↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
47/56

46.呼び出し

 一日だけ入院して、三日間、家で寝ていた。骨に異常もなく、全身の打撲。それだけだった。


『怪我して学校休んでる』


 それだけメッセージを送って、目を閉じた。既読は付くのにな。返事はこない。


 これだけの怪我をして帰ると、親にも事情を聞かれる。いじめられてることを、親に話せない僕が悪い。でも、なんでもない。そう答えていた。


 一番の心配はミミちゃんだ。脅されてすぐ、あんなことになった。取り乱してなければいいけど。


『明日は学校に行くよ』


 僕はミミちゃんにメッセージを送った。


『迎えに行きます』


 ミミちゃんからそう返事がきた。なんか大丈夫そうだな。

 僕はベッドから立ち上がって伸びをした。まだ痛いけど、動ける。


 次の日の朝、ミミちゃんと御厨が僕を呼びにきた。四日ぶりの学校。気は進まないが、心配をかけるのも嫌だ。


「大丈夫か?」

「お前ほどじゃないよ」

「おはようございます」


 やっぱり元気ないな。僕はミミちゃんの頭を撫でると、御厨と並んで歩き出した。


「あの野郎。ほんとに」

「もうやめろよ。勝っても意味ないし」

「じゃあどうするんだよ」

「んと……」


 投票制転校プログラム……。いやクラスも違うし、あいつにいじめられてるわけでもない。それに……。


「どうした?」

「いや、なんでもない」

「町田さん」


 後ろを歩いていたミミちゃんが、隣に並びながら言った。


「ん?」

「家まで来ておいてですけど……私と歩いてて大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ」

「今日は俺もいるしな」

「もうほっとこう。相手にしなきゃ、そうそう手は出してこないよ」

「……わかりました」


 僕は認識が甘いのかもしれない。それでも、離れていて欲しいとはもう言いたくなかった。


 学校の玄関でミミちゃんと別れて、御厨と教室に入った。


「あ、大丈夫だったの?」


 僕らに気付いた女子生徒が、こっちに向かって言った。てっきり御厨に言ってるものだと思ったが、どうやら僕に言ってるようだ。


「あぁ」

「ノート貸してあげるよ」

「あ、ありがと」


 なんだ……。何があった?


「御厨」

「知らん。ほら授業始まるぞ」

「……あぁ」


 何があったのかわからないが、いつもの重い空気がない。御厨が一緒だからだろうか……。


 今日はお弁当を持ってきてないので学食でお昼だった。


「お前、何食うの?」

「うどん。御厨は?」

「まんぷくかなー」

「……」

「どうした?」

「いや、金村。いつもならいるのに」

「そういやそうだな。まぁそのうち来るだろ」


 二人の昼休憩。なんだか久しぶりな気がした。ここに来た頃は、毎日二人だったのに。


「ミミちゃんは?」

「知らねぇよ」

「遠慮してんのかな」

「そうかもな。家でも泣いてたし、親父もバタバタしてた」

「悪いことしたな……」


『ピンポンパンポーン』


 校内放送だ。


「三年一組、町田達也くん。理事長室にお越しください。繰り返します……」

「呼んでるぜ」

「喧嘩のことかな……」

「俺は呼ばれなかったけどな」

「まぁ、とりあえず行ってくる」

「一緒に行こうか?」

「いいよ。僕だけに用があるみたいだ」


 僕は理事長室に向かった。


「コンコン」

「どうぞ」

「失礼します。町田です」


 理事長室に入ると校長と理事長がソファに座っていた。


「座ってくれ」

「いや、ここでいいです。何の話ですか?」

「あぁ。四日前の暴力事件のことだ」


 やっぱそれか……。


「金村という生徒だが、7日間の自宅謹慎の処分がすでに下っている」

「は、はぁ」

「君についての処分だが」


 前回、次にやったら停学って言われてるんだよな。


「その前に一つだけ確認だ」

「……はい」

「君は手を出していないのか」

「…………出してません」

「本当か?」

「神に誓ってもいいです」

「わかった。今回はそれだけだ」

「では、失礼します」


 僕は頭を下げるとドアに向かった。


「町田くん。ミミに感謝するんだな」


 僕はもう一度、深く頭を下げると理事長室を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。