20話 怨霊と白き巫女
【Ech】オカルト板
【地図にないトンネル】専門家も参戦 Part16
1: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/22(火) 22:15:33.21
前スレが専門家の議論で荒れたので新スレ立てた。
山形教授(千尋さんの父)の会見を受けて、考古学者や民俗学者が
次々と意見を表明している。
123: 山形ゼミOB 202*/07/22(火) 22:34:12.89
教授のゼミ生だった。あの人、マジで「境」の研究に人生かけてる。
「継体天皇の古墳群には、異界への門が仕込まれている」って
学会で発表して、めちゃくちゃ叩かれてた。
でも、今回の件で教授の理論が証明されるかもしれない。
156: 名無しさん*オカルト好き 202*/07/22(火) 22:45:23.45
動画⑥の前方後円墳、今城塚古墳(継体天皇陵)に酷似してるって
専門家が指摘してる。
つまり、あの場所は…
189: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/22(火) 22:52:11.67
>>156
継体天皇(507-531年在位)
崇徳天皇(1156年没)
二人とも「境を越えた」可能性がある、ってこと?
234: 民俗学専攻 202*/07/22(火) 23:05:44.33
四神(朱雀・白虎・玄武・青龍)の信仰は、
古代中国から伝来したが、日本では独自の発展を遂げた。
特に「境界」を守護する存在として。
もし、動画に映ってる勾玉が本物なら…
267: puripuri_punipuni_uni 202*/07/22(火) 23:12:22.44
次は、白虎の地。
そこで、黒き者は「女神」の名を冠される。
三人の巫女が、一人の戦士を奪い合う。
だが、戦士の心は、すでに決まっている。
301: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/21(月) 23:15:11.55
>>267
お前、何者だよ…
***
『……うぅ』
神殿内の熱狂は長くは続かなかった。
外から響く悲鳴と剣戟の音で、潮が引くように「マジヤヴァイ」の歓声が途切れた。
揺らぐ松明の炎が、鉄と血の匂いがする神殿内を朧げに照らしている。
ロート・フォーゲルが呻き声をあげながら、柱に手をつき立ち上がった。
兜から流れた血が立派な髭を赤く染めている。
『怪我人の手当てを……』
ロート・フォーゲルが呻くように叫び、モノノフたちが駆け寄る。
——まだ、終わってない……
なんで……?
デュラハン、倒したのに……?
私はガクガクと震える膝を叱咤し、なんとか立ち上がった。
足元には崩れたデュラハンの鎧が転がっている。
その隙間から、黒い煙のようなものが立ち昇り、御簾の奥へと吸い込まれていくのが見えた。
周りを見回すとロート・フォーゲルたちは緊張した面持ちで剣を構え直していた。
その時、階段下の入り口で足音が響いた。
興奮した様子で叫び声が聞こえてきた。
「千尋ー! 千尋ーッ!!」
「ヤバいよ! 外っ!」
「黒神様あッ!」
数人のモノノフと一緒に日向と柚月、アベーノ、ヨシーノが神殿内に転がり込んできた。
「日向ッ! 柚月ッ!」
二人は二段飛ばしで駆け上がってくる。
私の元まで駆けてくると、ケロッパと能面の下で喘ぐように首を突き出した。
「千尋ッ! 良かった……!」
「スザクも、無事で良かった……」
「わん!」
二人は私に抱きついた。
階段下のアベーノが、近くのモノノフに何かを叫んでいる。
「どうしたの?」
「外が、やばい! ゾンビと! スケルトンだらけ!」
日向が息せき切って、叫んだ。
「え? まだ、夜じゃないでしょ?」
「急に暗くなって…… 土から這い出してきた……」
柚月が両腕を抱いて、首を振った。
「……でも、あれだけモノノフいたら、大丈夫じゃない?」
「……あの数は、……無理」
扉の外から野太い悲鳴が響く。
「みんな、階段のところで、戦ってるけど……」
「……石室のスケルトンと同じ。切っても死なない」
「え……?」
結果的に、こちらに先に来ておいて正解だった。
外で待たされていたら、自力ではこんなに早く登って来られなかった。
「フォースセイバーじゃないと、倒せない!」
「ごめん…… 壊れちゃった……」
「マジか……」
柚月がライトを照らす。
崩れた鎧と血糊のついたブロードソード、血溜まり、怪我をして手当てをされているモノノフ、そして壊れたフォースセイバーが転がっていた。
「……こっちも、大変だったんだね……」
「そうだ! これ見て!」
私は握りしめていた勾玉を二人に見せた。
「やったじゃん!」
「マカーベのとおんなじ!」
「……これが、帰る鍵だよね」
柚月がそっと触れた。
勾玉が、青白い光が一瞬だけ揺れたような気がした。
「あと、二つ……」
「絶対、帰ろうね」
仮面の向こうの目が合った。
三人でうなずきあう。
「でも、アンデッドが来るよ……」
「どうしよう……?」
私たちは立ち尽くしたまま、動けなかった。
神殿の外で、一際大きいうねりのような重低音が響いてきた。
——どうしたら良い……?
振り返った時、斬られた簾の向こうが目に入った。
「そうだ…… 掛け軸……」
私はゆっくりと簾の方に体を向けた。
「掛け軸?」
「瀬をはやみ?」
「スザクの神殿のとき、掛け軸が光った……」
「もしかしたら……」
私たちは、うなずきあった。
「外、大丈夫かな……?」
「なんか、不気味……」
「スザク、頼むよ」
「わん!」
柚月のライトが、斬られた簾を照らし出した。
埃の粒子が舞う中、簾の向こうに一歩踏み入れる。
一段高い四畳半の小部屋の向こうに続く入り口は、闇の中に沈んでいた。
ライトの光は、奥には届かない。
「……ヤバくない?」
「なんか、寒くなってきた……」
「グルルル……」
柚月がライトを入り口に向けた。
「なんか、動いた?」
「やばい…… 逃げよう……」
「バウバウ!! グルルル!」
スザクが毛を逆立て、今まで聞いたこともないような低い声で唸りだした。
照らし出されるライトに黒い煙のような何かが、部屋から溢れ出してきた。
「きゃあ!」
「逃げよ!」
私たちが振り向いて走り出した時、冷たい空気が体にまとわりついてきた。
視界が闇に閉ざされた。
ライトの光も飲まれる。
——かへりたし…… カヘリタイ…… 帰りたい!!
「な、なに?」
——帰れない…… 帰せない……
「イヤッ!」
——帰さないッ!!
頭の中に直接、無数の声が響いた。
「やめて!!」
「逃げなきゃ!」
日向が暗闇の中で、私の手を取った。
私たちが簾の向こうに、つんのめるように出た時、視界が戻った。
「あ……れ、なに?」
「マジか……」
「もしかして、……レ……イス?」
私たちは尻餅をついたまま、後ずさった。
それは簾から煙のように形を変えながら、ゆらりと浮かんでいた。
黒い霧の中に、ぼんやりと顔が浮かぶ。
神殿内の空気が、急激に冷えていく。
驚愕したモノノフたちが持つ、松明の炎がふっと消えかけていく。
「動けない……」
「……もしかして ……デュラハンの中身?」
その視線には、覚えがあった。
目はないが、確かに見られている。
そのレイスが、口を開けた。
まるで嘲笑するかのように、私たちの頭上に広がる。
その時だった。
神殿の入り口で、よく通る透き通った声が響き渡った。
「聖なる光よ! 穢れを、祓いたまえ!」
——日本語……?
その声に、レイスの動きが止まった。
振り向いた私の目に、白装束の一団が階段を駆け上ってくるのが見えた。
「ハァッ!!」
神殿の空気を揺るがす、重低音の気合いの掛け声。
同時に、何かが凄まじい速度でレイスに向かって飛んでいく。
先頭に白装束の妖艶な美女がいた。
そのフォロースルーは、まるで強谷翔平の投球後のような力強さがあった。
レイスの影が霧散した。
カランカランと何かが、床にぶつかりながら滑っていく。
「黒神さま〜! ビャッコの巫女たちで、ありますぞ〜!」
アベーノが階段下から叫んだ。
「チヒロッ…… オンアルジカミサマ!」
白装束の中から、黒いマントをはためかせた鎖帷子の戦士が飛び出してきた。
剣を片手に、私たちを守るように前に立つ。
泥と血にまみれていた。
「マカ、ベくん……?」
「マカーベさん……」
「マカーベ!!」
私たちは座り込んだまま、まるで神様を拝むようにマカーベを見上げた。
——助けに来てくれた……!
私は涙が出そうになるのを、仮面の下で必死にこらえていた。
「まだ、終わってないぞえ……」
その隣に妖艶な美女が並んだ。
腰まである長い黒髪。
やたら露出の多い、着崩した巫女の衣装。
豊満な胸が、深い谷を形成していた。
後ろに控えた十数人の巫女とは、まったく違った。
圧倒的な存在感と、悔しいくらいの美しさがあった。
その美女の手には、重たそうな扇子が握られている。
「マカーベ、一つ貸しじゃぞ」
「ミヤビ様…… かたじけない……」
ミヤビと呼ばれた女は、馴れ馴れしくマカーべの肩に手を置いた。
マカーべは困ったような仕草はしたが、拒絶はしなかった。
「返してもらうぞ…… 後で、ゆっくりと、な……」
意味ありげに微笑みながら、マカーベに流し目を送った。
——転移者の子孫?! でも、ものすごくヤな感じ……
この展開……
この謎の美女……
また、テンプレ……?
命の危険があるというのに、私の厨二脳は全力で、次に起こるであろう展開を必死に否定していた。




