6話.それからというもの
それからというものフランツという暴走車そのものの子供は止まらなかった。
ある時は父の書斎に居ては…
「フランツ様!!お願いします!その書類に触らないでください!」
「なんで?少しだけ整えようとしてるだけじゃん。」
乳母はフランツの行動を止めようとしていた。
そしてフランツは書斎の机の上に散らかっている書類をひとまとめにしようとしていた。だが、散らかっている一枚一枚の書類の内容は重要なもの、仕事の資料、またはメモ用紙で机の上であちらこちらに散らばって机が見えない。
なら乳母が片付ければいいだろう、確かにそうだが平民育ちの乳母は字の読み書きができない。不必要に主人の机を整理整頓ができないのだ。そしてもし余計なことをすれば叱られるのは彼女自身だった。
「しなくていいです!!こっちきてください!」
彼女はフランツの腕を引っ張り書斎から連れ出した。
ある時は…
「ちょっと、坊ちゃんはどこ行ったのよ。」
「知らないわよそんなこと。」
「まぁいいかあんなチビ、どうせ絵本でも読んでるでしょ。」
メイド2人は廊下を歩きながらケラケラ笑い会話を続けると、1人は廊下の窓側の外にいる木の枝に乗っていたフランツと一瞬目が合いすれ違う。
そして1人のメイドがフランツとすれ違った所まで戻って窓を開ける
「えっ?!えぇ?!フランツ様!!何をしているのですか!!」
「木登り。」
「木登り?!フランツ様ここ3階ですよ?!どうやって登ってきたんですか?!」
フランツは考える仕草をする。
「登ってはねーけどさ、その窓からジャンプして枝に乗ったら降りれなくなっちゃった。」
「ほんと何をしてるのですか!あなたの身に何かあったら私達罰を受けるかクビにされるんですよ?!」
「えっ!斬首されるの!?」
「そうだけど違います!!ねぇ!ちょっとどうすんのこれ!!」
どうしようもできなかった、もしこの高さから落ちたら絶対に大怪我してしまう!
「早く男の人呼んできて!」
「わ、わかった!」
そしてフランツを救出するために使用人達は大騒ぎしているが、フランツは木の枝から開きっぱなしの窓へ見事に再び飛び移る。
「はー、トイレトイレ。」
使用人たちの焦りと苦労はなんだったのやら…もちろんこの件はベルリアン公爵に伝えられていた。
そして似たような事が繰り返され1ヶ月後、ベルリアン公爵の姿がある書斎に古株のメイドから乳母、数年雇っていたメイド4人、合計6人ほどの使用人が入室し…
「どうしたんだ、またフランツが何かしたか?」
「あの…私達、本日をもって退職させていただきます。」
「あ、ああ…そうか、後ほど紹介状を書こう。」
使用人たちは書斎から出る。
「…………はぁ…あの子には本当に困ったもんだなぁ…」
原因は彼女らの口から言わずともわかる、フランツだ。
好奇心があるのはいい事だが、そろそろこれを機にやっていい事といけない事を区別させなければならない。放置してしまった自分も悪いが、あのまま育ってしまったらわがまま暴君になってしまう。
子供の扱いが上手い使用人をこれを機に雇ってみるべきだ。




