37.決闘
久しぶりに晴れた日の昼休み。いつも通りの屋上。御厨がいて、ミミちゃんもいる。
「コンコン」
ドアがノックされた。まさか……。ドアを開けると春日さんだった。
「……春日さん」
もう春日さんとはずっと話していない。言葉が出ない。
「みこ姉?」
ミミちゃんが嬉しそうに寄ってきた。この二人って面識あったんだっけ?
「みこ姉、こっち」
ミミちゃんは春日さんの手を引いてフェンス際に連れて行った。
僕と御厨はベンチに腰掛けて二人を見ていた。
「なぁ、何しに来たと思う?」
「え?」
「みこ、もう何週間も来てないのに」
「さぁ?」
「お前なんかしら……」
「ドンドンドン」
御厨の言葉を遮るように、激しくドアが叩かれた。なんだ?
「金村……」
御厨がドアを開けると金村がニヤッとした表情で立っていた。
御厨を押しのけるとズカズカと屋上に入ってきて、辺りを伺った。
「いい場所だなぁ。お前らこんな所にいたのか」
金村は春日さんとミミちゃんの方を見て、またニヤリと笑った。
春日さんの顔から笑顔が消えて、僕の方をちらりと見た。
「ミミちゃん。行きましょ」
「え、でも」
春日さんはミミちゃんの腕を引くようにして、足早に屋上を後にした。
「金村」
「あぁ?」
「出ていけよ。ここは俺の場所だ」
「御厨、お前、町田に隠し事があるらしいな」
「あ?」
「俺から言っちゃってもいいか?」
御厨の顔つきが変わった。
「お前……いい加減にしろよ」
御厨が金村の前に立った。
「なんだやる気か?」
「達也」
「な、なに?」
「外で待ってろ」
「御厨」
「頼むよ」
御厨……いつものふざけた顔じゃない。
「わかった……」
僕はそれだけ言うと、屋上を出た。ドアを閉めようとした時、金村に飛びかかる御厨が見えて、思わず目をつぶった。
ドアノブを握ったまま、固まっていた。手が震えている。
低い声がする。
御厨の声なのか、金村の声なのかわからない。
「ドンッ!」
ドアに何かがぶつかった。僕は慌てて手を離した。
壁の向こうでもう一度音がした。何かを殴るような音。
笑い声のような声が聞こえて、静かになった。
「ガチャ」
ドアが開いた。
金村だ。
シャツには血が付いている。何ヶ所も赤く……。
「お前も調子に乗ってると同じ目に遭うからな」
「くっ……どけ!」
僕は金村を押し退けると屋上に出た。
「御厨!」
御厨が倒れている。僕は体を揺すって何度も呼びかけた。
「御厨! おい!」
頭から血も流れている。何度呼んでも、反応がない。どうしたらいい。
「お兄ちゃん?」
振り返るとミミちゃんと春日さんがいた。
「お兄ちゃん!」
ミミちゃんが御厨に駆け寄って肩を揺すった。
「あまり動かさないで、呼びかけ続けて」
春日さんが救急車を呼んでくれた。僕とミミちゃんはずっと御厨のことを呼び続けるしか出来なかった。




