39.頬の痛み
僕が校舎内に戻ると、ミミちゃんがいた。
「何があったんですか? みこ姉泣いてましたよ」
「……なんでもない」
「みこ姉と何か話したんでしょ?」
「……うん」
「うん。じゃ、わかりませんよ」
「……うん」
「もう……」
春日さん。なんで……。
「あ、町田さんあの人……」
「よう、町田」
階段を下りてくると金村がいた。でも、今はどうでもいい。
「別れの挨拶はできたか?」
その瞬間、
頭の中で何かが弾けた。
サヨウナラ。
彼女の最後の言葉が、頭の中によみがえった。
「お前……」
「くく、じゃあな」
「……待てよ」
「あ?」
「今……なんて言った?」
「知らねぇよ」
「お前……何かしたのか?」
「彼女に聞いてみたらどうだ」
「金村ァ!」
気が付いた時には金村に飛び掛かって胸ぐらを掴んでいた。
「お前!」
「放せよ!」
金村に頬を殴られて倒れこんだ。
立ち上がって、もう一度飛び掛かろうとしたが、まわりに止められた。
「町田さんやめて!」
「おい、どうしたんだよ」
「町田やめろ!」
すぐに人が集まってきて、金村の姿は見えなくなった。
なにをやってるんだ。僕は。
その後、校長室に呼び出された。
「君から殴りかかったそうだね」
「わかりません。覚えてないです」
「何か言われたそうだが?」
「……覚えてません」
「今回は注意だけだが、次は停学だからな」
「……はい」
教室に戻ってきた。春日さんはいない。
ズキッと、頬が痛んだ。
「金村に殴りかかったらしいよ」
「バカだねー」
ひそひそとそんな話が聞こえる。
どうでもいいが。耳には入ってしまう。
僕がそちらに視線をやると、目が合った生徒が慌てて目線を逸らした。
くだらない……。




