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IGNITION  作者: ムネディ


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特別編4 MUNE RACINGを支える企業たち

――MR-01に刻まれた10の名前

 

レーシングカーには、たくさんのロゴが掲げられています。

 

それを見て、ひとまとめに「スポンサー」と捉えることもあるかもしれません。

 

けれど、MUNE RACINGのMR-01に刻まれている名前には、それぞれ異なる理由があります。

 

長い営業の末に、ようやく契約へたどり着いた会社。

 

LMP2時代から支え続けてくれた会社。

 

ドライバー個人との関係から、チームへの支援に加わった会社。

 

資金だけでなく、技術そのものを支えてくれる会社。

 

そして、MUNEの日常を知ったことをきっかけに、新たに手を挙げた会社。

 

新規参戦チームが世界最高峰へ挑むには、マシンと人間だけでは足りません。

 

資金がいる。

 

製品がいる。

 

技術がいる。

 

そして何より、「このチームを支えよう」と思ってくれる人たちが必要です。

 

今回は、Season 1の開幕戦を迎えた時点で、MUNE RACINGとMR-01を支えている10社を紹介します。


*

 

日の出環境コーポレーション

 

メインスポンサー

 

本拠:日本

 

事業:環境関連サービス

 

企業側担当:高瀬由紀子/広報部長

 

ロゴ:サイドポンツーン/リアウイング

 

Season 1のMUNE RACINGを最も大きく支えるメインスポンサーです。

 

自然環境調査だけでなく、労働者を取り巻く環境まで扱う環境関連サービス企業で、業績規模は1,000億円を超えます。

 

MUNEがメインスポンサーを探す際に重視したのは、単純に最も高い金額を提示してくれる会社ではありませんでした。

 

確実に支払ってくれること。

 

そして、1年だけではなく、長く一緒に歩める可能性があること。

 

候補となったきっかけは、宗村が購入したゴルフ雑誌でした。

 

その裏表紙に掲載されていた広告を、白石玲奈が覚えていたのです。

 

そこから白石が時間をかけて営業を続け、公開テスト後には、橘ことねが発信していたSNSやブログも企業側の最終判断を後押ししました。

 

ことねの発信だけで突然決まったスポンサーではありません。

 

白石が積み上げてきた営業と信頼があり、その最後の一押しになったのが「MUNEで働く人たちの姿」でした。

 

企業側の窓口となったのは、広報部長の高瀬由紀子です。

 

当初はモータースポーツへの広告出稿に懸念を持っていましたが、曖昧な言葉で済ませることなく、なぜMUNE RACINGなのかを白石へ率直に問いかけました。

 

そのうえで経営陣へ提案し、最終承認を得ています。

 

日の出環境コーポレーションのコーポレートカラーは青。

 

蒼を基調とするMUNE RACINGとの相性もよく、MR-01のサイドポンツーンとリアウイングには、その名前が大きく刻まれています。


*

 

夕陽ドリンコ

 

サブメインスポンサー

 

本拠:日本

 

事業:清涼飲料水

 

企業側担当:押角直樹/広報部主任

 

ロゴ:エンジンカウル

 

企業コンセプトは、「帰り道で飲みたくなる商品」。

 

MUNEとの接点は、いかにもこのチームらしいところから始まりました。

 

きっかけは、宗村の日常の何気ない一言です。

 

夕陽ドリンコの商品を手にした宗村が口にした感想を、白石が覚えていました。

 

そこから白石が持ち込んだのが、「千夏ちゃん弁当と一緒に販売しませんか」という提案です。

 

最初から大きなスポンサー契約ありきではなく、チームの日常と企業の商品を、どう結び付けられるか。

 

そこから関係が始まりました。

 

その最初の提案を受けた時から、MUNEとの実務窓口を担当しているのが、広報部主任の押角直樹です。

 

スポンサー契約の交渉窓口を務めると同時に、Season 1に展開されるCMシリーズの企画責任者でもあります。

 

藤原蒼真、中村信治、桐生美咲、白石玲奈の4人をCMへ起用する案を提示したのも押角でした。

 

4人が出演する条件が加わったことでスポンサー額が増え、夕陽ドリンコはMUNE RACINGのサブメインスポンサーとなりました。

 

MR-01では、エンジンカウルにロゴが入ります。


*

 

JURAS(ジュラス)

 

技術パートナー+スポンサー

 

本拠:日本

 

事業:オイルメーカー

 

商務担当:藤村虎生/社長兼交渉担当

 

技術担当:藤村忍/技術者・MUNE RACING担当

 

ロゴ:左右サイドミラー

 

JURASは、単に資金を提供するスポンサーではありません。

 

MR-01を実際に走らせるための技術にも関わる企業です。

 

日本の中堅オイルメーカーで、高品質と高性能を重視する職人気質。一般的な知名度は、決して高くありません。

 

MUNEとの本格的な関係は、公開テスト前に始まりました。

 

宗村がHELIOS Engineering側のペクト・ルーザへ相談したことで、HELIOS V10との相性に優れるメーカーとして紹介されたのです。

 

ただし、JURASとMUNEが完全な初対面だったわけではありません。

 

白石はLMP2時代から何度もスポンサー営業で訪問しており、JURAS側も以前からMUNEを知っていました。

 

スポンサー契約の条件や金額など、商務面の責任者を務めるのは社長の藤村虎生です。

 

一方、オイルの技術面では、MUNE RACING担当の藤村忍が現場の窓口となり、JY-03を提案しています。

 

商務と技術は、それぞれの担当を分けて進められています。

 

重要なのは、「スポンサーになったからオイルを無料でもらった」わけではないことです。

 

MUNEは、従来使用していたメーカーと同等の供給費をJURASへ支払います。

 

その一方で、JURASからはスポンサー料が入る。

 

結果として、MUNEの実質的な負担が軽くなる仕組みです。

 

技術供給とスポンサー契約を曖昧にしない。ここにも、MUNEらしい現実的な関係があります。

 

MR-01では、左右のサイドミラーにJURASのロゴが入っています。


*

 

シルバードッグソフト

 

中規模スポンサー

 

本拠:日本

 

事業:コンシューマーゲーム

 

企業側担当:久我山慎吾/代表取締役社長

 

ロゴ:リアウイング翼端板

 

スポンサー営業のきっかけは、宗村が愛用していたゲームでした。

 

そのタイトルは、『灰壁の魔術師』。

 

白石が、そのゲームを作っている会社がシルバードッグソフトだと知ったことから、営業へ向かいました。

 

交渉相手となったのは、代表取締役社長の久我山慎吾です。

 

久我山が見ていたのは、用意された営業資料だけではありませんでした。

 

白石自身がシルバードッグソフトの作品を知っているのか。その中でも、会社にとって思い入れの深い『灰壁の魔術師』を、どう受け止めているのか。

 

白石がその作品名を挙げたことで話が進み、その場でスポンサードが決まりました。

 

営業という仕事では、何が接点になるか分かりません。

 

仕事上のデータだけではなく、普段から人や企業を見ている白石らしい獲得経緯の1つです。

 

MR-01では、リアウイング翼端板にロゴが入ります。


*

 

プロール

 

中規模スポンサー

 

本拠:フランス

 

事業:オーダーメイド家具

 

企業側担当:エロディ・マルタン/国際営業責任者

 

ロゴ:フロントモノコック両脇

 

MUNEがIGPへ来てから出会った企業ではありません。

 

LMP2時代からチームを支えてきた、古くからのスポンサーです。

 

その窓口を務めてきた国際営業責任者のエロディ・マルタンも、宗村や桐生とは長い付き合いがあります。

 

しかし、IGP参戦にあたって、一度はスポンサー契約を終了する予定でした。

 

カテゴリーが変わる。

 

必要な予算も変わる。

 

企業側にも事情がある。

 

長く支援してきたからといって、その関係が自動的に続くわけではありません。

 

それでも、ことねによるMUNEの発信が企業側へ届き、最後には桐生とエロディの電話を経て、Season 1も支援を継続することになりました。

 

新しいスポンサーを獲得することだけが、スポンサーに関わる仕事ではありません。

 

今まで支えてくれた企業との関係をつなぐことも、同じくらい重要です。

 

プロールは、その象徴のような存在です。

 

*


パウクコンピュータ

 

小規模スポンサー

 

本拠:日本

 

事業:カスタマイズPC/法人リース

 

企業側担当:西尾隆史/法人営業課長

 

ロゴ:サイドポンツーン下部

 

こちらも、LMP2時代からMUNEを支えてきたスポンサーです。

 

法人営業課長の西尾隆史が、法人向けPCリースとスポンサーの窓口を兼務しています。

 

MUNE自身も、パウクコンピュータのPCリースを利用しています。

 

レーシングチームには、大量のデータが集まります。

 

設計。

 

解析。

 

シミュレーション。

 

レース現場。

 

表からは見えにくいところでも、コンピュータは欠かせません。

 

スポンサーとして支援を受ける一方で、MUNEも企業のサービスを実際に利用している。

 

長い付き合いから、西尾が白石へ軽口を言えるほどの関係も築かれています。

 

Season 1でも、LMP2時代と同額で支援を継続することになりました。

 

ロゴは、サイドポンツーン下部に入ります。


*

 

セイトグラス

 

小規模スポンサー

 

本拠:日本

 

事業:サングラス

 

企業側担当:小宮山亮/スポーツマーケティング担当

 

ロゴ:コクピット脇

 

セイトグラスの始まりは、MUNEではありません。

 

中村信治のパーソナルスポンサーです。

 

信治が国内フォーミュラで戦っていた頃から支援してきた企業で、スポーツマーケティング担当の小宮山亮は、MUNEよりも信治本人との付き合いが長い人物です。

 

その関係が、信治のIGP挑戦とともにMUNEへ広がりました。

 

最終的にチームへのスポンサードを決める後押しとなったのは、ことねが発信していたMUNEの姿でした。

 

新しい環境に戸惑いながら、結城と話し、藤原から学び、MR-01を理解しようとする信治。

 

発信されていたのは結果だけではなく、その過程でした。

 

ドライバーが新しいチームへ移る。その時、すべてのスポンサー関係が途切れるとは限りません。

 

「このドライバーを、これからも支えたい」という関係が、チームそのものへの支援につながることもあります。

 

チームスポンサーとなったあとは、小宮山と白石が連携して窓口を担います。

 

MR-01では、コクピット脇にロゴが入ります。


*

 

デルペイン

 

小規模スポンサー

 

本拠:日本

 

事業:自動車用品/音響

 

企業側担当:森川彩香/ブランドマーケティング課長

 

ロゴ:フロントウイング翼端板

 

白石がLMP2時代から営業を続けていた企業の1つです。

 

交渉の窓口を務めてきたのは、ブランドマーケティング課長の森川彩香でした。

 

デルペインは、かつてカーナビを事業の大きな柱としていました。

 

しかし、市場環境の変化によって事業を縮小。その後は得意としていた音響分野を強化し、業績を回復させている途中でした。

 

そのため、白石も無理には契約を迫りませんでした。

 

それでも、提案と関係だけは途切れさせなかった。

 

転機になったのはJURASです。

 

JURASがMUNEへのスポンサードを決めたことを知り、森川もSeason 1からスポンサーとして加わる決断をしました。

 

レーシングチームのスポンサー営業では、「あの企業が支援しているなら」という信用も大きな意味を持ちます。

 

1社との契約が、次の1社への信用になる。

 

白石が積み上げてきた営業が、少しずつ形になったスポンサーです。

 

ロゴは、フロントウイング翼端板に入ります。


*

 

クラバ

 

小規模スポンサー

 

本拠:日本

 

事業:洗車用品・コーティング剤

 

企業側担当:坂元健吾/モータースポーツ事業担当

 

ロゴ:フロントウイング翼端板

 

クラバも、LMP2時代からMUNEを支え続けてきた企業です。

 

その窓口を務めているのが、モータースポーツ事業担当の坂元健吾です。

 

クラバの支援は、スポンサー料だけではありません。

 

毎戦、MR-01の車体コーティングも担当します。

 

施工の手配を担うのも坂元です。

 

レーシングカーは、ただ走ればいいわけではありません。

 

スポンサーロゴを背負い、人前へ出る。

 

写真に撮られる。

 

世界中へ映像が届けられる。

 

マシンをきれいな状態で送り出すことも、スポンサーに対するチームの仕事です。

 

クラバは、その部分でもMUNEを支えています。


*

 

クェースク

 

小規模スポンサー

 

本拠:ベルギー

 

事業:オーダーメイド文房具

 

企業側担当:ソフィー・デ・スメット/海外マーケティング担当

 

ロゴ:サイドポンツーン下部

 

開幕時点のスポンサーの中でも、少し新しい入り方をした企業です。

 

きっかけは、ことねのSNSとブログでした。

 

その発信を見つけたのが、海外マーケティング担当のソフィー・デ・スメットです。

 

そこに描かれていたMUNEの人々や日常に興味を持ったソフィーが、社内へ協賛案を持ち込みました。

 

その後、企業側からMUNEへ問い合わせが届き、白石とのスポンサー協議が始まりました。

 

白石の長期営業から入った会社。

 

LMP2時代から続いている会社。

 

ドライバー個人との関係から入った会社。

 

それらとはまた違う、「チームの発信を見て、企業側から興味を持った」というルートです。

 

PR担当のことねがスポンサー契約を取りまとめたわけではありません。

 

契約協議と対外折衝を担当したのは、スポンサー・マーケティング担当の白石です。

 

それでも、外へ向けてチームを伝える仕事が、スポンサーとの新しい接点を生むことがあります。

 

クェースクは、その例です。


*

 

ロゴは、サイドポンツーン下部に入ります。

 

10社、10通りの理由

 

開幕戦時点で、MR-01に名前を刻むスポンサーは10社です。

 

日の出環境コーポレーション。

 

夕陽ドリンコ。

 

JURAS。

 

シルバードッグソフト。

 

プロール。

 

パウクコンピュータ。

 

セイトグラス。

 

デルペイン。

 

クラバ。

 

クェースク。

 

同じ「スポンサー」という言葉で呼ばれていても、その関係はすべて異なります。

 

白石が長い時間をかけて営業した企業。

 

LMP2時代から支え続けてきた企業。

 

信治個人からつながった企業。

 

資金だけでなく、技術も支える企業。

 

ことねの発信からMUNEを知った企業。

 

MUNE RACINGは、それぞれの企業との間にある経緯と信頼を、同じものとして扱いません。

 

MR-01のサイドポンツーンとリアウイングには、日の出環境コーポレーション。

 

エンジンカウルには、夕陽ドリンコ。

 

左右のサイドミラーには、JURAS。

 

リアウイング翼端板には、シルバードッグソフト。

 

フロントモノコックの両脇には、プロール。

 

そして、サイドポンツーン下部、コクピット脇、フロントウイング翼端板にも、LMP2時代からの縁や新しく生まれた関係を示すロゴが並びます。

 

MR-01のボディに載っているのは、単なるステッカーではありません。

 

その1つ1つが、誰かが電話をした結果です。

 

誰かが企業を訪ね続けた結果です。

 

過去のレースで築いた信用であり、1つの記事を読んだ誰かの決断でもあります。

 

MUNEがスタートラインへ立てる理由

 

新規参戦チームというと、ドライバー、マシン、エンジンへ目が向きがちです。

 

しかし、それだけでは世界選手権を18戦も戦えません。

 

部品を作る。

 

人を雇う。

 

世界各地へ機材を送る。

 

スタッフを移動させる。

 

ホテルを確保する。

 

食事を準備する。

 

壊れた部品を直す。

 

次のアップデートを作る。

 

そのすべてに、お金がかかります。

 

だからスポンサーは、マシンを飾るための名前ではありません。

 

MUNE RACINGが、次の1周へ進むための仲間です。

 

白石玲奈の仕事観は、「信頼は、数字より先に積み上げるもの」。

 

大きな契約を1つ取れば終わりではありません。

 

小さな約束を守る。

 

報告する。

 

結果が悪かった時も逃げない。

 

支えてくれた企業へ、きちんと返す。

 

そうして積み上げてきたものが、今のMR-01には刻まれています。

 

そして、開幕戦。

 

世界最高峰のスターティンググリッドへ向かうMR-01には、蒼、オレンジ、シルバーの3色とともに、10社の名前が載っています。

 

No.7――藤原蒼真。

 

No.22――中村信治。

 

2台のMR-01が走るたび、そこにはMUNE RACINGだけではなく、彼らをスタートラインまで送り出した人たちの想いも一緒に走っています。

 

Every Lap Matters.

 

その1周には、チームだけではなく、支えてくれる人たちにとっての意味もあるのです。

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