くんの質問に対して直ぐに返事をしない。

(こんなに騒々しい所で大声を出してまで会話をしたくないわ恥ずかしいったらありゃしない、う~ん、この辺のはずなんだけどな~)

 アイリーンはさっきから通路の壁を擦りながら歩いている。

「あった、良かったやっと見つけたわ」

 壁の一部が片開き自動扉の様に開いていく。

「エッグ乗り場よこれに乗って行きましょう。普通ならこんなに人が居るはずないわ異状よ異状、路上生活者でも居るんじゃないかしら」

 エッグ乗り場は登録された人しか入れないようになっていて今はアイリーン達の他には誰も見あたらない。

「愛鈴さあ良く分かったね、ここに扉があるって多分僕が擦っていても気付かなかったよ」

「昴くんが気づいても開かないわよ、うちとキャメロットのお付き合いが長いからよ訓練生になる前から住んでいたのだからね、座敷童子みたいに崇められてたわよ」

「相手をしなかったら祟られるんじゃないかと皆から恐れられてた」

 アイリーンの肩の上からロボちゃんが言う。

「ロボちゃんそんなこと言ってまた愛鈴から凸ピンされても知らないよ」

 そう言う昴くんの肩にはスーちゃんがフレアホースの姿を現して乗っていた。

「・・・」

 ロースさんはあくまでも静かに歩く。

 エッグの中からホーク艦長にインターホンで連絡した。

「今ね昴くんとロースさんも一緒に艦橋に向かってるのロースさんはガルメニ人の姿をしてるけど違うの、だから驚かないようにってみんなにも伝えておいて欲しいの、それとオビスさんも一緒にお話ししたいのだけどそこに居ますか?」

「オビス司令官ですねお呼びしておきます。それと艦橋には入らずにエッグ停留所近くに……特別室がありますのでそこに入って待ってて下さい、飲み物は持ち込めますが食べ物は持ち込み禁止ですのでお願いしておきます。朝食はお済みですよね」

「食べたかしら……食べたような気がしますわ」

 アイリーンは何か食べさせてくれるんじゃないかと少し期待する。

「食べたでしょう、もう何で毎回毎回僕が突っ込まないといけないの」

 昴くんと肩に乗ってるフレアホースが同じ動作で首を振った。

「あはは、アイリーンは相変わらずですね私たちも直ぐに行きますので少しだけお待ち下さい」

 ホーク艦長のしばらく笑う声がインターホンから聞こえてくる。

「あはは、ホーク艦長は顔に似合わず優しい人だから昴くんはかしこまらなくていいからね」

 アイリーンはインターホンをしっかり置いたのを確認してから言う。

「愛鈴スイッチを切り忘れてるよ手に取ったら自動でスイッチが入って艦橋に繋がるけど、切る時はインターホンのスイッチを切らないと繋がったままになってるから気を付けるんだよって前にも注意したよね」

「そうだったかしらつい忘れていましたわ、おほほ」

(別に悪口を言った訳じゃないから取り繕う必要はないわね)

「本当に愛鈴は覚えるのも忘れるのも早いんだね、ホーク艦長がいい人だから良かったけどそうでなかったら沢山お小言を聞かされるよ」

 昴くんはそこまでしっかり聞こえるように言ってからインターホンのスイッチを切った。

「ありがとうね、フォローまでしてくれてホーク艦長もあれを聞かされたら何も言わないでしょうよ」

 ホーク艦長はアイリーンの失言の前にはスイッチを切ってたので聞いていない。

 特別室での話しは直ぐに終わる。

 話しというよりは新たな情報を報告して皆の意見を聞き今後の行動を模索する作戦会議に近いものだった。

 アイリーンは超大型最新鋭母船エム78が冥王・天王星連名特使の任を負って来たので会って話し合いをしたいということを報告する。

 ホーク艦長からはヘンナ副司令官によるクーデター計画の話しがあった。

 ドライアイスメテオ作戦が開始されてから皆の目が地球を向いている隙にガルメニ人を誘い入れ、アステロイドの地球防衛基地を攻撃しオビス司令官を更迭して政権を奪取する予定だったらしい。

 いざ実行に移った段階でガルメニ艦隊はアイリーンによって一掃され失敗に終わっている。

しかし木星宙域を拠点にしているヘンナ副司令官の私兵艦隊が今回の戦闘には参加してないのでまだ脅威は去っていない。

そんな中、基地に居たガルメニ人がオビス司令官を人質に取ってスターキッドで冥王星方面へ逃走した。

ヘンナ副司令官が私兵艦隊にこれの破壊を命じている。

 というような内容だった。

 アイリーン達はこれらの情報を基に今後の作戦を計画しようとするけど最も重要な問題が分かってない。

 それはヘンナ副司令官の私兵艦隊が基地から木星まで約3ヶ月という長い行程のどこで、どれ程の勢力を持って攻撃してくるのかということだった。

 アリオン艦長は私兵艦隊の情報がないまま迂闊に進行しては思うツボにはまってしまう可能性が高いだろうと言う。

 ここでタイミング良く現れたエム78船長に十分警戒した上で会見しその中でこちらと協力関係を築けるのか判断することになる。

 スターキッドが逃走した後の基地でヘンナ副司令官は実質上のトップに立ち政権を握ることができた。

だけどオビス司令官をどうにかしないと安心できないとも思っている。

 だから自分に従順でない者たちを一纏めにしてオビス司令官救出作戦の名のもとに基地から追い出し、適当な場所で自分の私兵艦隊によって宇宙の塵へと消し去れば、途中経過はどうであれ当初の目的は達成されると考え実行に移す。

 これからヘンナ副司令官最後の賭け『宇宙の藻屑作戦』が始まろうとしていた。

 特別室での話しを終えたあと昼食と休憩を取ったスターキッド私服4人組と連盟の軍服を着た3人は高速連絡艇で連盟艦隊所属アイン星人所有の超大型最新鋭母船エム78に向かう。

 宇宙戦艦マリンの主砲がエム78の推進機関に副砲が主要箇所の至る所に照準を合わせている。

 アイリーンはいつでも6人と共にテレポートで脱出出来るような態勢を取っていた。

「アイリーン久し振りです。お元気そうで大変良かったです」

 案内された部屋に入るとタロウ船長が優しい声を掛けてくる。

(あのあと責任を取らされてなかったみたいで良かったよ)

 アイリーンは心からそう思う。

「タロウ船長もお変わりなくて良かったです。タロウ船長のお誘いでなければうちはここに来てないと思います。あの時は大仰に見逃してくれて大変感謝してます」

 アイリーンが教育成果の結果を最大限に引き出し言葉遣いに気を付けながら皮肉たっぷりに言った。

「ははは手厳しいな。今日はアイリーンから少しでも許してもらえるようにと見知っている人を連れて来てるので宜しく頼むよ。オビス司令官には改めて謝意を伝えます」

 タロウ船長は気さくに話を進めたいと考えている。

「誰も反逆者だなんて思っていませんでしたよ。それは今も同じです、そうでしょうタロウ船長」

 オビス司令官が鎌を掛けた。

「オビス司令官からその言葉を聞けて安心しました。今後は仲良くやっていけそうです。続きはサプライズでお呼びしたゲストを交えてから行いましょう」

 タロウ船長がさらりと躱す。

 そして手をパンパンと打って合図するとウサギ姿のメイドが(本物のウサギ人族なのかもしれないが)扉を開いて入ってくる。

 アイリーン達がタロウ船長を全面的に信用してなかったのと同じくタロウ船長も切り札を隠し持っていた。

 メイドウサギに続いて入ってきた2人を見てアイリーンは目を見開く。

「アイリーン大変だったね、宇宙大戦争を始めるんじゃないかと準備してたんだけどね無駄になったかな」

 プロレスラーみたいな体格の軍人さんだ。

 いっそ上着を脱いだ方が似合いそうに思う。

「えっ! アンバ隊長、本物? どうしてここに……」

 そうしてもう1人。

 1頭と言っても笑って許してくれるんじゃないかと思ってるのはアイリーンだけだろう。

 何せ胴体が4本足の馬の姿をしたケンタウロス族の人間だから。

「お久し振りアンバ隊長と一緒に冥王星で会ったのが最後だったかな、あの時はまだ9才だったねさすが地球人わずかの間でずいぶん大きくなったね……」

 大きくなってる筈なんだけど、と首を傾げながら言う。

「レッド隊長も、どうしたの2人とも出てきちゃったりして冥王星や天王星の警備は大丈夫なの」

「ドライアイスメテオ作戦が開始された頃の定例お茶会でアイリーンから助太刀の依頼が来るんじゃないかとか1人で無茶をするんじゃないかとかの話になってね、手をこまねいて心配するくらいだったら手勢を揃えて近くまで行こうかってな具合になったのさ、何もなければそのまま帰って良かったんだけど共同演習にもなったしね、でもヘンナ副司令官が面白い事をやってくれてるみたいで雲行きが怪しくなったからね、挨拶位ならしても良いんじゃないかって事になって皆で会いに来たのさ」

 レッド隊長が挨拶をしてる間にその後からぞろぞろと見知った顔が入ってくる。

「エム18のエレン室長にグースさんと天王星警備隊のホルスさん……あとはえ~っと……」

 アイリーンの知らない人も結構いた。

 アイリーンが1人高揚している。

「それではこれから親睦を深めるためにここで臨時のお茶会を始めます」

 アンバ隊長の一方的な挨拶を合図として色々な飲み物と食べ物がテーブル毎運ばれてきた。

「え~っ! こんなことならお昼ごはん食べて来なかったのに~」

 アイリーンのひときわ大きい声が臨時のお茶会会場を沸かせる。

 アステロイドベルトの丸く切り抜かれた中心に小さく輝く東域宇宙和平維持連盟地球防衛基地が肉眼でもまだ見える距離にいた。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。