36.疑惑
「よぉ、今日は一人か?」
あれから数日が経った。春日さんは相変わらずだし、御厨は親父さんと出張に行っている。僕は一人で学食にいた。
ラーメンカレーセットを食べていると、金村が僕の向かい側に座った。
「なんだよ」
「お前らはいつも一緒にいるからなぁ」
僕は黙ってラーメンを啜っていた。
「お前あれなんだってな。投票制転校プログラム」
「あ、あぁ」
そんな話、どこで聞いたんだ。
クラスメイトは何人か知ってるし、誰かが噂を流してるのか。
まさか、あのことも金村が?
でも、春日さんが金村にそんな話をするとは思えない。
「何やらかしたんだ?」
「僕は被害者だよ」
「ほぅ、追い出されたのか?」
「僕は自分で自分に入れたんだ」
「へぇ。それなのにお前、御厨と一緒にいるのか」
「なに?」
余計なことを言ってしまった。だけど、金村は何を言っている?
「お前……、もしかして知らないのか?」
「だから何がだよ」
「クククッ、そうか。知らないのか」
「なんだよ。話せよ」
「可哀想になぁ、お前騙されてるぜ」
「は?」
「面白いことを聞いたぜ。じゃあな」
「おい!」
金村はそれで行ってしまった。御厨は僕に何か隠してる。そんな感じだった。
御厨に直接聞くべきか。いや、あいつが話さないのは何か理由があるはずだ。
その放課後、廊下で春日さんとすれ違った。
彼女と目が合うことはなく、僕が存在していないかのように、そのまま通り過ぎていった。
思わず振り返ると、廊下の向こうで、春日さんが金村と話しているのが見えた。
何を話しているんだろう。
しかし、ここからでは聞こえない。
ただ、春日さんは俯いていた。
ふと、彼女がこちらを向いた。
一瞬目が合うと、すぐにまた俯いてしまった。




