44.二学期
『おはよう』
僕はメッセージを送ると家を出た。今日から学校だ。
僕が教室に入ると少し空気が重くなったように感じる。もう慣れたけどね。
逆に慣れたはずの春日さんの席を見ると気持ちが沈んだ。既読は付いたけど返事はない。
御厨の席もまだ空いている。今日もギリギリかな。
僕は自分の席に座ってスマホを見ていた。そのうち、チャイムが鳴って授業が始まった。
今日は御厨がいない日か……。
「御厨、休みだね」
「町田のせいらしいよ」
授業中、そんな話が聞こえてくる。夏休み前の怪我のことを言っているのだろうか。あれなら僕のせいであってる。だけど、誰がそんな噂を流してるんだ。金村だとして、このクラスメイトとの接点がわからなかった。
午前の授業は問題なく終わり、昼休みになった。どこに行こうか。屋上は……一人で行くのはやっぱり嫌だ。僕はしばらく自分の席から動けないでいた。
「町田さーん」
ミミちゃんだった。本当にやめてくれ。僕は慌ててお弁当を持つと早足に教室を出た。
「ミミちゃん、誘いに来てくれるのは嬉しいけど、あんなに目立つやり方はやめてよ」
僕は屋上に向かいながらミミちゃんに言った。
「照れてるんですか?」
「僕はみんなに嫌われてるから、ミミちゃんまで嫌われちゃうよ」
「んー、なんかそういうの疲れません?」
「は?」
ミミちゃんがドアを開けて屋上に出た。
「嫌われてもいいじゃないですか」
風が吹いた。僕の心の中に。
「町田さんは町田さんなんだから」
「ははっ、そうだね」
この子、ほんとに達観してる。
それに、なんだか心にスっと入ってくる。
やっぱり、あいつと兄妹なんだな。
「あいつ、今日なんで休みなの?」
「だるいって言ってましたよ」
あいつ。そんな気分で休んで、僕が攻撃されるのわかってるのか……。こっちの方がだるいよ。
「あいつも自由だな」
「ちょっとダルそうにしてるのを、カッコイイと思ってるんですよ」
「はははっ」
たしかにそう思ってる奴もいる。でもあいつはほんとにだるいんだろう。
「次からはメッセしてよ?」
「わかってます」
「じゃあ、また」
その後、教室に戻って、七限まで授業で。その日は何もなかった。問題が起きたのは次の日だった。




