嬉しい日
ぼくの名前はミトラ。
本当は名前なんてなかったけど、パーティーに入るために必要だと聞いて、慌てて飼っていた三匹のネコの模様から決めた。
もちろん、そのネコたちもパーティーに連れてきた。
動物はダメかなって思ったけど、この子たちはまだ小さいから、施設に置いていったら死んでしまう。
世話を頼めるような友だちもいないし。
ううん、本当はぼくがこの子たちと離れるのが寂しいから連れてきた。
もっと奇妙な動物もいたし、形ばかりのルールなんだ。
だから、今ぼくの友だちは、このキジとサバとチャ。それから、アミクスだ。
他のメンバーは、まだ友だちと呼んで良いのかわからない。
呼んでみたいけど、反応が怖い。
アミクスに相談したら、『あせるな、時を待て』と言われた。
特にリーダーのネロには憧れている。
彼ともっと話をして、仲良くなりたい。
「仲間に入れてください」
そう言った時、彼はたっぷり一分は黙ってぼくを観察した。
子どもだと思われたかもしれない。
でも、パーティーに加入するには十分な年齢のはずだった。
じつは、自分が何歳なのか知らない。
でも、たぶん十八歳だと思う。
ぼくの施設は培養フェーズⅡだったから。
そこに入るのは十六歳からで、ぼくは三年目だった。
でも、年齢だけじゃだめなんだ。
一番大切なのは意志。それも、戦える意志だ。
「ぼくは絶対卵にはなりません!」
自分でもびっくりするくらいの大きな声で、そう言い切ってみせた。
真顔だったネロが、少しだけはっとした表情を見せた。
「実はこの地区はもう手遅れだと思っていた。まさか、こんなところで同志の若者に出会うとはな……」
ネロ自身はいったい幾つなんだろう。
ぼくより十歳以上は上だ。
ハンサムだし、おじさんと呼ぶには早いけど。
とにかく、大人と面と向かって話すのは初めてで、とても緊張したんだ。
「歓迎する。仲間は一人でも多い方がいい」
宣言したその夜に、ぼくはメンバーとして迎え入れられた。
ぼくの口から詳しく話を聞く必要なんて、なかったのだろう。
ぼくの情報は、アミクスに読み込ませた方が正確だから。
つまらないものだったろうな。
聞かなくてもわかる。
ぼくの短い、ありきたりな人生なんて。
いつか、アミクスに両親がどんな人だったか聞いてみようと思った。
でも、がっかりするだけかもしれない。
ネロは最初から長居をするつもりはなくて、食料の補給と束の間の休息に立ち寄っただけだった。
ネロの姿を見た時、卵にされるのを待つだけだったぼくの運命は変わったんだ。
あ、アミクスに話は順序立ててしろって怒られそうだ。
助言にしたがって、ネロと出会った日のことからちゃんと話そう。




