表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜  作者: 陰陽@4作品商業化(コミカライズ・書籍・有料連載)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/67

第54話 ランディー王子の嘘のほころびの糸

「ですが、僕が他の人を好きになる前に、加護縫いの聖女が死んでしまうと、その力は別の人間に移ることなく、次に女神アテナに愛された人間が生まれるまで、加護縫いの聖女は生まれないことになるのです。」


 些細な違いのようだが、大きく異なる。

1.加護縫いの聖女は、女神アテナの加護を持つ者に愛されることによって生まれる。

2.女神アテナの加護を持つ者が別の人間を愛すると、その者が加護縫いの聖女に変わる。

3.ただし女神アテナの加護を持つ者が、別の人間を愛する前に加護縫いの聖女が死ぬと、次の加護縫いの聖女は生まれない。

 まとめるとこういうことだ。


「なるほど……。じゃあランディー王子は、他に好きな人が出来る前に、私に死なれると困るわけですね。」


「……それはそうですが、そういう言い方は好きではありませんね。」

「ご、ごめんなさい。」


 ミリアム以外を好きになどなれる筈がないと思っているランディー王子は、少しムスッとした表情でそう言った。


「つまり僕が特異点でなければ時間は巻き戻らず、加護縫いの聖女は次世代まで現れなかったことになりますね。」


「このことは、ルーパート王国の人間であれば、誰でも知っていることでしょうか?」

「いえ。王家の人間か、それに近しい人間しか知らないことですね。」


「じゃあ、ルーパート王国の王家に近い人間が、アイリーン嬢に教えた……?ひょっとして、王族と関わりがあったり?」


「可能性はあります。王族であっても正確なことは、王位を継いだ人間と、女神アテナに選ばれた人間にしか知らされませんので、アイリーン嬢が間違った知識を持っていたのも無理のないことですね。」


「なるほど……。アイリーン嬢はなぜかルーパート王国の王族か、王族に近しい人間しか知らない筈の知識を持っていた……。」


「アイリーン嬢が僕に近付こうとしているのも、それが理由かも知れませんね。」

「──と言うと?」


「過去の巻き戻りにおいて、今まで僕はほとんどこの国にくることはありませんでしたから、アイリーン嬢と関わる機会はありませんでしたが、今はこの国の社交界にいる。近付こうと思えば近付けます。」


「そうですね。」

「アイリーン嬢はフィリップ王子を愛していなかった。つまり、何か目的があってフィリップ王子に近付いたことになる。」


「目的……。」

「わかりませんか?」

「う……わ、わからないです……。」


「アイリーン嬢が聖女として活躍している場面を、誰も見たことがない。加護縫いの聖女の生まれ方を知っている。そしてそれは僕に愛されることだ。」


「……まさか、アイリーン嬢が加護縫いの聖女になろうとしてる、ってことですか?ランディー王子に愛されることで?」


「おそらくは。多分ですが、彼女は本物の聖女じゃない。だけど加護縫いの聖女になれれば、彼女は聖女を堂々と名乗れます。」


 それならば納得のいく部分も多い。もしもミリアムが毎回殺されるのが、ミリアムが死ねば加護縫いの聖女になれるのだと、敵が勘違いしていたのだとしたら?


 ランディー王子に愛されるより、ミリアムを殺して成り代わるほうが、ずっと容易いと思うことだろう。


「でも……でもですよ?アイリーン嬢がフィリップ王子に近付けば、私に近付くチャンスが増えますけど、私、それなら殺されてないとおかしいじゃないですか。」


 そう言われて、ランディー王子はビクッとする。

「ランディー王子は過去の人生でこの国にいなかった。今はいるから、成り代わる為にランディー王子に近付くのはわかりますよ?」


「ミリぽむ、どういうことだッピ?」

「ランディー王子がいないのに、愛されて加護縫いの聖女になるなんて不可能でしょ?」

「そうだッピね?」


「それ以外で成り代わるとしたら、私が死ねば成り代われると思ってたんだから、私を殺す為にフィリップ王子に近付いたんじゃなきゃ、おかしいじゃない。」


「んんん?どういうことだッピ?さっぱりわからないッピ〜!」

 アリアドネが空中を飛び回る。


「アイリーンはフィリップ王子を愛していなかった。アイリーンは目的があってフィリップ王子に近付いた。アイリーンは加護縫いの聖女に成り代わろうとしていた。」


 ミリアムは指を折って数えるように、手を見つめながらそう言う。


「だったら、私を殺す為に近付いた以外に、目的ってあるのかしらって……でも私、毎回別に死んでないし……って、え!?」


 目の前のランディー王子から、嘘のほころびの糸が揺れている。

「ラ、ランディー王子、それって……。」

「え?」


「ランディー、嘘のほころびの糸ヨ!」

 パイドラーが叫んだ。ランディー王子は思わず糸を隠すようにサッと触れようとした。


「そのほころび、見逃しません!」

「ランディー!!」

 パイドラーが叫ぶ。ミリアムは嘘のほころびの糸を引き抜いた。ランディー王子が呆然とする。




────────────────────


コンテスト参加中です。よろしくお願いします。


X(旧Twitter)始めてみました。

よろしければアカウントフォローお願いします。

@YinYang2145675


少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。

ランキングには反映しませんが、作者のモチベーションが上がります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ