29.フラれた
次の日の昼休み。屋上で御厨と二人でお弁当を食べていた。
「なぁ」
「ん?」
「みこは?」
「知らない」
「……」
「……」
「お前、なんか言ったんだろ」
御厨は手を止めて僕の方を見た。
「知らないって。ただちょっと……」
事情を説明した。
「まぁ、お前の言ってることもわかるけどさ」
「……うん」
「あいつらも……」
「ん?」
「いや、なんでもない。でもあんまり冷たくすんなよ? いなくなってから悔やんでも帰ってこないぜ?」
「あぁ」
その後、御厨とクラスに戻ったが、なんだか妙な騒ぎになっていた。
「町田、お前こっちこいよ」
名前もわからない生徒に教室の隅まで連れて行かれる。
「さっき春日さんがお前にフラれたって」
「はぁ?」
「女子がさぁ、今日はお前らと行かないの? って聞いたら」
「う、うん」
「私、フラれたの。って言ったらしいって、ちょっとした騒ぎだ」
目立ちたくない。僕は目立ちたくないんだ。どうしてこうなった。
「御厨、なんかおかしいことになってる」
「聞いたよ。お前最低だな」
こいつ。ニヤニヤしやがって。
「どうしたらいい?」
「慌てて訂正しても逆効果だろうな。いっそ目立たないを諦めたらどうだ?」
「二年の時も言われたんだよ。転校生同士で絡んでて感じ悪いって。それがずっと気になってる」
「そんなん気にすんなよ。今までも大丈夫だったじゃねぇか」
「フラグだろそれは」
「くくく」
フラグとは言ったものの、それからは特に何もなく。僕の特進生活が始まった。




