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鉄塊の国 ~魔導鎧と絆の戦訓、笑顔と涙の群像詩~  作者: jetts
第六章 絆の戦争

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グライシア5

 「乾坤一擲、ここから先は通さない!」


 烈波の気合を放ち自分を奮い立たせ約五千の水晶をコントロール、眼前を埋め尽くす鷲型の魔獣めがけて先制攻撃を行う。


 私の水晶はコンビネーションを組み、魔獣を追い詰め大地に叩き落としていく。うち漏らしを地上の遠距離特化型の超量産型魔導鎧のスナイパーライフルが撃ち抜いてくれる。


 飛行ユニット『クォーツフリューゲル』を背中に纏った私のクリスメッサーは、自らも水晶の剣を二刀流で閃かせ魔獣を切裂く。


 六千の飛行魔獣なんて想定内。ヴァルグランの空は私が守る。一体たりとも後方の魔法陣に通すわけには行かない。


 我らの蜘蛛神様と大賢者様がその身を持って稼いでくださった間に、私達は対抗しうる準備を整えられた。その時間と意思を無駄にしない。


 空を自在に駆けるきらめく翼、シャルセア防衛戦の教訓から開発された飛行ユニット。空中迎撃に特化したスナイパーライフル、これによりヴァルグランの対空戦能力は劇的に上がった。


 この程度の魔獣の殲滅などお手のものだ。


 ちらりと、主戦場を見ると銀の影が目の端に映る。


 「まさか」


 慌てて偵察用の水晶を急行させるとそこには右半身を失い、コクピット辺りの装甲も剥がれているが、大賢者様を左手に抱き後退する蜘蛛神様の魔導鎧。


 あらわになっているコクピットには見事な銀髪の美女。その顔を見てハッとする。


 予想してはいたけれどこんな所で確信を得るとは思わなかった。髪色や服装、ぱっと見の印象はまるで違う…………


 でも、私が見間違えるわけはない…………見れば分かる……………ヘルガだ


 グガーン!


 突然の衝撃に我に返ると魔獣がクリスメッサーの右手に喰い付いていた。強靭な竜の(アギト)が右手を噛み砕だこうとした瞬間。


 「な〜に油断してるっスか、猪頭なんっスから猪らしくやることをやるっス」


 通信がはいると同時に魔獣の首は胴体と別れ力をなくし地上に落ちていく。


 「お互いの役目を全うしましょうっス。アチシは今立て込んでるんで、もう助けね〜っスからね。た〜いちょ」


 いつもの毒舌…………


 「だらっしゃぁ!」


 意味不明の叫びを上げて手放してしまった水晶剣を作り直し近くの魔獣を切り飛ばし、残りの魔獣を水晶で追い詰めていく。


 「ヘルガ……………無理はしないでね」


 今度は油断せず通信をする。


 「大丈夫っスよ。隊長…………空の護りを頼むっス」


 右手の剣で竜の顎を弾き左手で振り向きざまに袈裟懸けに切り捨てる。淡々と魔獣の脅威を退ける。


 最前線では、ついにヴァンガーアインの巨体が降り立った。皆が力を尽くしてやるべき事をする、それがヴァルグラン。


 今はただ、私の中のモコモコしていてフワごろっとした何かに従い制空権を掌握する。


 ご褒美レーションもう一つ用意しとかないとな。そういや、ヘルガの好物知らないや。あとで聞こう。


 残りの魔獣を追い詰める為に水晶を操りながら、思考はルヴェリーとヘルガ三人の女子会に思いを馳せる。みんなで笑い合える未来を信じて。




 


 

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