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悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜  作者: 陰陽@4作品商業化(コミカライズ・書籍・有料連載)


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第65話 真犯人を追い詰めろ②

「まだ認めぬのですね、エリオット殿下。」

 アンナソフィアがスッと前に出る。

「オスマン伯爵夫人が認めましたよ。あなたの指示で、ルーパート王国より、アスラの花から抽出した毒を手配したと。」


「そ……そんなものは知らない!」

「なぜアスラの花の毒なのかわからなかったよ。ディックの持っていた文献を調べさせて、国王と王太子しか見られない資料と照らし合わせて、ようやくわかった。」

 ランディー王子がため息をつく。


「過去に加護縫いの聖女が、アスラの花の毒で亡くなって、その後別の加護縫いの聖女が現れたことがあったと。だからアスラの花の毒で殺せば、新たな加護縫いの聖女が現れるのだと、オスマン伯爵夫人は言っていた。」

 アンナソフィアが言う。


「だがそれは順番が間違っているんだ。確かにアスラの花の毒で加護縫いの聖女が死んだ事件はあった。だがその前に既に、新たな加護縫いの聖女候補が現れていたんだ。」

「そ……そんな馬鹿な。」


「加護縫いの聖女は、女神アテナに選ばれた人間に愛される以外で生まれない。そして、女神の愛し子たる、その人間を守る為に生まれてくるものなんだ。」

 ランディーが言う。


「その当時の女神の愛し子が、別の人間を愛してしまったんだ。だからそのことに絶望した加護縫いの聖女は、自らアスラの花の毒をあおった。死んだことで加護縫いの聖女という存在が失われ、別の人間が加護縫いの聖女になった、という記録がありました。」


「つまりミリアム嬢を殺しても、ランディー殿下がミリアム嬢を愛している限り、誰も加護縫いの聖女にはなれないというわけだな。お前のしたことはすべて無駄だったんだ。」


 ユリウス王子がそう言う。

 エリオット王子の嘘のほころびの糸が強く光る。だがまだ引き抜けなかった。糸に触れるとヒントが現れた。


【ヒント:前世の記憶】


「前世の記憶……?それがヒントってどういうこと……?」

 ミリアムが呟いた声を聞いたクリスティアンが、エリオット王子を見た。


「エリオット殿下。あんた人が覚えてたらおかしい記憶があるんじゃないですか?」

「クリスティアンお兄さま?いったい何を……。」


「俺さ。騎士団に入って、妙に見覚えのあるやつがいることに気付いたんだよな。でもどうしても思い出せなくてさ。」

 クリスティアンは首をかしげる。


「最近やっとわかったんだ。そいつがミリアムが5歳の時に、ビーイング侯爵夫人がミリアムを放火犯にさせる為に、警備兵になりすまして、みんなを遠ざけたやつだって。」


「そうなんですか?クリスティアンお兄さま。でも、それがいったい……?」

「俺さ、ずっとわかんなかったんだよね。」

 ミリアムの言葉には返答せず、クリスティアンは言葉を続ける。


「ミリアムはあの時点でさ、絶対フィリップ殿下の婚約者になんか、選ばれない筈だったんだ。だって評判が悪かったからさ。」

「クリスティアンお兄さま、今その話はしなくても……。」


「なのにずっとビーイング侯爵夫人は、まるでそれが確定事項みたいに、ミリアムを目の敵にしてたんだ。」

 ミリアムはハッしてクリスティアンを見た。


「なあ。どうしてなんだろうな?なんでビーイング侯爵夫人は、かたくなにミリアムをおとしめようとしてたんだ?……誰かがその未来を告げたんじゃないのか?」


 ビーイング侯爵夫人は、確かにずっとミリアムをおとしめようとしていた。それはすべての人生においてそうだった。


 だが放火事件の犯人に仕立てようとした時も、婚約者選定のお茶会で濡れ衣を着せようとしてきた時も、ミリアムはフィリップ王子の婚約者にするには、評判が悪過ぎた。


 婚約者に選ばれてなお、王妃さまに無視されるくらい、ひどいものだったのだ。

 ミリアムには直接の記憶がないが、加護縫いの聖女だと判明したから選ばれたのだ。


「それとさ。アイリーンだよ。なんで爵位を奪われて、教会のシスターになっていたアイリーンを、ミリアムに成り代わる聖女として選んだんだ?」


 確かになぜだろうか。過去のアイリーンはフィリップ王子と愛し合っていたから、アイリーンの為にと言えば、フィリップ王子をそそのかすのは簡単だっただろう。


 だが、今のアイリーンは少なくともフィリップ王子を愛していないし、ましてや同じ学園に通うことも出来ない立場になったのだ。


 聖女として呼び戻されない限りは、フィリップ王子に近付くすべがない。加護縫いの聖女の力を移すだけであれば、別にアイリーンである必要がないのだ。


「あんたは自分の手を汚さない為にさ、フィリップ殿下を利用したかったんじゃないのか?その為には、フィリップ殿下を籠絡した過去があるアイリーンが、ちょうど良かったんじゃねえの?」


 王族相手にいつもの口調で話すクリスティアン。その不敬っぷりが、まるでエリオット王子をあおっているかのように聞こえる。

「何を言ってるんだ、君は。」


 クリスティアンは今、ミリアムたちの前世の話をしている。だから貴族たちはポカンとしているが、ミリアムとランディーには、それがゾッとする事実に聞こえた。




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