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サイバーパンク・サムライ─TSモブ金髪ギャルは原作知識で無双する  作者: 東山統星
迷わずに駆け抜けろ、伝説の幕が開ける

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14/21

014 ヒトに歴史あり

「うまい……うッ!?」


 リタがキャベツを口に運んだ途端、彼女はソファーから転げ落ちた。高熱にうなされているかのように、リタは息を切らす。


「はぁ、はぁ……」

「大丈夫!?」


 ユウが心配してくれるが、コウタは至って冷静だ。彼はリタをベッドルームまで運び、そのまま寝かせてしまう。


「な、なにが……っ」

「SHAの反動だよ。もう1時間くらい経ったからな」

「じゃ、じゃあ……」

「あぁ。10時間くらい、40度超えの高熱にうなされるだろうさ」


 SHAとは、劇薬である。1時間の復活のために、10時間の犠牲を支払わなければならない。それしか方法がなかったのだから、致し方ない。

 それでも、ユウは心配げな表情だ。


「な、なにかしてあげたほうが良い?」

「しなくて良い。ありゃ確かに麻薬みたいなもんだけど、サムライ・スピリットを持ってるアイツなら高熱だけで住む。落ち着いて、キャベツでも食ってろ」

「う、うん……」


 と言われても、落ち着かないユウ。よほどリタのことが気に入っているのだろう。コウタはその関係性が気になったので、なんとなく尋ねてみる。


「なぁ。オマエらってどういう関係?」

「え?」

「相棒なんだろ? それなりにうまく、この街を生き延びてきたはず。ただ、アンタには悪いが、リタはイカれてる。アンタは無理やり、共犯者にされたようにしか見えないもんで」

「……、」ユウはしばし黙り込む。「リタとは、2年くらい前に出会ったんだ。私とあの子はスラム出身で、あしたの飯にも苦労する身分。私もちょうど、彼女と別れたときだったしね」

「彼女? レズビアンか?」

「うん。こう見えても、私結構同性にモテるんだよ。けどさ、スラムに生きてれば、ヒトとの別れなんて日常茶飯事。ある子は抗争で死んだし、ある子はどこかへ逃げた」

「なるほど。ちなみに、カブキ町? スラムってことは」


 カブキ町は、リタとユウの始まりの場所。ただでさえでも治安の悪い日本の中でも、トップクラスの発砲率と殺人率を誇っている。


「そうだね。ネオ・トーキョーの中でも、もっとも不要といわれてる街。何度も創麗が潰そうとしてきたけど、結局潰す価値もないってことで見逃されてた」

「言い方は悪いが、ゴミはまとめて管理したほうが良いからな」

「そういうこと。で、リタは珍しく私を好きにならなかった」

「へェー。理由とか分かるの?」

「分かんない。リタは男の子とも関係を持ってるように見えなかったし、あしたの飯や生き残ることに精一杯だったんじゃないかな」

「惚れてこなかったから、変に守られることもなく長続きしたわけか」

「多分ね。2年間相棒として、いっしょに悪事してたけど、リタはいざとなれば私を見捨てる覚悟があるみたいだった」


 コウタは、口を尖らせながらコクコクと頷く。


「薄情なヤツだねェ。仲間だろうに」

「そんな心地悪いものでもなかったよ? 私を守るために死ぬくらいなら、私なんて見捨てて生き延びてくれたほうが良いし」

「そりゃそうだ。んで? なんでアイツは七王会を襲い、ラセツや新世界同盟にもケンカを売ったんだ? 考えうる限り、最短ルートでスラムから抜け出せたように思えるけど」

「さぁ。ただ、神のお告げだって言ってたね」

「神のお告げ? 変な女だな。この薄汚ねェ街に、神なんているかよ」

「いないとも断言できない。現に、私までサムライ・スピリットを手に入れたしね」

「あぁ、そうか。ラセツが作ったサムライ・スピリットは、ふたつあったんだっけ。なんというか、良く分かんねェ女だな。アイツ。すべてを見下ろして、どう進めば成功するかを完璧に理解しているような──」コウタは、ユウの背中を思い切り押し、彼女を伏せさせた。「クソッ!! もう敵対者がやってきたぞ!?」


 新居のタワーマンションの窓ガラスは、破片だらけになった。


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