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悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜  作者: 陰陽@4作品商業化(コミカライズ・書籍・有料連載)


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第61話 王家の影を探せ

 ルーパート王国とアンバスター王国は、海を隔てた隣国だ。公式のやり取りは船便が主で、特に貿易や外交文書は、ミリアムの実家であるローゼンハイデン公爵家が所有する商船団が担うことが多い。


 公爵家はアンバスター王国有数の海運貴族で、その船便は検閲が厳しく、秘密の通信を隠すのは難しい。


 ましてや、ローゼンハイデン公爵家を通さないルートで情報を送るのは、税関や港湾監視の目をかいくぐる必要があり、ほぼ不可能に近いのだ。


 それなのに、エミリアさんは、恐らく前世でアンバスター王国の王族のいずれかの指示を受けて、ミリアムを殺害した。


 いくら当時ミリアムを冷遇していた家族であっても、暗殺の手紙を送られて、そのままにしていたとは思えない。


 ましてや今はローゼンハイデン公爵の全面協力のもと、不審な手紙のやり取りは確認されているのに、そこにエミリアさんの名前は出てこなかった。気付かれずにやりとりする方法が必ずあるのだ。


「エミリアさん、指示はどうやって受け取っているんですか?アンバスター王国からここへ、ローゼンハイデン公爵家の船便を使わずに情報を送るのは、難しいはずですよね。」


 エミリアさんの目がわずかに泳いだ。護衛に押さえられた体が、微かに硬直したかと思うと、再び嘘のほころびの糸がゆらめく


 まだ嘘をつけるらしい。王家の影の烙印は、よほど強力なようだ。

「そんなこと、知らないわ。」


 そっぽを向いたが、絡みつく糸が強くゆらめく。ミリアムはさらに追及した。


「嘘です。あなたは王家の影。王家からの命令を、どうやって受け取っているの?まさかそのブレスレットが通信具なの?」


 エミリアさんの嘘のほころびの糸が光り輝いた。ミリアムはその糸を引き抜いた。

 エミリアさんが唇を噛む。


「……ええ、そうよ。それが通信具なの。影の烙印に反応する、ね……。」

 観念したように、低く震えた声で吐露し始めた。


「ブレスレットの宝石が、遠隔で文字を浮かび上がらせるの。影の烙印を通じて私の魔力を使ってね。でも、使うたびに大量に魔力を消耗して、頭痛がする……。王家はそんなことお構いなしで、毎日報告を強要するの。」


 嘘のほころびの糸は見えない。言葉に嘘はないようだ。頭痛がするほどの魔力の消耗は、長期間行うと命を削る。エミリアさんは、そんなリスクを背負わされていたのだ。


 ランディー王子の付けてくれた護衛が、エミリアさんから奪ったブレスレットを、ミリアムに手渡した。

 宝石を覗き込むと、かすかに魔力の残滓が光となって揺らめいていた。


「……最初は私も、加護縫いを手に入れて、妹を救いたかっただけだったの。だけど利用されて……。加護縫いは手に入れられず、妹は死んだわ。生きていれば、あなたと同い年くらいだった……。」


 嘘のほころびの糸は見えなかった。泣きだしたエミリアさんに、ミリアムは胸が痛んだ。エミリアさんはアンバスター王国の道具として使われ、捨て駒にされていたのかもしれない。


 前世で優しかったエミリアさんを思い出す。なんの疑いもせず、毒を口にしてしまうくらい、ルーパート王国にきたばかりの頃、エミリアさんを心の支えにしていた、最初の人生を。


 ミリアムはブレスレットを握りしめ、店を出た。

「これで、王家の影のネットワークが暴けるかも知れないわ……。」


 王宮に戻り、通信具を使ってランディー王子に報告すると、ランディー王子に報告せずに動いたことを叱られたが、ブレスレットの魔力残滓を終えば、黒幕にたどり着けるかも知れず、ランディー王子は興奮していた。


 ルーパート王国に潜入している、アンバスター王国の王家の影は、恐らく他にもいる筈だ。アンバスター王国のスパイネットワークは、影の烙印で繋がっている。


 エミリアさんがただの末端だとしても、このブレスレットは、依頼主につながっているのだ。


 影の烙印を通して、入れ墨の持ち主を追跡出来る機能があるということは、微かな魔力の波長で共鳴しているということだ。


 第三王子妃候補時代に書物で読んだ記述によると、烙印を通じて、他の烙印の位置を把握できるとあった。つまり、おおもとの烙印の持ち主とつながっているのだ。


 おおもとの烙印の持ち主は、王家の影を総括する人間であり、王家の人間ではないが、それが誰かわかれば、そこから依頼をした人間を調べることが出来る。


「末端1人だけだと、おおもとにたどり着くのが難しいらしい。」

「そうなんですか?」


「だからまずは国内の他の王家の影を探そう。それならエミリアの烙印を起点に辿れると、ルーパート王国の魔術師に言われたよ。複数人見つかれば、そこからおおもとが辿れるかも知れないそうだ。」




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