第57話 追いかけてくるアイリーン
「それはそうね……。」
「俺が11歳で騎士団の入団試験に合格するってことも当てたからな!」
今や若手のホープとして、騎士団で訓練しているクリスティアンも言う。
「確かに。11歳での騎士団合格は前例のないことだ。いくらクリスティアンが優秀であっても、本来の騎士団の合格年齡ではない子どもを受からせるなど、未来を知らなければ断言は出来ないだろうな。」
「であれば、ミリアムとランディー王子が狙われるというのも、本当のことだと思います。僕も王族たちを調べます。ミリアムの加護縫いの聖女の力を狙ってのことなら、間違いなく今回も狙われるでしょうから。」
「……よいのか?アレクシス。ユリウス王子のことも疑うことになるのだぞ?」
「ミリアムの命にはかえられません。王族を疑うのは反逆行為だと言われても、僕は正解にたどり着きます。」
「俺も騎士団ルートから調べるぜ!」
「アレクシスお兄さま、クリスティアンお兄さま……。」
ミリアムは感激して泣きそうになっていた。
巻き戻り前なら、絶対にありえなかった家族の協力。ランディー王子とミリアムだけでは、アンバスター王国の王族は調べられない。家族の協力が解決に必要だったのかも知れないとミリアムは思った。
「恐らく、ルーパート王国の王族のいずれかと、通じている人間がいる筈です。それを見つけ出せれば僕らの勝ちです。」
「では私は貿易のルートから、怪しい入国者や手紙のやり取りがないか調べよう。恐らく正規のルートを使用していない筈だ。私を通さずに、この国を出入り出来ると思ったら大間違いだ。」
ローゼンハイデン公爵が言う。
「万が一証拠がなくても、私の力で嘘を見抜けば、本人の口から白状させられるわ!」
「さあ!犯人を追い詰めるわよ!」
アンナソフィアが拳を振り上げると、全員が拳を突き上げ、勝どきのような声を上げた。
それから家族との相談のもと、ミリアムはアイリーンを徹底的に避けた。家族のいないお茶会に参加して、アイリーン毒殺の疑いをかけられないようにする為だ。
具体的にどうしたかと言うと、なんとランディー王子が王太子に選ばれ、ミリアムは王太子妃教育の為に、ルーパート王国に移住したのだ。
それでもめげないアイリーンが、フィリップ王子を伴って、ルーパート王国まで何度も会いに来たが、友だちなのにとゴネてわめくアイリーンに、知らないとおっしゃっています、と従者を使って突っぱねた。
自分が来たと言えば会う筈だ、という謎の自信を持っているフィリップ王子にも、当然手紙の返事もせずに帰らせた。
ランディー王子は嫉妬深く、ご兄弟の王子さまにも、御自分がいらっしゃらない時にはお会いにならないようおっしゃっていますので、と従者がすげなく追い返す。
これは僕の本音だけどね、とランディー王子は笑っていた。
アンバスター王国であれば、自国の聖女であるアイリーンと、第三王子であるフィリップスを指示する派閥がある為、こうして押しかけても誰も見咎めない。
なんなら前世では、当時第三王子の婚約者であるミリアムよりも、アイリーンのワガママが優先され、ミリアムは行きたくもないお茶会に行かされたことで、アイリーン毒殺の疑いをかけられたのだ。
だが相手が拒絶しているにも関わらず、友人だと言い張って都度他国に押しかけるアイリーンたちを、ルーパート王国の王族も貴族たちも、奇異な目で見るようになっていった。
「私覚えてないからわかりませんけど、巻き戻り前もこんな風に、何度も私を訪ねてきたりしたんですか?」
ミリアムはランディー王子から貰った通信具で会話しながら尋ねる。
手紙だとすぐに打ち合わせが出来ないのと、顔が見れないのが寂しいというのが理由だ。ちなみに王太子と国王だけに許された魔道具で、本来なら戦争時にのみ使用が許された、秘匿通信機能付きらしい。
「いや?だって君は毎回国界追放されてたからね。表立って追放した王子と王子妃が会いに来られるわけがないよ。」
「まあ、それはそうですね。」
「ルーパート王国に言われたって、最初は僕しか居場所を知らなかったのに。君の国の国王が君を返せと言ってきたから、うちの父親にも君の存在がバレたんだよ。」
「なるほど……。」
「でも、君の国にルーパート王国の王家の影がいるように、ルーパート王国王国にも、君の国の王家の影がいる。探そうと思えば探せただろうね。」
「私を殺したエミリアさんは、王家の影だったんでしょうか。」
「え?誰だって?」
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