28.新クラス
新学年。今まで三年生がいなかったため、三階の教室は特別綺麗だった。ホワイトボードに席順が張り出されている。
とりあえず名簿順みたいだ。同じクラスになって初めて気付いたが町田と御厨って近いんだな。間に真鍋という生徒が入っているが、御厨と前後だったらもっと面白かっただろうな。
顔を知っている生徒はちらほらいるが、話したことのない人と話すことは僕には無理だった。だから春日さんが登校してきて、僕のところに来てくれたときは嬉しかった。
「おはよう達也くん」
「おはよう春日さん」
「龍之介くんはいつも通りね」
「いつも通り?」
「いつもギリギリ」
春日さんは呆れ顔をしているが、僕の知らない御厨のことを 話すのが複雑だった。
彼女の言う通り、ギリギリの時間に御厨はきた……。
始業式が終わって、色々あってホームルーム。クラス委員を決める時間。
面倒な委員が当たってもいいや。大人しくしておこう。
春日さんも大人しくしていたので、勝手に心配していた委員長でもめることはなかった。
ここは基本的には三年間、同じクラスだもんな。そこは決まってるようだ。
問題は人気のある委員なんだよなぁ。美化委員は面倒で誰もやりたがらないから立候補すればすぐ決まる。美化委員にしとくか。
「僕は誰もいない美化委員でいいです」
「じゃあ私も」
聞き覚えのありすぎる声。くそ、最後まで黙っとけばよかった……。
「じゃあ美化委員は町田くんと春日さんね」
目立ちたくないのに。でも嬉しいからいいか。
それから数日後、授業はついていくのがやっとで、休み時間は寝てる時間が増えた。
僕は机に突っ伏して寝ようとしていたがこの日はなかなか眠れなかった。
そのうち、女子のひそひそ話が聞こえてきた。なんとか効果というやつか。
「春日さんって、町田くんと付き合ってるの?」
「いいえ」
そんな話、本人がいるところでするな……。
「じゃあ御厨?」
「いいえ」
御厨って女子に呼び捨てされてるんだ。ちょっと面白い。
しかし、目立ちたくない僕にとって、春日さんとそんな噂になってることが気になる。僕の経験上、新参者は目立っていいことはない。
「ねぇ、春日さん」
「なに?」
屋上で二人でいる時に、僕は春日さんにその事を話した。
「あんまり目立つと良くないと思うんだ」
「どうして?」
「いや、あの」
「ちゃんと言わないとわからないわ」
目立つといじめられる。それが言えなかった。言葉にするのが怖かった。
「春日さんにも迷惑かかると思うから」
「あなたは迷惑なの?」
「いやいやいや違うの」
「私は迷惑だなんて思わないわ」
僕が言葉に詰まっていると春日さんは何かを察したようで、「あなたが言うならそうするわ」と答えた。




