017 革命道中だってゲームに夢中
コウタは、思わず口をポカンと開ける。
「は? このタイミングで? なんか、すげェな。オマエの元カノ」
「良いから乗れ! そこの金髪ギャルちゃんも運んで!!」
「あ、あぁ」
コウタは意識を失い重たくなっているリタを、なんとかヘリの入り口まで搬送する。ヘリコプターが轟音を張り上げながら、動き出した。
「ユリ……。ありがとう」
「良いんだよ。愛はプライスレスだ」
ユリはユウへウインクする。そのまま軍用ヘリは、地獄と化したマンション街から去っていくのだった。
*
「……ん」
それから10時間くらい経過した。リタは目を覚まし、同時に見慣れぬ天井を目に捉える。ユウは? コウタは? リタはふらふらした足取りで、ふたりを探す。
そうすれば、
「オマエ、なかなかイケる口だなぁ!! テキーラ12杯目だぞ!!」
「酒は命の水だからな!! アンタもなかなかだぜ、クドウ・ユウ!!」
「んー……。うぇえ……」
窓のない個室で、酒をひたすら煽るユウとコウタ、それと……本来ならコウタと仲間になる女クドウ・ユウがいた。
「おぉ、起きたか! ほら、オマエも飲め!!」
「いや、お、私は酒好きじゃないから」
「釣れねぇこというなよ~。まぁ良いや。可愛い女の子を見ながら飲む酒も、乙なもんだしな」
リタは現状を把握できていないが、少なくともコウタとユリが仲間関係になったことくらいは分かる。しかし、どうやって? 接触を図る機会などなかったはずだ。
「ねぇ、ユウ」
「な~に……」
「凄まじく酔っ払ってるね。でもひとつだけ。なんで、クドウ・ユウのヤサに私らがいるの?」
「知らにゃい……」
ユウは酔いつぶれているも同然だったからか、机に顔をバタンとぶつけて寝息を立て始める。
「あ? なんでオマエらが、あたしのヤサにいるか知りたいかって? ならば、教えてしんぜよう。私とユウは元カノなのだよ。あたしがやらかしてカブキ町からバックレて、そこから関係なくなっちまったけどな」
リタはその言葉を、良く咀嚼するように考える。
(ユウの元カノ、ね。ユウって同性愛者だったんだ……。じゃなくて、クドウ・ユウはかなり有用なキャラだったよね。だいたいのエンディングを通るとき、コウタを守って死んじゃうけど。しかも……)
リタは、あえて適当に置かれていたハイボールを飲む。そして、ユリの目をしっかり見据えて言う。
「とりあえず、助けてくれたみたいでありがとう。そして早速だけど、聞きたいことがある」
「なんだ?」
「クドウは、相当な情報屋だよね? ハル・チカヒロにも劣らない情報屋で、その癖戦闘やヘリ操作までこなせる──」
「よそよそしい言い方すんなよ。ユリで良いぞ」
「あ、うん。で、私がユリに頼みたいのは、ひとつだけ。新世界同盟幹部〝ウキョウ・コウジ〟の孫の位置情報なんだ」
「あ? ウキョウ・コウジ? ウキョウといえば、新世界同盟のナンバー2じゃねェか。確かに男の子の孫がいたはずだが……ソイツをどうするんだ?」
「さらう」
「あ?」ユリは呆気にとられる。
「さらって、交渉材料にする。こちらの言うことを聞かないのなら、孫を殺すって」
「オマエ、ひでぇな……」
「ユリ、大丈夫だ。このリタってギャルは、冷徹で血なんて通ってねェからよ」
「褒めてるの? それ」リタは苦笑いを浮かべる。
「あぁ、褒めてる。正直、革命前夜を〝革命道中〟にするのなら、オメェ以上の相棒はいねェ。そして、ユリが孫の居場所を特定してくれるのなら、余計にやりやすい。ハル・チカヒロは、正味信用できねェからな」
コウタとて馬鹿ではない。ハルの危険性には、十二分に気がついている。あの男ほど情報に強い者はいないが、あの男にすべてを知られたら、それらを売られる可能性があるのだ。




