007 新世界同盟の掃除屋
人質は5名。いずれも無事。しかし同時に、人質を守りながら闘わなければならない。
「クソッ!! 〝創麗〟か!? それとも、特殊警察か!?」
リタは数十名の中から威勢良く吠えた構成員に向け、弾丸を放つ。
「質問したら返ってくるのが当たり前? オメデタイ頭してるねぇ」
そう煽り、リタは風船のごとく空を跳ねる。
そして、
見事なエイミングで、新世界同盟の連中を撃ち抜いていく。
「クソッ!! 敵はたったふたりだ!! 狼狽えるな!!」
リーダー格と思わしき男が声を張り上げる。しかし、それは悪手も良いところだ。リタは、リーダー格の男にヘッドショットを喰らわせる。
(さすがサムライ・スピリット……。時間が止まって見えるね)
サムライ・スピリットは、人間の力を爆発的に強化する。そのうちのひとつに、ヒトやモノの動きがスローモーションになるというものもあるのだ。
「……!!」
「目ぇ開いている暇あるんだったら、反撃したらどう? じゃなければ……!!」
リタはマガジンに入った弾丸をすべて撃ち切る勢いで、次々と敵を血だらけにしていく。当然、相手側も反撃している。だが、風船のように浮いていたリタが、今度はジェットパックでも使っているかのごとく右往左往に動き回るものだから、照準が定まらない。
「君ら、全員死んじゃうよ?」
リタが無双している頃、ユウは口をポカンと開けてそれを眺めるしかなかった。なぜこんなにサムライ・スピリットを使いこなせるのだろう。それが、〝神のお告げ〟だからなのか。
そう思っていると、
「おい! あの女はなにもしていねェ!! アイツから潰すぞ!!」
その掛け声とともに、リタからの虐殺を免れた連中がユウにライフルを向ける。
だが、ユウもサムライ・スピリットを持つ身。恐れるに足らない。
「……なにもしてない、んじゃなくてさ」
ユウは、空へ跳ねることもなく、さながらプロゲーマーのようにヘッドショットを決めていく。
「することがないんだよ。私の相棒、強すぎるんだもん」
ゲームなら数発耐えられる……いやこの世界はゲームを元に作られているが、それを加味しても頭に銃弾を喰らえば一瞬で息絶える。結果、たったふたりの女たちは、数十人の新世界同盟構成員を虐殺し終えたのだった。
カチッカチッ、と銃弾がなくなったのを確認し、リタは地面へ降り立つ。死屍累々といった状況下で、リタは人質に傷ひとつないことを確認する。
「これで、ミッション・コンプリートかな」
勝ちを確信し、リタがライフルを地面へ放り投げた瞬間、
ヒュッ、とリタの頬をなにかが掠めた。
「おーおー。やってくれるねェ。姉ちゃんたち」
それは、手裏剣のようだった。先ほどまで余裕にあふれていたリタは、途端に真剣な表情になる。
「ミジマ・マサトシ。新世界同盟の掃除屋さんだ」
表情が引き締まったリタとは裏腹に、ミジマはどこか気の抜けた態度でそう言い放つ。
「それでまぁ、悪いんだが、ここでオマエらの暴走は終わりだ。ホントは新世界同盟に欲しいくらいの逸材だけど、まぁあれだな。上層部が許さねェだろう」
黒いスーツ・高身長・パーマのかかった黒の髪・男前。原作通りの見た目。原作通りの強さ。
そんなミジマは、リタとの間合いを一瞬で狭める。
「──ッ!!」
「遅いねェ。まぁ、適合したばかりなら仕方ねェか」
ミジマの拳を喰らい、リタは廃工場の彼方までバウンドしながら吹き飛ばされる。
「痛てぇ……!!」
「リタ!!」
すかさずユウがリタの元へ向かおうとするが、
「駄目だ……、ユウ。逃げろ。コイツは、おれが、私がなんとかする……!!」
サムライ・スピリットがなければ、まず死んでいただろう激痛に悶えながら、リタはそう宣言する。
「良いねェ。相棒のためなら命も惜しくないと。まぁ……やってみろよ」
リタとミジマの決戦が始まった。




