表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/21

前信仰


「いけ・・・にえ?」

アモルはその小さな目をめいいいっぱい見開いて、僕を見ていた

アモルだって、生贄を知ってはいるんだろう

だけど実際に、それをする所があるとは思っていなかったんじゃないだろうか

「生贄ってどうゆううことだよっ!!」

アモルの怒声

僕は・・・いきなりのアモルの声に驚いて、言葉が出なかった

「答えろよ!ガイスト!」

アモルが僕の胸元を掴んで、叫ぶ

その声は、なにかを抑えこんでるみたいで

こんどこそ、その声に応えようとして

やっぱり、応えられなかった

アモルの小さくて綺麗な青い眼から、ポロポロと

透明な滴が零れ落ちていたから

「私も、そんなつもりで、助けたのか?」

泣きながら僕を見上げるアモル

それが上目づかいで甘えてるみたいで

不覚にも心臓が高鳴った

「え、と・・・話が読めないんだけど」

「私も、生贄に、いつか捨てる為に、助けたのかっ」

ああ、やっとアモルがなにを言ってるのかがわかった

「僕は生贄なんて使わないよ」

だって、そんな事したら、僕の嫌いなこの国と同じになっちゃうじゃんか

それに、アモルを失う?

あの時の気持ちを思い出す

それは、死ぬ事より怖い

僕の服を掴んで、怒りか、悲しみか、恐怖かわからないけど、震えているアモルを抱きしめる

この温もりは簡単には手に入らない

拠点での穏やかな時間も1人だったら手に入らなかった

学院にいた時、アモルに手当してもらえるのが嬉しくて、わざと怪我を治さなかった

腕の中にいるアモルを強く、強く抱きしめる

アモルは本当に小さくて、気を抜いたら零れ落ちそうな気がする

「ガイ、スト?」

同時に、僕は後悔している

あの時助けなければ、こんなに恐怖を覚えることはなかった

餓えた子供は、餓えしか知らないから餓えに耐えられるって言うけれど、今の僕はきっとそれだろう

僕はアモルに依存してる

だから、失ってしまうのが物凄く怖い

それも、僕が今回旅に出る事になった原因だと思う

僕が、アモルを、自分から手放すなんてことは、ありえない





アモルを抱きしめ続けて、どのくらいたったんだろうか

何時間もたったようにも、ほんの数分だったようにも感じられる

でも、朝日が昇っているから、やっぱり何時間もたっていたんだろう

アモルは泣いていた

最初は僕が生贄として、アモルを助けたと思って

その後は信じられなくてごめんって謝りながら泣いていた

それで泣き疲れて眠ってしまった

僕はアモルを抱きしめながらその暖かさをずっと感じていたくて、結局眠らなかった

晩御飯を食べに行かなかったから、すこしおなかが空いてる

今はすごく眠い

でも、アモルの体温を感じていられたから、それもいいか

「んぅ」

アモルがもぞもぞと動く

胸元に顔をこすりつけてくるから、すこしだけくすぐったい

でも、それが気持ちよかった

「ん?・・・」

やっとアモルが目を覚ます

人形のように整った顔が朝日に照らされていて

それは、まるで物語に出てくる女神みたいに見えた

「・・・」

アモルと目が合う

昨日泣いていたからか、目元が赤い

少しづつ、アモルの頬に朱がさしていきリンゴみたいに真っ赤になった

やっぱり、泣いてる所を見られたのは恥ずかしかったのかもしれない

のんびりと、朝の時間を過ごす

いつもと違う、こんな朝もいいものだと思う


「それで、結局連れて行きたいって言ってた奴はどいつなんだ?」

落ち着いてきてから話を昨日の話に戻した

僕は眠気を魔力を循環させる事で振り払いながら、歩いていた

「昨日言っていた、引きこもるようになった子供たち」

「でも生贄だって言ってなかったか?てっきり死体でも持って帰るのかと思ってたぞ」

「生贄には違いないさ、もう支払われた後だけどね」

「支払われた後?」

あごに手を当てて考えるアモル

だけど、たぶんわからないと思う

生贄っていうのは対価を用意して、何かの願いを叶えてもらう儀式

一般に知られている対価は肉体、血、魂といった、必ず死ぬ物

だから、なんで生きているのに、支払われた後という事が成立しているのか?

って事で悩んでいるんだと思う

でも、死ぬよりも残酷な対価は存在している

「わかんねぇ、一体なにを支払ったんだ?」

まだ、推測でしかないけれど、それに、本当じゃなければいいと思う

「前信仰」

「なんだ、それ?」

「なに、って文字どうりだよ。信仰になる前の信仰

無垢って、言いかえる事もできるかもしんない」

「んー、結局なんなんだ?」

「説明は難しいんだけど、ほら、小さい子供にドラゴンを見せて、あれはコボルトだって教えることはできるだろう?その、なんていうのかな・・・無条件で信じる力って所か、前信仰ってのはそうゆう事」

「そんなの別に無くなっ・・・前信仰が成長して信仰になるんだから」

アモルは気づいたのか表情が険しくなってきている

「なあ、ガイスト、嘘だよな」

ポツリと零れた言葉には、なにがこもっているのか

「違えばいいと、僕は思うよ

でも、他に天使を呼んで繋ぎ止めて置ける物なんて思いつかない」

「子供にする事じゃないだろっ!」

吐き捨てるようにつぶやくアモル

前信仰がなくなったら信仰は生まれない

信仰ってのは信じたり、信用するって事も含まれる

生贄の子供たちはこれから友達も恋人も家族さえ信用することができないまますごさないといけない

それはどれだけの苦痛だろうか

なんでこんな事をしたのかはだいたい予想がつく

ここが観光名所になっている理由も

宗教国家アズラーだけが天使に守られているという事を否定して

アズラーの国の観光客を奪ったり、宗教に揺さぶりをかけるつもりだろう

我が国も神に祝福されているのだとかなんとか言って

それで国力を上げつつ、戦力を整えて行くつもりだ

きっと、この町で使われた子供も『戦術的な価値無し』のレッテルをはられた子供だろう

この国は腐ってる

だから嫌いなんだ


作「・・・」


ガ「・・・」


ア「・・・」


オ「・・・」


作←なんだかんだいってお腹が痛いため喋れない


ガ←眠い


ア←朝の事を思い出していて恥ずかしくて喋れない


オ←町の中だから喋れない








ド「次回、・・・あれ?次回予告のカンペねーぞ?」


ぺ「くう」


ド「まだ決まってないのかよ!?」


ぺ「くくくう」


ド「まあ、勝手にこっちで決めとこう」


ド「次回、『首都へ』」


ド「しかし・・・なんでみんな喋れないんだ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ