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俺が主人公になる話  作者: あんぷ
第二章:魔境最前線
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10/13

入会

 ***



 舞台は戻り、再び人間界。

 俺は、ザムさんに五代羊会が一人”技巧匠”レイラさんのもとへと連れていかれていた。

 さっき通った階段を降り、しばらく歩いたところ、分厚い門が目の前に現れた。

 「ついたぞ。ここがレイラのグループの拠点だ」

 「ザムさんとこの寮みたいなもんか」

 「まぁそんなとこだ。そんでもってはここが本当の住処になるとこだ。アイリスには俺が事情を伝えとくから、後で荷物を持ってくるな」

まぁ、そうだろうと思っていたが、やっぱりあの寮にはもう戻らないのか。他の寮生にも挨拶をしなかったのはそのためだろう。

「心配はしなくても、ちゃんとルミアは俺たちが面倒みるからな。なんならたまに顔出しに来てくれても構わない」

ザムさんはともかく、アイリスさんもいるなら心配はしなくともいいだろう。強さは言わずもがな、アイリスさんはここに来るまでの道中、ルミアの面倒をずっと見てくれていた。

少し寂しいが、まだ俺達とルミアが過ごしたのは1年ちょっとでしかない。まして、ルミアはまだ正真正銘の赤ん坊。すぐに慣れて、大丈夫になるだろう。

俺はそう思い、目の前の門のほうに目を向ける。

この門の奥はどうなっているのだろう。寮ほど大きくはないだろう。教室くらいの大きさだろうか。

あまり大きなグループには見えなそうだと思っていた矢先。

「ギャアーーーーーーッ!!!」

突然、門が吹き飛び、男が悲鳴を上げながら吹っ飛んできた。

「ちょ、レミアさん!タンマ!プリーズ!」

「訳分からないことばっか言って。私のデザート食べたからには覚悟しなさい」

門が吹っ飛ばされ、顕となった部屋から、白いベレー帽を被った、アンティークドールのような服装の女の子が歩いてきた。

小さく可愛らしい雰囲気とは裏腹に、鬼の形相で、吹っ飛ばされ蹲る男へと近ずいていく。

「この前新しく、試してみたい”新作”できたのよね……。いい実験体が見つかってよかったわ」

「それ!この前禍々しい音なってたやつっすよね!あんなのの実験体なんて、命いくつあっても無理っす!」

男は情けなくぴーぴーと泣きながら壁に寄り縋り背を向けている。

「あのー、すみません。これは一体?」

「あの今ブチ切れ真っ最中の奴がレイラ。そんでもってそこで情けなくダンゴムシになってるのがお前と同じ転生者のフルトって奴だ」

同じ転生者だというフルトは金髪で、チャラく、服装はストリートファッションというのだろうか。ダボッとした服装でとにかくチャラそうだ。

「ザムさんじゃないっすか!ちょっと見てないでこの人をなんとかしてくださいよ!!」

フルトはザムさんに泣きついてきた。足は子鹿のように震えなんとも情けない様子だ。

「ザム、そいつを差し出しなさい。さもないと、貴方ごと真っ二つにするわよ」

「俺!真っ二つにされるような実験されそうなんすか!」

「まぁまぁレイラ、そのくらいにして、前に伝えておいた新人連れてきたぞ」

レイラの視線がこっちへギロリと向く。

「ああ、言ってたわね。これがその……。なんでも、ドムとやり合ったくらいの実力はあるとか」

「え!言ってた新人君そんな凄いんすか!飛び級でくるからすごいとは思ってたけど……。俺の立場いよいよ無くなるじゃないっすか!!」

 「やり合ったというか、何というか……」

「大丈夫よ。あなたには実験体という偉大なる役目があるじゃない」

「ひどい!鬼!悪魔!」

「大丈夫。その役割も今日でお終いね、これまでの功績に敬意をしめ……、なかったわね功績。潔く死になさい、この穀潰し」

 ひどい言われようだなこの人……。フルトはザムさんに何とかしてくださいっすよー、と泣きついている。あ、蹴り飛ばされた。

 「まぁ、そんな奴はそこにでも置いておいて、で、なんで私が面倒を見ることに?そんなヤツ、ノエルのやつが気に入りそうじゃないの?」

 「ああ、あっちは違う方のルーキーをご所望だ。こいつは、まだ能力がないからな、お前の”魔道具”を使うのがいいんじゃないかってね」

 「なるほど、それで。私としても、人手が入るのは嬉しいことだわ。やっと来たと思ったそこのナマクラは全く役に立たないのよ」

 「えっと、他には同じグループの人はいないんですか」

 「いる予定だったのよ。でも最初の見習い期間で全員逃げていったわ。優秀といっても、骨があるわけじゃないのね」

 「全員逃げていった?」

 五代羊会の一人であることもあって、本来、このグループに入る予定だった新羊人の人たちはエリートばかりだったらしい。だが、全員、鬼怖い、超キツイ、怖い、実験体にされたくない、……etc、とやらで逃げていったらしい。

 となると、食べた分、倍デザート買ってきなさいといわれ、スッとんでいったフルトも中々の手練れではあるのか。

 「そんな怖いのか、レイラさん」

 「腕の二三本、改造される覚悟でいろよ」

 なにそれ、怖い。腕増やされるの。増やされたうえで改造されるの?

 「でもあなたはドムともやり合えたらしいから、中々使えそうね。あなたが推薦なんて珍しんじゃなくって?アイリス以来かしら」

 「ああ、腕は保証するぜ。みっちりしごいてやれ」

 ここでも俺はしばかれるのか。ラエルにドム、次はレイラ、とシバかれ続きだな。

 だが、そんな泣き言など言ってられない。この世界では強くないと簡単に死ぬ。

 実際、ドムとやり合えたといっても、一瞬だけだ。

 ザムさん達が来なければ、確実に俺達は死んでいた。

 もっと強くならなきゃいけない。

 それに、呑気にやってられもできない。タイムリミットは迫っているのだ。

 後二年ほどが過ぎると、この街に悪魔たちがやってきてしまう。 

 それまでに悪魔たちを向かい打てる力をつけなくてはいけない。

 腕や足、身体でもなんでも改造するくらいの覚悟でやってやる。


 

 

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