色々な問題(真面目っぽい話)
ちょっち今回動物が少なかったので次回に多めにする予定です。
そして少し月日は流れ、十六夜とぬこ達のポスターを町に貼り出そうとする日の事。
大量のポスターを脇に抱えた魔族達と、それを阻止せんと物凄い気合でいつもの戦闘用の着物のような格好に腰の刀を抜いて殺気を放ち、刀を構えています。
「......十六夜、ポスターを貼りに出れないんだが」
「出るんじゃない!そのまま焼却、滅却して証拠を隠滅する!!」
そう十六夜さんは言うと、ポスターを持って外に出ようとしている魔族達に殺気を込め睨みつけると他の人達は殺気に当てられ縮み上がってますが、魔王のエルンストさんは平然とした表情で立ってます。
「流石元 鬼将だな物凄い気迫だな、だが今その気迫は今必要ないだろ?」
「今出さずしていつ出すかぁ!兎に角!それを街中に貼るのは断固反対する。と言うか、やめれー!」
十六夜さん余程恥ずかしいようです。
「そうかぁ?結構可愛い十六夜とぬこが写っていると思うのだが?」
そう言ってエルンストさん手元にあるポスターを広げます。
広げたポスターには、満面の笑顔でほわ~~っとしている十六夜さんと多数の愛らしい子ぬこが写されていました。
「やめれーーーーー!こんな所で広げるんじゃないーー!!」
「いいじゃないか、どれどれ...うんやっぱり可愛く撮れてるじゃないか」
「くっ...そっ、そう言われるのは嬉しいのじゃが...今はそれよりもポスターを消滅させる方が先じゃ!」
どうやら十六夜さん、譲歩するつもりは無いようです。
「十六夜、どうあってもそこを動かないつもりか?」
「勿論じゃ!」
「やれやれ、仕方ない」
そう言うとエルンストさん、ポスターを部下にポンっと手渡してツカツカと無造作に十六夜さんの方に歩いて行きます。
「む」
十六夜さん、エルンストさんのその無造作な行動に一瞬いぶかしみますが、すぐさま腰の刀に手を掛けます。
しかしエルンストさん、殺気も放ちもせずにそのまま十六夜さんに歩み寄ります。
「な...何をするつもりかは知らんが、並大抵の事では動かんぞワシは?」
「動かなくていい」
「は?」
そう言うとエルンストさんは十六夜さんに近づき、そして......
ぎゅ
十六夜さんを抱き締めました。
「えええええええええ!?」
そしてそのまま足を払い、そのまま持ち上げます。
しかもお姫様抱っこです。
「ひぃやややややや!ちょっ!わわわわわ若??」
「相変わらず十六夜は柔らかくて軽いなぁ、じゃあこのまま俺は十六夜を連れて行くんで後は任せた」
「分かりました」
「ちょ!まてー!待ってー!!行かないでー!いーやー!!」
十六夜さん暴れて逃れようとしますが、エルンストさんにガッチリ抱き締められていて逃げれません。
そうして何処かへ連れられて行く十六夜さんを尻目に、皆は外へとポスターを貼りに行きました。
どうやら十六夜さん、あまり力は無いようです。
「若ー!後生じゃー!やめてー、止めてー!中止してー!」
「だーめだ。と言うかお前はそんな事を気にしないでいいんだ」
「気にするわー!!」
そんなやり取りをしながら、エルンストさんはある部屋へ入って行きます。
そして部屋に入るとガチャっと鍵を閉めます。
それが何処かと言いますと...
「こ...ここは?」
「ここか?俺の私室だ」
どうやらエルンストさん自分の私室に十六夜さんを連れ込んだようです。
そしておもむろに沈黙の呪文を部屋にかけます。
すると不可視の何かが部屋内部を覆います。
「さて、これで誰にも聞かれる事はないと」
「若...こんな所にワシを連れてきてどうするつもりじゃ?」
「何かして欲しいのか?」
「真っ昼間からそんな事を言うなー!ワシ真面目に聞いているんじゃが!」
するとエルンストさん、急に真面目な顔になって、十六夜さんを優しく近くにあるソファに降ろします。
そんなエルンストさんの態度の急変に少し驚きますが、十六夜さんその顔をじっと見つめます。
「十六夜は今の魔界をどう思う?」
「は?どうとは?」
「思った事を言ってくれていい」
そう言われた十六夜さん、少し考えて答えます。
「悪い状態...じゃの人々は争い、大気の魔素が強すぎて生き物でさえ強くなければ生き残れん」
「加えて食糧問題、領地問題、言い出したらきりが無い」
「その通りじゃ」
「だから歴代<大魔王>は、それらの問題を何とかする為一旦魔界を統一し、その後人間・エルフ・ドワーフ・有翼その他の種族の領地に攻め込み一時的に何とかした。だがその後大魔王が倒されたら全て元の木阿弥だ」
そこでエルンストさん、一旦言葉を切って深呼吸します。
「でもそれは仕方ないのではないのか?無いから奪う、それは魔界では普通の事だぞ」
どうやら魔界、思った以上にデンジャーな所みたいです。
「いいか十六夜、大魔王が倒れました、倒されました。で終わるんじゃあ駄目なんだ。それじゃあその先が無いんだよ、それに下手したら現地に残される奴らだって出てくる」
「では若ぬしにならどうにかできるというのか?」
「できる...じゃなくてする。だな」
そう言いながら清清しい顔を十六夜さんに向けます。
そんなエルンストさんの顔を見て、十六夜さんは見惚れますが、我にかえって顔をブンブン!と振ります。
「そっそう言うからには何か策があるのじゃろうな?」
「ある。あのポスターだ」
「あの恥ずかしいポスターになにがあるちゅーんじゃ!」
よっぽど嫌だったようです十六夜さん。
「ああ、十六夜お前ポスターの絵を見るだけで文字見てなかったんだな」
「何がじゃ!」
「あのポスターな人員募集のポスターだぞ?」
「じん...いん」
「そそ、人員」
それを頭の中で反芻し、十六夜さんは言います。
「な...何でそのポスターにワシなんじゃ?いつもは他の者がやっておろう?」
「だが、それじゃあいつもの変わらないポスターだ。だが可愛い十六夜とぬこが合わされば嫌がおうにも人目を引く」
「可愛い......」
十六夜さん、エルンストさんに可愛いと言われて夢の中に旅立ちました。
「それに人員募集には地域を含まず、って書いたしな」
「可愛い......えへへへへ♪」
「十六夜...いざよーい、帰ってこーい」
「はっ!あ、ああすまん若」
十六夜さん夢の中から帰ってきました(笑)
「でだ、人員を地域問わず集めて、大魔王ぬこの元新たな政策に挑むって言うのが今の俺の考えだ」
「ほー、地域問わず......問わず!?」
「どうした十六夜?大声出して?」
「これが大声出さずにいられるか!若、主は何かんがえておるんじゃ!」
いきなり十六夜さん声を荒げて怒り始めました。
そしてそんな所に子ぬこが1匹やってきました。
今度は白と黒のぶちです。
「お?おー、よーしよしこっちこーい」
「若!聞いておるのか!」
「聞いてるよ」
「人員募集で地域問わずとは...主他の魔王に喧嘩を売っておるのと一緒だぞ!?」
*ここで豆知識。
(大体エリアというか地域毎に各魔王が現在支配しております。そして大体自分が支配する地域の魔族は、その地域の魔王の財産と考えられております。余程の事がないとその地域の魔族が生まれ育った地域から離れる事を許されません)
「その通りだ。見た目は可愛いポスター、だが内容は魔王に喧嘩を売る。笑えるだろ?」
「......ワシ、自分の事でいっぱいで気が付かなかった自分が恥ずかしい...」
「まあまあ、可愛い十六夜見れて楽しかったからいいじゃないか」
「いくない!!」
十六夜さん少し落ち込みましたが、エルンストさんの一言で復帰しました。
「全く......勝算はあるのか?」
「あいつ等が帰ってきたら大丈夫だろ」
「その前に相手が攻めてこんか?」
「いや、それはない」
エルンストさん、ミィ ミィ と鳴いている子ぬこを抱き上げ、断言します。
「何でじゃ?理由があるのか?」
「ある。最近魔界に勇者のPTが何組か入り込んだ」
子ぬこをよ~しよしと撫でながら緩みきった顔で言います。
説得力ないなぁ(笑)
「ああ、成る程それは攻めるどころではないのぅ」
「あいつ等1人で100人、下手したら1000人位の人間に匹敵する冗談兵器だからなぁ」
この世界の勇者、冗談のように強いみたいです。
「もし来たらどうするんじゃ......こら若、ワシにも抱かせろ!」
「その為の」
そう言いながら子ぬこを後ろから抱えて、十六夜さんの前に掲げます。
「この<新魔王様>だ」
「なぜ?」
「まあ今に分かる。それよりも...ほれほれ~」
そう言いながらエルンストさん、十六夜さんのホッペに子ぬこの肉球を押し付けます。
「やっややややめ!...ほわぁ~~かわええのぅ~」
十六夜さんメロメロです。
「こ...こいつワシが世話していいか!な!若!頼む!頼みます!!」
「そうだな~いっぱい居るし...いや待てよ...十六夜条件がある」
「何じゃ?」
「今夜俺の部屋に来い、話がある」
「今じゃないのか?」
「夜だ」
「分かった」
そして深夜。
エルンストさんの部屋のドアをコンコンと十六夜さんが叩きます。
するとガチャリと中から鍵が開き、バスローブのようなゆったりした格好のエルンストさんが現れます。
エルンストさん十六夜さんを中に入れると、鍵を閉め沈黙の呪文を部屋に掛けます。
ちなみに今の十六夜さんピンク柄の可愛いパジャマです。
「それで用事とは何じゃ若?それとアイリの姿が見えんが?」
「アイリは別の部屋だ。それでお前に話があるというのはだな」
そう言ってエルンストさん十六夜さんに近づきます。
「若?」
エルンストさんそのまま十六夜さんを抱き締め...キスをします。
「--------!!」
エルンストさんそのままゆっくりと...何かをしようとしますが十六夜さんが慌てて突き放します。
「なっ!なななななな、いきなり何するじゃー!」
「夜伽」
「よ、よよよよよよよ夜伽ってー!」
十六夜さん真っ赤な顔をして逃げ腰です。
「いいか十六夜、俺は今度から大変な事に恐らく巻き込まれるだろう」
「う、うん」
「そして魔族というのは血筋を多く残しておかなければいけない種族だ。しかも上位なら尚更だ」
「ででででででも...」
「俺の事好きじゃなかったのか?」
「......好きじゃ」
そう言った瞬間、エルンストさんは十六夜さんを再び抱き締め、唇を重ねます。
「wwwwwwwwww!」
「待たせてすまなかったな」
そして夜は更けていきました。
翌朝、十六夜さんは城で何故か見当たらなかったそうです。
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