22.お揃い
ドアを開けるとやっぱり春日さんだった。
「御厨くん!」
屋上に入るなり、御厨を見つけてびっくりした様子だった。
「こんにちは」
「よかった。何かあったのかと思っていたから」
「ちょっとね」
春日さんは荷物を置くとベンチに腰掛けた。
「仲直りできた?」
「仲直り?」
御厨は僕の顔を見た。
「町田くん。謝ってないの?」
「……」
「何を謝るんだ?」
春日さんはあからさまに呆れている。
「春日さんに全部、話したんだ。昨日」
「あぁ」
「やっぱりお前が正しかった」
御厨は僕を捕まえると、頭をぐしゃぐしゃにした。
「そんな簡単に物事決めんな」
「ちょっと……」
「まだ途中だろ?」
胸がぎゅっと締めつけられた。
「何が正しいかなんて神様でもわかんねぇよ」
動きを止めた僕の頭を、御厨はもう一度わしゃわしゃと撫でると、何事もなかったように手を離した。
「俺たちは間違えたっていいんだよ」
「御厨……」
僕はその場に座り込んだ。
敵わないな。こいつには。
「お前ら、昨日……って」
「ん?」
御厨は嫌な笑みを浮かべている。はっ。
「か、買い物に行っただけだよ?」
「ふーん」
「プレゼントを買いに行ったのよ」
「プレゼント?」
「町田くん? まだ渡してないの?」
「持ってる! ちゃんと持ってきてる」
僕はリュックから赤色のTシャツを着た小さなクマを取り出した。
「あなたねぇ……」
「ほら、誕生日プレゼントだ」
「俺の?」
僕のリュックに付いているクマを見つめる御厨。
「お前とお揃い?」
「なんだ嫌なのか?」
「男同士でお揃いなんて……」
「私もよ」
春日さんは自分のバッグに付いている白いTシャツのクマを御厨に見せた。
「……ならいいか」
「今度ケーキでも食ベに行こうよ。三人で」
「いいわね」
「そんなの二人で行けよ」
「お前がいなきゃ意味ないだろ」
春日さんは僕らを見ながら微笑んでいる。
「そういえば、何か話があったんじゃ」
「いいえ。何もないわ」
「そ、そうなの?」
御厨が笑っている。僕もつられて笑った。
春日さんはそんな僕らを見て、また笑っていた。




